1.5℃フォトアクション!
6月1日に、350 Japanのボランティアのみんなと共にG20財務大臣会合に向けてフォトアクションを行いました!
当日は20人が参加し、パリ協定の1.5℃目標を日傘を使った人文字で表現。この日も6月初旬にしてはとても暑い日でしたが、国籍も年齢も様々なメンバーが集まり、1.5度目標を守ることの重要性をアピールしました。
この写真はG20財務大臣会合前に『パリ協定1.5度目標を求める市民の声』として、学生366人(合計909人)分のダイベストメント宣言とともにみなさんの声を、財務大臣をはじめ、日本銀行総裁・金融庁長官・全国銀行協会・3メガバンクに提出することができました。6月6日に公開した350 Japanからのプレスリリースの際に使用させていただきました。
暑い中、皆さんご協力ありがとうございました!
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・ ダイベストメント宣言、学生366人達成!(https://world.350.org/ja/divestment-pledge-366/)
・ メディア向け勉強会を開催!(https://world.350.org/ja/media-release-6-6/)…
ダイベストメント宣言、学生366人達成!
今週末に開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会議に向けて、今年3月から始まったダイベストメント宣言。6月5日、学生366人(合計909人)、推定預金額が22億4450万円に到達!!!
みなさんの声を、財務大臣をはじめ、日本銀行総裁・金融庁長官・全国銀行協会・3メガバンクに提出することができました。
ダイベストメント宣言とは
預金先の銀行及び投資先の金融機関が、地球温暖化を促進するビジネスを支援し続ける場合、私・弊団体は2020年東京オリンピックまでに「地球にやさしい預け先」を選びます。
と宣言するものです。
短期間にも関わらず、またコミットメントの高い内容にも関わらず、大勢の方が署名をしてくださったことは、気候変動問題への関心の高さを示したと言えるでしょう。
特に若い人たちの署名数が伸びたこと(10代〜20代の署名が全体の50%)は、将来気候変動の影響を最も受けてしまう若者たちの間で、現状を何とかしなければという危機感が広がっているからだと思われます。
財務大臣、日本銀行総裁、金融庁長官や邦銀の皆さんには、このことを重く受け止め、パリ協定の1.5℃目標達成のために、一刻も早く具体的なアクションをとっていただきたいと思います。
6月1日には、350 Japanのボランティアのみんなと共にG20財務大臣に向けて1.5℃の重要性をアピールしました。
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G7:気候変動対策を求める学生の声
2019年3月15日金曜日、112カ国で合わせて160万人の若者が学校を休み、気候変動対策に対して積極的な姿勢でない自国の政府に対して声をあげました。彼らは自分の未来がないことを恐れ声をあげましたが、未だに政府からは適切な反応がありません。
G7各国(フランス・アメリカ・イギリス・ドイツ・日本・イタリア・カナダ)から、Student Climate Strikerが集まり、世界中の若者を代表して、G7首脳に対しての公開状を作成。世界の政治経済を率いるリーダーとして、G7加盟国は世界に対して環境保全と経済成長が両立するような持続可能なモデルを示す責任があります。
…G7首脳への公開状
G7環境会議の閣僚各位
キャサリン・マッケナ環境相
アンドリュー・ウィーラー環境保護局長官
フランソワ・ドルジ環境相臣
原田義昭環境相
スベンヤ・シュルツェ環境相
セルジオ・コスタ環境相
マイケル・ゴーブ環境省
私たちは、未来のために気候変動対策を求める若者のグループとしてだけではなく、国家の幸福のために声をあげる市民としてこの公開状を書いています。私たちの未来は不確実な状況にあります。なぜなら、私たちの首脳が地球環境を犠牲にしてまで経済成長を求めようとするからです。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が出した報告では明確にこう示されています。地球環境の破壊を止めたいのであれば、私たちは変わらなければならない。しかし、何も変わらないままなのはなぜでしょう。私たち若者は無視され、忘れられているのでしょうか。
G7諸国は、気候変動の原因を作ってきた責任、そして国際社会の中での影響力がともに大きいにも関わらず、気候変動を食い止めようという姿勢が十分見られません。私たちが日々感じている危機感を同様に感じてほしいのです。終わりのない議論をする時間はもうありません。時間は刻々と過ぎ、水面は上昇し、そして人々は死につつあります。
カナダ北極圏では現在、通常の3倍の速度で気温が上昇しています。2度を超える気温上昇は永久凍土の融解をもたらし、家が沈み、狩猟によって得ている食料の危機、ホッキョクグマなどの動物の飢餓といった影響が出るのです。先住民族の権利に関する国際連合宣言(UNDRIP)の下で、気候変動は先住民族であるイヌイットの権利の侵害に繋がるとされています。イヌイットの文化は、自然環境との共生で形作られているため、自然破壊は彼らの文化を破壊することを意味します。Sheila-Watt Cloutierをはじめとするイヌイットの活動家たちはこれまで何十年もの間、助けを求めてきましたが、彼らの声はまだ届いていないのでしょうか。
日本では、2018年7月の記録的な豪雨による洪水や地滑りで、約200人が亡くなりました。また、想像を絶する熱波が特に子どもや高齢者の健康を脅かしました。そして、2018年の台風21号による関西国際空港内の洪水は、島国が気候変動に対してどれほど脆弱であるかを思い知らせました。気候変動が悪化し続けると、異常な気象パターンがより頻繁に発生します。私たちの将来は、ますます苦しみを伴うものになるのでしょうか。
このように自然からの警告があるにもかかわらず、日本は気候変動対策に十分と言える努力を払っていません。日本は未だに石炭火力発電所の新設を計画している唯一のG7加盟国です。またパリ協定発効以来、日本のメガバンクは化石燃料に1860億ドルの資金提供を行っていますが、彼らは変化を拒み、利潤追求だけを考えるDelayer(対策を遅らせる集団)であると共に、彼らの利益は将来世代である私たちの負担となることはご存知ですか。
今まで述べてきた気候変動の影響は、G7諸国に限りません。アフリカの多くの国々では、わずかなCO2排出量にも関わらず、干ばつによる影響は他の地域と同様に多くの被害をもたらしています。先進国諸国が明らかに地球に重い負担をかけるライフスタイルを続けた結果、なぜそれ以外の地域の人たちが苦しまなければいけないのでしょうか。さらに、発展途上国で起こる自然災害はG7諸国にも影響を与えます。何も対策をしなければ、間もなく1億4,300万人の難民がより安全な地域へ避難することになるのです。
世界で最も力を持つ7カ国の意思決定者としての責任を問うている理由は以上の通りです。G7諸国はIPCCが示す世界平均よりも野心的な排出削減目標として、「2030年までに45%、2050年までに実質ゼロ」を掲げる必要があります。他の国が今後私たち先進国と同じ過ちを繰り返さないように、模範となるリーダーシップを発揮し、途上国に対して経済的、人的支援を続けていくべきです。
世界各地の子どもたちが明るい未来を迎えることができるように、私たちはG7首脳に早急に行動を起こすように懇願します。
敬具
Rebecca Hamilton-Miriam, Maya Mersereau-Liem, Payton
僕がなぜ声をあげるのか – 酒井功雄 (17)
3/15 (FRI) 。グレタ・トゥーンベリさん(16)が1人で始めた気候変動の危機を訴える活動 #FridaysForFuture が世界中の若い世代に広がり、当日は東京でも多くの若者が集まりました。
日本での活動に参加している、350ボランティアの 酒井功雄 さん(17)。「なぜ若者が声を上げるのか」というThe Guardian の特集記事で彼が取り上げられました。以下、日本語訳です。
(一番右:酒井功雄さん)
2年前、私は東京に住む平凡な高校生でした。気候変動の問題に関して無知で関心もなく、地球温暖化はよく教科書に出てくる言葉とは知っているものの、それが私自身の生活に影響を持つことすら知る由もありませんでした。
しかしアメリカ留学中に環境科学を学んだ私は、気候変動の状況の深刻さに驚きを隠せませんでした。それはまるで今まで閉ざされていた目を開けたように、初めていま世界で何が起きているのかを知ったのです。温室効果ガスの増加はさらなる気温上昇に、さらなる気温上昇はより多くの温室効果ガスの排出につながるという地球温暖化の負のサイクルに直面しました。このとてもシンプルでしかし危険な事実から、地球温暖化は誰かが手を打たないと止めることができなくなってしまうと気づかされました。
そして誰かがいずれこの問題と向き合わなければならないのであれば、まず自分が行動を起こせばいいのではないかと私は思ったのです。
帰国後、東京の人々は気候変動の切迫した状況をまだ理解することができていないのだと気づきました。しかしこれは仕方がないことではないでしょうか。世界でも有数な巨大都市の一つである東京に生まれ育った私はいつしか自然にあまり関心を持たなくなっていました。気候変動が「私たち」が抱える問題だという意識を持つことは、時には難しいようにも感じます。そうは言っても私たちは行動を起こさなければいけません。なぜなら環境問題が本当に都市に住む「私たち」の問題になってしまった時、事態はもう対処するには遅すぎるかもしれないのです。
350.orgをはじめとして多くの環境のために声を上げている人々に会い自分の思いを共有する中で、FridaysForFuture Japanの最初のムーブメントに参加するチャンスを得ました。世界中で同じ世代の仲間たちが、自分の未来のために声を上げている。その事実に私はショックを受けました。私は日本の学生に、自分の未来が気候変動によって脅かされているということに気づいて欲しい。そして世界では同世代の学生たちがそのために行動を起こしていることを知って欲しいのです。人々の目を開き、まず深刻な現実への危機感を持ってもらうことが私が取り組まなければならない課題だと考えています。
化石燃料ダイベストメント:1000機関・900兆円超
気候変動の原因となる化石燃料。その化石燃料関連企業からお金を引き揚げるダイベストメント運動は、本日、重要な局面を迎えました!
ダイベストメントの参加機関が1000を上回り、ダイベストメント予定運用資産額が900兆円(8兆米ドル)に到達。COP24 (国連気候変動サミット)が行われている、ポーランド・カトヴィツェにて最新レポートを発表しました。
5年前、ダイベストの表明は181機関、金額は5兆6000億円。今日その数は1000を超え、900兆円に達し、ダイベストメント運動のインパクトで化石燃料を取り巻く形勢が変わりつつあること、また『今こそダイベストすべきとき』というメッセージを、世界中の投資家に突きつけました。
しかし一方、国際NGOの共同調査によると、石炭火力発電への貸付を行う金融機関の世界ランキングにおいて、みずほフィナンシャルグループが1位、三菱UFJフィナンシャルグループが2位、住友三井フィナンシャルグループが4位と、最大のCO2排出源である石炭の主要資金提供者が、日本の3大メガバンクであることが浮き彫りになっています。
日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も投資部門において、石炭関連企業への投資額が世界第2位であることが確認されています。
そんな中、日本そして最近ではアジア各国においても、銀行・生命保険・年金による投資決定が、環境や社会に及ぼす影響について、人々はますます問題意識を持つようになりました。…
日本のメガバンク3社:石炭火力発電への貸し出し世界上位
現在ポーランドで開催中のCOP24(国連気候変動会合)にて、国際NGOが本日発表した調査により、日本の3大金融グループ(みずほ、三菱UFJ、三井住友)は石炭火力発電所の開発に関わる企業への融資額において、世界1位・2位・4位を占めることが判明。2016-2018年の間、邦銀は石炭火力発電へUS$31bn(3兆5000億円)の融資を行っていました。
日本のメガバンク3社は最大の二酸化炭素排出源である石炭火力発電に我々預金者のお金をつぎ込んでいます。今年それぞれの銀行の与信方針に気候変動に対する取り組みの重要性や石炭火力発電への融資の厳格化について言及しましたが、融資先企業の選定はいまだに世界が目指す脱炭素化に逆行しています。
科学的知見に元ずき、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2℃より十分低く抑え、1.5Cに止めるよう3社とも直ちに石炭火力発電の新規建設への資金提供を全面的に停止すべきです。代わりに、自然エネルギーへの投融資を増やし、パリ協定が定めた目標達成に整合するビジネス戦略の導入を期待しています。
…
1.5℃の重要性
〜アメリカ・モンタナ州/ダコタ州〜
オイルサンド(油砂)から抽出された重質油をカナダのアルバータ州から米テキサス州メキシコ湾岸まで運ぶパイプライン「キーストーンXL」は建設完成後、毎日80万バレルもの重質油を輸送することになります。2015年、オバマ前大統領は「キーストーンXL」が気候に及ぼす影響を理由にこのプロジェクトへの連邦政府の承認を撤回しました。
これに対しトランプ政権は発足直後にオバマ前大統領の決定を撤回、連邦政府による建設認可をトランスカナダ社に与えました。2017年11月、ネブラスカ州公共事業委員会は代替ルートへの変更を条件にトランスカナダ社による建設計画の認可を可決しました。現在トランスカナダ社はプロジェクトを前進させようと、政治家の買収に奔走しています。
そのような状況下、パイプライン建設を阻止する手段として先住民コミュニティ、土地所有者、農家などが支援団体と共に「ソーラーXL」を立ち上げました。「キーストーンXL」建設予定ルートに、太陽光パネルを並べ、再生可能エネルギーで抵抗するのです。問題が山積するルートを自然エネルギーという解決策で打開することを目指します。このプロジェクトはボールド・ネブラスカ、350.org、先住民環境ネットワーク、CREDO、オイル・チェンジ・インターナショナルによって発足されました。
2017年11月20日、ネブラスカ州公共事業委員会は「キーストーンXL」の建設をめぐり、建設会社の推奨ルートを却下したものの、会社側にとって障害の多い代替ルートについては承認しました。トランスカナダ社は同公共事業委員会に再検討を要請、一方農家や牧場主は法廷を舞台にパイプライン建設への抵抗を続けることを誓いました。
「ソーラーXL」プロジェクトは、ネブラスカ州のパイプライン建設予定地のコミュニティが中心となり、新たな太陽光パネルの設置を進めています。一方、先住民のリーダーとその賛同者たちはキャンペーン「the Promise to Protect(守るという約束)」を発足、今後「キーストーンXL」建設計画が実行に移された際には建設予定のルート沿いで抵抗運動に参加するよう皆に訴えかけました。このキャンペーンはサウスダコタ州においてカナダのオイルサンド事業拡張に反対する協定の2度目の締結時に発表されました。
このプロジェクトとそれを主導する先住民コミュニティ、土地所有者、農家の人々は気候危機に立ち向かい、気温上昇を1.5℃未満に抑えるという地球にとって不可欠な解決策を掲げています。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜セネガル〜
セネガルにあるバルニーという地域の穏やかな町は国内で沿岸侵食に対して最も影響を受けやすい町の1つです。首都ダカールの東方約15kmに位置し、上昇し続ける水域は漁民の人々のコミュニティにある何百もの家屋を破壊しました。海面は年間2m以上上昇しており、大きな脅威となっています。またこの海面上昇により何百人もの住民が河岸周辺で過密状態の生活を余儀なくされています。さらに現在バルニーは近隣のセンドゥ村にあるセネガル初の石炭火力発電所の建設によっても脅かされています。
すでに1.5km離れたセメント工場であるソコシム(Sococim)が引き起こす汚染と気候変動による沿岸侵食の被害者である市民の人々は新しい発電所が健康と環境に与える影響について心配し、警戒しています。
世界中で計画されている、あるいはすでに建設中の何百もの石炭火力発電所と同様にセンドゥの石炭火力発電所はバルニーの住民を脅威にさらしている気候危機を一層悪化させるだけでしょう。仮に世界が産業革命以前の水準よりも1.5度以上温暖化すると、海面上昇との戦いに負けてしまうでしょう。
2014年以来、コミュニティのメンバーはバルニーと周辺の村々で組織化し、動員活動を行い、石炭火力発電所の建設に異議を唱え、反対運動を行っています。メンバーの人々はパリのCOP21と同時に大規模なデモを行い、デモ行進を組織化し、意識向上イベントを開催し、さらにマッキー・サル大統領に石炭火力発電所に反対するように呼びかけ、その代りに再生可能エネルギーに投資するよう要請しました。
「彼らは今月に稼働させたいと思っています。ですが我々はそれを止めさせるためにできること全てをやるつもりです。」と地元の活動家であるファデル・ウェイド氏は述べました。
しかし、この石炭火力発電所の建設は継続されています。そして一部の農民は「複数のブルドーザーが農地に侵入して土地を切り開き、この絶滅の危機に瀕した海岸に石炭ターミナルを建設するスペースを確保しようとしている」と報告しました。
「汚染業界がこの地域全体で展開されています。我々は挟み撃ちに遭っています!」 とウェイド氏も声を上げました。
この発電所の敷地はこの村の女性1000人を雇用する魚処理場、託児所および保健所、そして小学校からわずか数百メ ートルしか離れていません。最近の暴風雨による高潮発生後に再建されたばかりの住宅街からわずか0.5km離れているだけです。
海洋システムや沿岸地域は気候変動に対して特に脆弱です。バルニー沿岸部の経済全体は海洋生物に依存しています。しかし海洋生物は温暖化によって絶滅の危機にさらされています。
パリ条約に盛り込まれているように温度上昇を1.5℃に制限する長期的なメリットは経済成長の伸び、雇用、気候変動による影響の回避、エネルギーの安全保障、アクセス、輸入、そして健康の点において短期的な費用を大きく上回ります。しかし化石燃料エネルギーの拡大はセネガル政府とエリートたちによって同国の発展を達成するのに必要なものとして描かれています。
バルニーの住民による化石燃料インフラに対する抵抗はセネガルと西アフリカのための開発に対する新たな道筋を提示しています。それは次世代に時代遅れで破壊的な技術による巨大なインフラを継承させなくても済むようにするのです。さらにその代わりに小規模の分散型再生可能エネルギーを全国的に導入し、この大陸全体の家族や中小企業のエネルギー需要を満たす新たな章の幕開けとなります。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜ケニア〜
ケニアのラム旧市街地には東アフリカ最古のスワヒリ系建造物が極めて良い状態で保存されています。 2001年にスワヒリ・イスラム文化の顕著な普遍的価値が認められ、ユネスコ世界遺産に登録されました。ところが2013年、ケニア政府はこの地域に石炭火力発電所を建設する計画を発表しました。建設が予定されているのはラム・カウンティのクワサシ(Kwasasi)地域にある広さ865エーカーの土地です。
ラムの住民や地域のリーダー、そして国内外の環境保護団体は化石燃料発電所がもたらす環境、社会、健康への影響について深刻な懸念があると指摘しています。ラム・カウンティの沿岸部には海洋にも陸地にも豊かな生態系が広がっています。その恩恵はこの島の多くの雇用を生み出している活気に満ちた観光業にも現れています。石炭火力発電所は微妙なバランスで成り立つラムの海洋環境に深刻なリスクをもたらし、漁業と観光業という2大産業にダメージを与えることになると危惧する声が上がっています。
建設された場合、発電所は深刻な汚染を引き起こす恐れがあると複数の調査で指摘されています。そうなると既存の石油インフラプロジェクト「ラム港およびラム港から南部スーダン・エチオピアへの輸送回廊(LAPSSET = the Lamu Port and Lamu-Southern Sudan-Ethiopia Transport Corridor)」による健康被害を受けているラム住民の生活に、さらなる悪影響がもたらされることになります。
「石炭火力発電所は海洋生態系や人々の生活を脅かすことになるでしょう。それだけは絶対に許しません。 我々は開発反対ではありませんが、あえて石炭採掘に参入し長期にわたる影響を受け入れなければならない必要などないはずです。石炭は汚いエネルギーで、その影響は有害です。」 何世代にもわたりラムに暮らしてきた活動家のワリード・アハメド氏はこう述べました。
建設計画が実行に移された場合、ラム・カウンティの住民12万人が住む場所を追われる恐れがある上、この発電所が単独で排出する化学物質の量は地域最大と言われています。
2017年から2018年にかけ、石炭をめぐる世論はますます加熱の様相を見せています。ラム発電所建設計画へのメディアや世論の注目は急激に高まり、影響を受ける可能性のある地域では街頭デモが行われています。
また複数の地域団体は訴訟を起こすに至りました。彼らの主張は発電所建設の承認をめぐり、石炭を燃焼させることでもたらされる経済、環境、健康への被害は十分に考慮されておらず、また住民を健康被害や経済的ダメージから守る対策も不十分であるというものです。
2009年、地域の組織「ラム環境保護・保全(LEPAC = Lamu Environmental Protection and Conservation)」はラム諸島を守るキャンペーンに参加する個人および団体をまとめる取り組みを開始しました。この取り組みをきっかけに複数の団体が「セーブ・ラム(ラムを守る)」という目標のもと一致団結しました。
「アフリカの植民地時代の歴史を忘れてはなりません。だからこそ石炭産業が推し進める新植民地主義的なシステムを看過するわけにはいかないのです。アフリカ各地のコミュニティは力を合わせ化石燃料に抵抗し、自然エネルギーを受け入れています。なぜなら今こそ、アフリカは植民地支配から脱する道を歩むべきだからです。」そう述べるのはマザー・ア ース・ファンデーション保健所長ンニモ・バッセイ(Nnimmo Bassey)氏です。
ラム石炭火力発電所建設計画に対する反対運動や脱石炭に向けた取り組みが進む中、ケニア各地の市民社会やコミュニティにおいて、石炭事業拡大に反対する声はいっそう高まっています。最近ではこの動きにケニアの宗教組織も加わり、指導者に対し正しい決断を下すよう求めると同時にエネルギー供給システムを含む資源について、地域社会自らの手で決定するよう訴えかけています。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜北欧・サーミ〜
ヨーロッパ大陸の極北ではフィンランド人やスウェーデン人、ヴァイキングの登場よりも遥か昔からサーミ族の人々が文化を形成してきました。スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、ロシアの北極圏に暮らすサーミの人々は数千年にわたり、もっとも過酷な環境を生き抜いてきたのです。しかし変わりゆく気候がサーミの生活をいっそう困難なものにしています。彼らは今、北極圏の温暖化やそれに伴う予測不可能な状況と日々闘わねばなりません。
北極圏の気温は世界平均の2倍のスピードで上昇しています。また北極を覆う氷床は今やその状態を予測することは不可能となり、凍った湖を通る従来のルートには危険が伴います。例年になく薄い氷のせいでトナカイや人が溺れることも起きています。今年はじめにグリーンランド北部沖のもっとも分厚く強固だった海氷が崩壊するという観測史上初めての出来事に科学者たちは危機感を募らせています。さらに北極圏で今夏発生した前代未聞の干ばつや山火事は冬季のトナカイ放牧に深刻なダメージをもたらし、その回復には数十年はかかる見通しです。
トナカイはサーミの生活にとって欠かせない存在なのです。彼らはトナカイで移動し、その乳を飲み、肉を食糧源としてきました。極端な天候の変動の際、土地をどう使用すべきかといった知恵も含め、トナカイ放牧をめぐる伝統知識はいく世代にもわたり受け継がれてきました。 しかしながら、気温の急上昇によりサーミ族のトナカイ飼育民は困難を強いられています。
その困難についてサーミ族のトナカイ飼育民、ジョナス・バンナ(Jonas Vannar)氏が語ってくれました。北極圏の温暖化と進む森林破壊のせいでトナカイの主要な食糧源であるコケ類を見つけることが難しくなってきているそうです。
「トナカイ飼育民にとって必要なことはトナカイが自分でエサを見つけてくれることです。 彼らは雪の下に生えるコケ類の匂いを嗅ぎつけます。でも冬季に気温が上昇し、再び下がることで地表に氷の層が形成され、トナカイはその匂いを嗅ぐことができなくなってしまいます。そこでトナカイたちは木の表面に生えているコケ類を探し始めます。でもこれらのコケ類は古い木に生えるため、林業と両立できません。森を伐採するとそこに生えるコケ類もなくなってしまうからです。」食糧不足で息絶えるトナカイを自分の腕の中で看取ったこともあるバンナ氏。彼は2度と同じ経験はしたくないと言っています。
サーミの人々が直面する問題は気候変動だけではありません。水力発電用のダムをはじめとした大規模エネルギー事業も彼らの生活を脅かしています。
ダムは川の流域に沿って移動するトナカイの進路を妨げる上、川の自然な流れを変えてしまいます。通常ならば川は冬よりも夏の方が勢いよく流れています。ところがダムが夏に水を溜め込み、冬に放流するせいで、氷床をいっそう薄くさせています。バンナ氏が暮らすサーミの村は高い土地にトナカイを移動させなければなりませんでした。
トナカイ放牧地にある風力発電所はトナカイの移動経路を遮断しましたことは生態系と地域社会のニーズを考慮してクリーンなエネルギーソリューションを実行する必要があることを私たちに思い出させてくれます。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜アメリカ・カルフォルニア州〜
気候変動が原因でカリフォルニア州では森林火災がその規模を拡大、また平均気温は毎年上昇の一途を辿っています。石油・天然ガスの掘削現場周辺の地域や気候変動の影響を目の当たりにしてきた地域はもう何年もの間、州政府に対し化石燃料産業の言う事を拒否するよう求めてきました。現在、まもなく任期終了を迎えるカリフォルニア州知事に対し、州各地のコミュニティは石油・天然ガス掘削の新規認可を全てを撤回した上で州各地で進行中の化石燃料採掘を段階的に廃止するよう求めています。
気候の危機との闘いにおいて、リーダ的存在としての地位を確立してきたカリフォルニア州もまた気候変動の影響を目の当たりにしています。森林火災は毎年のようにその規模と凄まじい破壊力を拡大させ、記録を更新しています。専門家らは今年の森林火災がさらに深刻な影響をもたらすことになると予測しています。
一方で「カリフォルニア州の山火事シーズンは今後は一年中続く恐れ」という見出し予報も掲載されました。カリフォルニア州で記録史上最悪と言われる6つの森林火災はこの10ヶ月間で発生したのです。
破壊的な森林火災は州各地で観測されている記録的な高温のせいでますます悪化の一途をたどっています。今夏、カリフォルニア州南部全域において史上最高気温が観測されました。全体としては今年の7月はカリフォルニア州観測史上最も暑い月となりました。
深刻化する気候変動の影響や石油・天然ガス生産が周辺地域に健康被害をもたらすことを踏まえ、カリフォルニア州の人々はジェリー・ブラウン州知事に対策を求めています。任期終了に伴い政治家としてのキャリアにも終止符を打つことから、ここのところトーンダウン気味のブラウン州知事に対し、各コミュニティが特に要請していることは石油・天然ガス掘削の新規認可を全て撤回した上で州各地で行われている化石燃料採掘を段階的に廃止にすることです。
カリフォルニア州は米国の気候対策のリーダー的存在であり、その代表であるブラウン州知事は州のエネルギー効率を高める対策を支援してきました。しかし化石燃料生産のもっとも深刻な被害を受けてきた地域の再三の要請にもかかわらず、知事は石油・天然ガス産業にメスを入れるには至っていません。最近では州議会が2045年までに州内の電力を100%自然エネルギーで賄う法案「SB100」を可決しました。
「クリーンエネルギーへの迅速な転換を求めてきたカリフォルニア州の人々にとってこれは大きな勝利です」と「SB100」について350.org事務局長のメイ・ブーヴィ(May Boeve)氏は語っています。「SB100は深刻化の一途をたどる気候危機への重要な最初の一歩ではありますが、本当に方針転換するつもりならば化石燃料の採掘に終止符を打たなければなりません。ブラウン知事はカリフォルニア州の人々の生命と生活を守りつつ、脱化石燃料への移行に弾みをつけるためのさらなる一歩を踏み出すべきです。」
上昇する気温から勢いを増す森林火災に至るまで、気候被害はカリフォルニア州各地で悪化の一途をたどっている中、州政府には化石燃料の採掘を段階的に廃止にした上で地域主導の解決策を優先する再生エネルギー100%の経済への移行に向け、行動を起こす重要な機会が与えられています。カリフォルニア州が率先してこの重要な一歩を踏み出せば、米国だけでなく世界に向けて気候に対する対策の画期的な先例を打ち出すことになるはずです。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜タイ〜
テパ(Thepha)石炭火力発電所建設計画が実行に移されようとする中、女性団体は研究者や地元住民、環境保護団体、市民団体と共にタイ南部のパッタニー湾に集結し、建設反対を起こしました。彼女たちが懸念するのは多数の沿岸地域が依存しているパッタニー湾の海洋資源に発電所がもたらす被害です。
地域の漁業において重要な役割を担ってきた女性たちはパッタニー湾が提供してくれる栄養豊富な食料で家族を養ってきました。
タイ深南部3県に属するパッタニー県の活動家ラマイ・マナカーン(Lamai Manakarn)氏はテパ石炭発電所の建設業者らが「石炭もこの石炭発電所もクリーンなエネルギ ーだから住民にとっても安全です」と宣言したのだと教えてくれました。
地域住民によると、発電所を建設するには240世帯、モスク2棟、イスラム教徒の墓地、宗教系の学校1校、仏教寺院1寺を移転させる必要があります。住民たちはまた発電所と石炭輸送用の桟橋建設について開かれた3回の公聴会ではいずれも不適切な形で行われたと指摘し、発電所建設計画は透明性が欠如していると非難しました。
タイにおける気候変動との闘いはパッタニー湾以外の各地でも繰り広げられています。今夏、世界気象機関(WMO)が公表した特別報告書には、世界各地で「極端な高温と降雨量」が観測されていること、またそれらは「気候変動が原因で増加傾向にある」ことが指摘されています。毎年モンスーンの季節を迎えるタイのような国にとって、これは非常に悪い知らせです。気候変動が原因で計り知れない被害をもたらす恐れのある台風や集中豪雨などの極端な気象事象が多発している上、それらの勢いはますます激しくなるというのが科学的にほぼ一致した意見となっています。
「地球温暖化はタイ深南部3県に暮らす私たちの生活にすでに影響をもたらしています」とマナカーン氏は述べています。「海面上昇による沿岸の侵食で土地が失われ、沿岸部に暮らす人々は避難を余儀なくされています。気候変動が招く海面上昇や勢力を増す台風は生活に悪影響をもたらし、私たちの生命そのものを脅かしているのです。私たちは政策立案者たちが全ての人のためになる再生エネルギーへの移行を促すよう要求します。石炭火力発電所の影響は国境を越え、発電所周辺地域以外の人々にも及びます。皆が影響を受けることになるのです。」
地元住民たちはタイ天然資源・環境省が発電所建設計画をめぐり環境健康影響評価(EHIA)を認めたこと対し、バンコクで座り込みの抗議運動を再開することを誓いました。
家族の健康と生活を守るために立ち上がった女性たちの声はパッタニー湾地域の石炭反対運動を突き動かす力となるでしょう。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜フィリピン〜
気候変動がもたらす影響に対しすでに最前線で取り組んでいるアティモナン地区は現在圧倒的な力をもつ化石燃料産業にも立ち向かっています。それはその地域における影響を受けやすい沿岸部に巨大な石炭火力発電所建設が計画されているからです。
発電所計画を進めるメラルコパワージェン(Meralco PowerGen)社は液化天然ガス(LNG)複合サイクル発電所を建設するという当初の計画を従来型の石炭火力発電所の建設に切り替えました。発電所の稼働により税収増が期待できる上に地元の建設業に多数の雇用を生み出すと考えた自治体は速やかにこのプロジェクトを承認しました。
発電容量1200メガワットの石炭火力発電所が新設された場合、ケソン州にこの種の発電所が建設されるのはこれで5基目となります。ちなみに同州が位置するフィリピン東部沿岸部は世界各地の沿岸部と比較し、海面が上昇することによる被害の確率が約4倍と想定されています。
このプロジェクトは不必要で危険なフィリピンの石炭依存を明確に映し出していると広く認識されるようになりました。反対派の主な懸念のひとつはひとたび建設されてしまえば、向こう40年間に渡り街は石炭依存から抜け出せなくなるということです。
現地で建設反対運動を率いる教区「天使のマリア(the Our Lady of the Angels )」はこの数年間、教区の住民たちをまとめ、エネルギー移行を目指す国内キャンペーンに参加し、また地域に根ざした再生可能エネルギーという解決策を進めてきました。
この活動に大勢の住民たちにも参加してもらおうと、教会は3年以上にも渡り、町に住む様々な人々を対象とした教育キャンペーンを展開し、コミュニティをひとつにまとめてきました。 この草の根的な取り組みが功を奏し、街は建設反対を訴える人々でいっぱいになりました。
最近公表された経済評価ではアティモナンの石炭発電所計画はよく見積もっても「危険な判断」というしかないと結論づけられました。健康被害や環境へのダメージなどの外部要因を度外視したとしても、もはや石炭はもっとも安価なベースロード需要の選択肢ではないという事実に投資家たちが気が付き始めたからです。
巨大な石炭火力発電所の建設阻止を試みる一方で、地域のエネルギー需要を満たすためにエネルギーの自給自足を可能にする解決策を探し求めています。「天使のマリア(the Our Lady of the Angels )」教区は、12キロワットの太陽光パネルを屋根に設置し、教会や修道院、教会前の公園に電力を供給しています。 石炭火力発電所建設の必要性を強調するためにわざと行われてきた輪番停電( 計画停電)の対象とされてきたこの地域にも希望の光が灯されました。
さらにアティモナンは再生エネルギー企業の試験エリアに選ばれ、太陽光発電を電源としたマイクログリッド(小規模発電網)が設置されることになりました。この太陽光発電は石炭火力発電所に対抗するというだけでなく、電力を消費者に直接供給できるため、電力費用を抑えることも可能となりました。。
気候変動への対策は急務であると同時に大志が必要です。温室効果ガス排出量の削減はもちろん、温暖化に直面する地域が豊かな未来を切り開けるように開発計画を策定していかなければなりません。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜イタリア〜
ブーツの形をしたイタリアの「かかと」にあたる南部の街、サレントは「アドリア海横断パイプライン(TAP)」建設を阻止するため、最前線で闘っています。建設が完了した場合、TAPは南ガス回廊に接続され、2020年以降、年間数十億立方メートルのガスをアゼルバイジャンからイタリアに輸送することになります。
パイプラインの一部はプーリア州の美しい海辺の街サン・フォカ(San Foca)にも建設される予定です。地元の人々は天然ガス受入基地を含むパイプライン設備が地域の景観や海岸線、青く透き通る海にダメージを与えるのではないかと危惧しています。
プロジェクトが気候に及ぼす影響、そして地元の反対にもかかわらず、イタリア政府と欧州委員会は建設を強行するつもりで動いています。
地元住民らは警察による暴力や重い罰金という脅しに直面しながらも、パイプライン建設阻止を目指し、平和的でパワフルな反対運動を続けています。
TAP建設は目先のことしか考えない欧州の政治家の姿勢を明確に表す良い例です。欧州連合(EU)とその加盟国はTAPやノルド・ストリームIIをはじめたとした巨大パイプラインを新設し、ガスインフラの大規模拡張計画を進めています。しかし既存のガス埋蔵量だけでも残りの「炭素予算」を一気に使い果たす上、既存のインフラは未使用のまま放置されているのが現状です。
TAPプロジェクトの費用は欧州で開発中の化石燃料事業としてはもっとも高額の450億ユーロです。建設予定ルート上で大気中にメタンが漏れる可能性を考慮すれば、天然ガスがもたらす気候への影響は少なくとも石炭と同レベルで最悪なはずです。
地中海地域の気温は産業革命前と比べ、すでに1.3℃上昇し、それが原因で気候は以前よりも乾燥し、今夏地中海各地で猛威を振るった山火事のリスクを高めています。
科学者たちはこの地域の平均気温が1.5℃の閾値に上昇する前に止まらなければ、南ヨーロッパと北アフリカの大部分は恒久的に砂漠と化し、危険な熱波が多発し、それはまた食糧生産に劇的な被害をもたらすことになると警告しています。
TAPをはじめとした化石燃料プロジェクトをこのまま進め、気候変動を助長させれば、数千年にわたりサレント地域を作ってきたオリーブ畑やブドウ畑はあと2、3世代で消滅してしまうかもしれません。
「これは欧州全域の問題です」とパイプライン反対運動を率いる地元住民のサビーナ・ギース氏は言っています。「このパイプラインも他のどのパイプラインも必要ありません。わたしたち欧州市民は一致団結して闘うべきです。」
もう何年もの間、TAPプロジェクトについて懸念を示してきた地元住民たちですが、2018年3月の建設業者と住民の対立はそれをいっそう決定的なものにしました。自治体の正式な許可無く、パイプライン建設会社がメレンドゥーニョ(Melendugno)という田舎町周辺の土地にやってきて、何百本もの歴史あるオリーブの木を撤去したのです。
オリーブの木は地域経済の支柱であり、地元住民の生活にとって欠かせない存在です。樹齢数百年(あるいは数千年)のこれらの木々は地元の人々にとって大切な文化的価値があります。
現地には地元やイタリア各地から大勢の人々が集まり、オリーブの木の撤去とパイプライン建設に対し非暴力の抵抗を続けています。自らオリーブの木によじ登り、体を張って木を守ろうとする者もいれば、車両の進入を防ぐため、石を積み重ねバリケードを築く者もいます。そんな彼らはたびたびフル装備の機動隊の反撃にあってきました。
7月初め、警察はムッソリーニ時代の治安維持法を制定、この小さな街を事実上封鎖しました。建設業者がオリーブの木々を撤去できるよう、街を出入りする全ての道路を遮断したのです。 これに抵抗した人々の中にはメレドゥーニョの副町長もいたのですが、警察はそんな彼らを暴力的に抑圧しました。
サン・フォカおよびメレドゥーニョでは今なお緊張が続いています。現在警察は抵抗運動の参加者を恫喝し黙らせようとしているようです。警察は写真や動画を通じ個人を突き止め、特定された人の元には平和的な抗議デモに参加したことや道路にバリケードを設置したことを理由に2,500~10,000ユーロの罰金通知が届き始めています。
だが抵抗信念は緩むことなく、現地に集まる人々の数は増え続けるばかりです。パイプライン建設を完全撤回させるという地元組織である反TAP委員会の意志は固く、彼らはこのプロジェクトが不必要かつ非民主的であり、地域経済にも環境にも莫大な損害をもたらすことになると確信しているのです。「Né qui né altrove(TAPなんて、ここにもどこにも必要ない)」というのが彼らのメッセージです。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜ブラジル〜
ブラジル北東部は、2010年以来続く最長の干ばつに苦しめられており、その原因は気候変動です。水不足は地元の農業や漁業に壊滅的な影響を及ぼしています。しかし地元のコミュニティにとって、問題はそれだけではありません。
同国の主要な電力源である水力発電所の貯水池が空で、さらに他の再生可能エネルギー源への投資が不足しているため、政府は化石燃料火力発電所を稼働させなければなりません。これらの発電所はそれ自体による汚染がよりひどくなることに加えて、しばしば川や地下の貯水池を汚染し、その活動により残りわずかな飲料水を大量に使用してしまいます。
これはセアラの北東州の中心都市フォルタレザの首都圏に位置するペセム臨海工業地帯の事例です。ペセムIとIIは国内にある石炭火力発電所のうち最大規模の2つです。またこれらは州政府によってカスタニョ(Castanhão)貯水池から毎秒最大800リットル(または1日当たり7,000万リ ットル)の水を取り込むことが認められており、その水の量は600,000人が生活する都市に供給可能な量なのです。
国内最大の多目的かつ公共貯水池であるカスタニョは同州の人口のほぼ半分が住むフォルタレザの首都圏全体に水を供給しています。昨年11月、この貯水池はデッドボリ ューム(水が滞留する容量)に達し、20日間以上も同都市への供給が停止しました。カスタニョが空になると政府はラガマル・ド・カウィペ(Lagamar do Cauípe)の環境保全地域など保護地域を含む他の場所を探索し始めました。この環境保全地域は多くの先住民族と川辺のコミュニティの住民が生活し、同地域の天然資源を頼りに生計を立てている場所です。
2017年の終わりにバーハ・ド・カウィペ(Barra do Cauipe)の先住民族であるアネシ(Anacé)族の人々は警察官を伴った労働者グループがペセム工業地帯に水を供給するためにラガマル・ド・カウィペから水を引き出す作業を開始するのを目撃しました。高まる抗議運動と市民団体の支援を受けて、アネシ族の幹部たちは当作業の中断を命じる州裁判所の差止命令を取得しました。同地域から毎秒200リットルの水を抽出することを目標とするこのプロジェクトは現地のすでに残りわずかな水源を大きく損ねる可能性があります。
「同州史上最悪の水危機の1つに直面し、政府は主に人々が消費するためのはずの水を業界の利益のために転用することを許可しています。彼らはそこでずっと暮らしている伝統的なコミュニティの住民に相談することもなく、許可も求めずに、この地域にドカドカと侵入して来るのです。これではこの地域内ですでに発生している紛争が一層深刻になるだけです」と先住民のアネシ族のリーダーであるロベルト・マルケス族長は述べました。
その環境的な重要性に加えて、ラガマル・ド・カウィペは地元コミュニティの生計や同地域の漁業・観光業の維持にも不可欠なのです。文化的、精神的な問題は言うまでもありません。「私の仲間たちは魔法にかかった私たちのご先祖様がまだカウィペのラグーンに住んでいると信じているのです。ですがまさに水のようにご先祖様も消えてしまうのかもしれません。政府が私たちの土地を殺すのなら、私たちも殺されてしまうでしょう。もうすでに完全に負けているのかもしれません。でも私たちは闘わずに負けは認めません」。
ブラジルでは北東部の半乾燥地帯が気候変動によって最も深刻な影響を受けています。最新のIPCCデータによると歴史的に定期的な干ばつに苦しんでいる同地域の温度は地球温暖化を止めるために何もしなければ2100年までに2℃から5℃上昇すると予想されています。
様々な予測によると、ブラジルの合計1,488都市と3,600万人(同国人口の5分の1)が、まもなく水不足の影響を直接受けます。 セアラ州はすでに、生命の危機となる最初の気候変動の影響を受けています。
「この地域が受ける最大の影響は確実に水不足です。この水不足は次に経済と人々の健康に直接的な影響をもたらします。気温の上昇は降雨率の低下と相まって、地表の水が乾くのを加速させ、人々に供給する水源がなくなってしまいます」とセアラ州の自治体協会の農村環境開発顧問であるニコラス・ファーブル氏は説明します。
ニコラス氏によると問題は降雨量が原因というわけではなく、降雨の時期とその間隔にあります。「一部の地方自治体では1年間で期待される雨量の半分がわずか1日で降ってしまう一方で、それ以外の日々は完全に乾いています。このような地域では洪水が原因で緊急事態宣言を出たかと思うとその6か月後には干ばつが原因で緊急事態宣言が出ます。さらにこれらの集中豪雨により河川が沈泥でふさがれてしまい、それによって貯水能力が低下します。なぜなら砂や堆積物でいっぱいになってしまうからです」とニコラス氏は述べました。
結果として人々の暮らしも大きな影響を受け、多くの住民の生活も危機にさらされています。数年前、セアラはティラピア魚の生産量が最大の連邦地区でした。今日このような記述は公式統計から消えています。「水がなければ魚などいません。生産者の家族や伝統的な漁師たちは政府の援助に頼らざるを得ません。当然ながら失業と貧困が再び深刻になっています。」
ブラジル政府は現在直接的および間接的な方法で化石燃料生産に補助金を出しています。その総額は660億米ドルを超え、その半分近くが化石燃料産業に対して減税によるものです。 仮にその資金が復活する起爆剤になり適応可能であるテクノロジーの育成や再生可能エネルギーによる強固なインフラ整備を促進するための政策に投資されていたら、セアラの住民は自分たちの水源、生活手段、伝統的な生活様式を救うことができると希望を持てたはずです。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
9/29 白馬キャンプ レポート
皆さん、こんにちは。
350.org Japan のボランティアチームに所属している、Taka(横山)です。
私はナオミクレインさんの「これで全てが変わる」という本のなかに350の名前を見つけ、2ヶ月ほど前からボランティア活動に参加するようになりました。
そして、9月29・30日に、長野県白馬村で開催された350.org Japan のスタッフとボランティアの旅(白馬トリップ)に参加しました。クールバンクアワードという大きなキャンペーンを終え、ここで一度都会を離れて、星空の下でこれからの活動などを語り合おう!という企画です。
でも、何故6時間も掛けて、わざわざ白馬まで1泊旅行を??
実はProtect Our Winter(POW)という気候変動防止の国際的NGOの日本支部が、
白馬にあるのです。プロスノーボーダーなど、ウィンタースポーツを
愛する人たちの集まりです。このグループとこれから協働していきたいという思いもあって、大きな自然に囲まれた白馬へのトリップとなりました。
正直テントで寝ると言われてビビッていましたが、実際は最近流行りのグランピング。
mukavaさんという素敵なキャンプ場を貸し切ったすこぶる快適な手ぶらでキャンプです。フィンランド製の立派なテントが張ってあり、テントの中はウッドデッキになっているのであいにくの小雨模様でも苦になりませんでした。
到着早々、車で鎌池へハイキングに行ったり、近隣の温泉を楽しんだりして都会の垢を落して、お待ちかね、食堂のある大テントで夕食です。
凝ったビーガン料理とビール・ワインで舌が回り始めた頃から、それぞれが何故環境保護活動を積極的にするようになったのかを皆とシェアする時間があり、その後これからの350.org Japanについての意見交換をしました。この秋、ホームページを含めた色々な資料をリニューアルするらしく、あの夜のみんなから出てきた素敵な言葉やアイディアがその材料として使われるそうです。その時の参加者の意見は改めてシェアされると思います。ボランティアの意見を活動方針に取り入れようという350の体質がとても嬉しいです。
ところで現地でPOWの活動をリードしている、プロ・スノーボーダーのゴロウさんやPatagoniaの白馬店を辞めて白馬に住み着いた翔太郎さんから、車の中で色々なことを聞く機会がありました。彼らによると、ここ何年かで確実に温暖化が進んでいるという実感があるそうです。東京にいても、西日本豪雨や大型台風の上陸など、気候が変わったと思われる現象で何となく感じていましたが、白馬で言わば定点観測をしている自然のプロから聞くと、この雄大な自然の姿をいつまで保つことができるだろうかと、改めて不安になります。同時に、失わないために皆で行動しなければという思いが更に募ってきたトリップでした。
気候変動を阻止するためには、政府や企業が脱炭素化に向け政策や戦略の舵を切る事から、私たち一人ひとりが再生可能エネルギーの利用や省エネ、リサイクルを進めること等、社会の様々なレベルの総力を結集させる必要があります。それを勢い付けるためには市民の力が必要です。
350.org Japan は私たちの声を方針に反映させ、市民の立場、草の根から行動して、脱炭素化を目指そうという団体です。声を出さなければ考えは伝わりません。大勢集まれば大きな声になり脱酸素化が加速します。
これを読んでる皆さんも、是非仲間に加わってください。
ボランティア登録はこちらから…
1.5℃の重要性
〜オセアニア〜
太平洋では海面が上昇し、オーストラリアにおいて大規模な干ばつが大打撃を与え、定期的に猛烈な火災が発生しています。このような状況下でオーストラリア最大の環境資産であるグレートバリアリーフのすぐ隣に巨大な炭鉱の建設が提案されています。「我々は決して覆い隠さない!我々は闘う!」というモットーを掲げ、太平洋気候活動家たちはそれを阻止する決意をしました。
インドの化石燃料会社のアダニ社によって提案されたカーマイケル炭鉱プロジェクトは地球上で最大の石炭鉱山の1つとなり、200平方キロメートルの面積を覆い尽くし、毎年6,000万トンの石炭を生産します。これらはすべてグレートバリアリーフを通って輸送されていきます。
この石炭鉱床は世界最大の未開発石炭埋蔵地域の一つであるガリレイ盆地の一部です。ここではさらに8つの新しい炭鉱が提案されています。彼らがこれに着手すればこれらのプロジェクトによる石炭は毎年7億5百万トンの二酸化炭素を大気に放出するでしょう。これはオーストラリアの年間石炭生産量を2倍以上にし、世界の炭素予算の5%を燃やすことになります。
提案されているカーマイケル炭鉱を建設して稼働させるためにアダニは今後数十年間で干ばつに襲われた中央クイーンズランド州の川から年間10億リットルの水を取ってきたいと考えています。オーストラリアは「炭素爆弾」国です。つまり石炭と液体天然ガスの地球上最大の輸出国です。近隣諸国の多くが気候変動によって直接的な脅威にさらされていますが、オーストラリア政府は石炭業界の強力な支持者として行動し、近隣の太平洋諸国が直面している現実的な脅威を無視しています。
オーストラリアと太平洋諸島はすでに気候変動の破壊的な危険性を目の当たりにしています。オーストラリアは現在、記録的な干ばつに苦しんでおり、今年の冬には大規模な森林火災によりすでに東海岸の一部が荒廃しました。この夏はさらに壊滅的となるでしょう。押し寄せる暴風雨前線と海面上昇により太平洋諸島諸国の中には数十年以内には全人口の移住を計画せざるを得なくなったところもあります。
温室効果ガスの排出量を早急にゼロにし、地球の温暖化を産業革命前よりも1.5℃以上高くしないように抑えない限り、科学者たちは世界中のサンゴ礁の99%は毎年サンゴの白化現象にさらされると推定しています。アダニ炭坑のような巨大な新しい炭田や炭坑を開くことによって確実に最悪な気候変動に見舞われるでしょう。
アダニ炭坑を強く支持するオーストラリア政府の決意をよそに、オーストラリアの人々はこれまでに見た中で最大のコミュニティ動員を行い、それと闘っています。#StopAdan(i アダニを止めろ)運動によりこの問題がトップニュースとして扱われました。その結果、様々な銀行にプロジェクトへの支援を撤回させるように圧力をかけ、気候変動に対する大きな新たなコミュニティの反乱へと駆り立てました。
過去数年間において、気候変動の最前線で活動している太平洋諸島の若者たちからなるネットワークである太平洋気候戦士という団体はオーストラリアの太平洋諸島の大規模な離散コミュニティとの関係を強化してきました。ここ最近では12島の太平洋諸島の太平洋気候戦士たちがオーストラリア政府に抗議するためにニューカッスルの港と石炭ターミナルに伝統的な手彫りのカヌーで入って行きました。
2018年に戦士たちはアダニ炭鉱が太平洋の生活、生計手段、生態系に及ぼす脅威に対する意識を高めるために太平洋諸島の人々と他のオーストラリア市民に対して訴えかける計画をしています。
「石炭とガスを地中に残したままにしておく方法を見つけなければなりません。世界中の人々がこれを認識し、化石燃料業界の権力と闘うための行動を起こしています。私たち太平洋諸島の人間にとってこれほど緊急かつ必要なものはありません」とトケラウ出身の太平洋気候戦士であるミカエレ・マイアヴァ氏は述べました。
保守的なオーストラリア政府は石炭のロビー団体にこれまで以上に強固に支配されていますが、野党もこれまでアダニプロジェクトへの批判が生ぬるく、連邦政府による気候変動対策は完全に不足した状態になっています。総選挙が近づくにつれ、活動家たちはオーストラリアの公的討論の中で気候変動の問題を提示し、また化石燃料業界への社会的権益を撤回し、この気候変動を抑える緊急性を訴える計画を行っています。
「オーストラリア政府によってなされる決定はオーストラリア人と近隣諸国の人々すべてに対し、今後重大な影響を与えます。これらの決定は私たちを守るためのものであって、さらに大きな脅威を生み出すためのものではないことをしっかりと確かめることは私たちの責任であります」と350.orgオーストラリアのCEOであるブレア・パリーズ氏は述べました。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜アメリカ・モンタナ州/ダコタ州〜
米ルイジアナ州のバイユー(湿地になった入り江や流れの緩い河口)ではエネルギー・トランスファー・パートナーズ社所有の長さ162マイルにわたるパイプライン「バイユー・ブリッジ」建設に抵抗するため、古くからの住民から活動家、コミュニティのリーダーに至るまで皆が立ち上がりました。このパイプラインは今、地域住民の水そして生活そのものを脅かしています。パイプラインの建設そのものがルイジアナ州の湿地帯を破壊します。「バイユー・ブリッジ・パイプライン(BBP)」は建設予定地に広がる湿地帯150エーカーを破壊し、450エーカーに何らかの影響を及ぼす恐れがあります。
ルイジアナ州の湿地帯はすでに気候変動や開発による影響を受けており、沿岸部では海面上昇が原因で1時間ごとに平均1エーカーの湿地帯が失われているのです。既存の石油パイプラインはすでに地域産業にダメージを与えてきました。BBPが建設されれば、事態はさらに悪化、洪水が増加し、生態系に取り返しのつかないダメージがもたらされることになるでしょう。
ルイジアナ州のパイプライン建設予定地の活動家たちは建設に伴うさまざまな有害な影響から地域住民と水を守ろうと逮捕も覚悟で抵抗を続けています。この種の化石燃料事業および化石燃料採掘は地域の水や人々の生活を脅かすばかりか、地球の気温を危険なレベルにまで上昇させてしまうのです。BBPが輸送する石油は新規の石炭火力発電所30基分に匹敵する二酸化炭素(CO2)を排出します。気温上昇を1.5℃未満に抑えるという国際目標とこのパイプラインの建設は到底相容れないことは明白です。
BBPが運ぶ石油はノースダコタ州から「ダコタ・アクセス・パイプライン」経由で輸送され、最終的には海外に輸出されます。「ダコタ・アクセス・パイプライン」建設反対運動に感銘を受けた「バイユー・ブリッジ」の抵抗運動は 「L’eau est la Vie Camp(ロー・エラヴィキャンプ)水は命」を立ち上げました。この闘いは激化し、活動家たちはパイプライン建設を阻止しようと命を危険にさらし、体を張って抵抗、警察はそんな彼らにテーザー銃を向けたり、拘束したりしています。 。
気候変動についていうと、ルイジアナ州は米国でもっとも深刻な影響を受けている地域です。勢いを増すハリケーンは低所得地域や非白人が暮らす地域、また気候変動の影響に脆弱な地域に特に多大な損額をもたらしています。彼らは極めて高いリスクにさらされている上、その被害からの復旧には他のどの地域よりも多くの困難を伴うことになります。さらに有害廃棄物処理場や下水処理場をはじめとした危険な汚染源の被害を大きく受けるのも、これら地域の貧困層です。中間層や富裕層、白人中心の郊外にはこういった施設はほとんど存在していません。BBP建設阻止を目指し闘う、ルイジアナ州セントジェームズ群の住民たちの周囲にはすでに数十億ドル規模のメタノール工場が立ち並んでいます。今やセントジェームズは 「がん回廊」とすら呼ばれるようになってしまいました。
ルイジアナ州の水を守る活動家とその仲間たちによる素晴らしい抵抗運動は暴利を貪る企業や深刻化する気候被害を前に繰り広げられる生活をかけた闘いなのです。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜日本・神戸〜
神戸市は兵庫県の海と六甲山の間に位置し、関西の中で最も美しくて魅力的な都市のひとつです。また1,400メガワットの石炭火力発電所の本拠地です。現在、地元住民、環境団体、環境政策と法律専門家のグループが2つの新しい大規模石炭発電所の建設を止めるために戦っています。
市民グループは追加の石炭火力発電所が呼吸器疾患の原因となる石炭燃焼による副生成物である硫黄酸化物(SOx)と窒素酸化物(NOx)を大気中に放出し、酸性雨と植物への害によって環境を悪化させると述べています。
大気汚染と環境悪化だけが都市に新しい石炭インフラを追加することによる影響ではありません。英紙ガーディアン紙は2017年に地球において3度温暖化することによる海面上昇の影響を最も受けやすい世界の都市に関する報告書を発表しました。神戸から西に位置する大阪市は世界的な海面上昇や暴風などの影響を受け、520万人の人々が影響を受ける可能性が最も高い、最も影響を受けやすい都市の1つに指定されました。神戸を含む大阪湾沿岸の都市も非常に影響が受けやすいと考えられています。
最新の国連環境計画の排出ガスギャップの報告書によれば、パリ条約に規定されているように温暖化を1.5〜2℃の閾値以下に保つために必要な条件として新しい石炭力を建設することはできず、既存プラントの段階的廃止が必要であるとされています。神戸の石炭能力をさらに拡大することは地球温暖化と海面上昇に悪影響を与えます。
この都市に追加の石炭工場を建設する計画は神戸に本社を置く日本の大手鉄鋼メーカーである神戸製鋼が主導しています。同社は大気汚染に関しては悪名高い歴史を持っています。1970年代、神戸製鋼所は数千人の市民に影響を与えた人為的な病気の原因となった大気汚染を生み出したとして地元住民によって法廷に持ち込まれた10の会社のうちの1つでした。20年後同社は誤りを認め、被害者に謝罪し、紛争を解決しました。
神戸製鋼所はコミュニティからの圧倒的な反対にもかかわらず、新しい石炭発電所の建設を推進する現在の計画では過去の誤りから学んだことがどれほど少ないかを示しています。
製品品質評価における不適切な行為に関連する評判の課題も神戸製鋼の障害となっています。2017年8月、同社は少なくとも10年間に渡り金属の強度と耐久性に関する認証を改ざんしたと認めました。兵庫県政府は2017年10月に計画されていたプラ ントの環境影響評価を中止し、製品情報の改ざんに対する不正行為を批判しました。
350.org Japanの調査によれば、金融機関は2015年にパリ気候協定が締結された後、国内の石炭開発に従事する神戸製鋼を含む企業へ融資や引受業務を拡大したことによって問題を大きくした点に責任があります。みずほフィナンシャル、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJは上位トップ3の債権者であり、石炭開発に使用された資金の約62%を提供していました。
現在、地元グループが大気汚染問題や気候変動リスクを巡って神戸製鋼所に対して訴訟を起こすことを決めたため、新しい石炭発電所に反対する戦いについては身動きが取れない状態になっています。
「近年、非常に暑い日々や集中豪雨が増えています。地球温暖化の影響というものはこれまではあまり現実的ではなかったのですが、今では現実的なものに感じています。そのような中で、神戸製鋼は大気汚染に対して脆弱な子どもや公害患者さんが多く住む人口密集地のすぐ近くで、1年間に692万トンものCO2を排出する大規模石炭火力発電所を新設しようとしています。既設の発電所2基と合わせると、世界のエネルギー起源CO2排出量の2300分の1ものCO2が神戸の浜から排出されることになります。しかも、これだけ大きな問題を惹起することが明らかであるのに、今の日本の政治や法制度では建設がとまらないのが現状です。そこで私たちは裁判に訴えを起こすことにしました」と原告側メンバーの一人である甲南大学教授の久保はるか教授は述べました。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。
1.5℃の重要性
〜日本と世界の動き〜
国連気候変動政府間パネル(IPCC)は、世界の平均気温が産業革命前と比べ1.5℃上昇した場合の地球環境や人類への影響をまとめた特別報告書を発表しました。
なぜ「1.5℃」?
2015年に制定された温暖化に関する国際条約パリ協定には「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力」という目標が掲げられています。先日発表された報告書は気温上昇を1.5℃に抑えた方が地球環境や人類にとって著しく好ましいことを指摘しています。気温上昇を1.5℃に抑えることによって温暖化の影響やそれに伴う貧困の危機にさらされる人が数億人減るということが明らかになっています。
Limiting global warming would have clear benefits for biodiversity and species, agriculture production, water availability, ocean health and sustainable development, says #SR15 report on #climatechange pic.twitter.com/yDEbdITvWX
— IPCC (@IPCC_CH) 2018年10月8日
地球の気温上昇が1.5℃以上進んだ場合、大雨や熱波などの異常気象の深刻度および頻度が高まるといわれています。今年の夏、日本各地で観測された記録的な集中豪雨や最高気温の記録更新などの極端な異常気象がまさにその兆候です。
気温上昇を1.5℃未満に抑えることは地球上の生命すべてにかかわる重要な課題です。
そこで、10月5日(金)に気温上昇を1.5度に抑えることは地球上の生命体にとってどれほど重要なのかを発信する「1.5℃=LIFE」ライトアップアクションを国連大学前で行いました!イベントでは数十人の参加者とともに「1.5℃=LIFE」と記されたサインを掲げ、気温上昇を「1.5℃」に抑えるということの重要性を訴えました。…