米ルイジアナ州のバイユー(湿地になった入り江や流れの緩い河口)ではエネルギー・トランスファー・パートナーズ社所有の長さ162マイルにわたるパイプライン「バイユー・ブリッジ」建設に抵抗するため、古くからの住民から活動家、コミュニティのリーダーに至るまで皆が立ち上がりました。このパイプラインは今、地域住民の水そして生活そのものを脅かしています。パイプラインの建設そのものがルイジアナ州の湿地帯を破壊します。「バイユー・ブリッジ・パイプライン(BBP)」は建設予定地に広がる湿地帯150エーカーを破壊し、450エーカーに何らかの影響を及ぼす恐れがあります。
ルイジアナ州の湿地帯はすでに気候変動や開発による影響を受けており、沿岸部では海面上昇が原因で1時間ごとに平均1エーカーの湿地帯が失われているのです。既存の石油パイプラインはすでに地域産業にダメージを与えてきました。BBPが建設されれば、事態はさらに悪化、洪水が増加し、生態系に取り返しのつかないダメージがもたらされることになるでしょう。
ルイジアナ州のパイプライン建設予定地の活動家たちは建設に伴うさまざまな有害な影響から地域住民と水を守ろうと逮捕も覚悟で抵抗を続けています。この種の化石燃料事業および化石燃料採掘は地域の水や人々の生活を脅かすばかりか、地球の気温を危険なレベルにまで上昇させてしまうのです。BBPが輸送する石油は新規の石炭火力発電所30基分に匹敵する二酸化炭素(CO2)を排出します。気温上昇を1.5℃未満に抑えるという国際目標とこのパイプラインの建設は到底相容れないことは明白です。
BBPが運ぶ石油はノースダコタ州から「ダコタ・アクセス・パイプライン」経由で輸送され、最終的には海外に輸出されます。「ダコタ・アクセス・パイプライン」建設反対運動に感銘を受けた「バイユー・ブリッジ」の抵抗運動は 「L’eau est la Vie Camp(ロー・エラヴィキャンプ)水は命」を立ち上げました。この闘いは激化し、活動家たちはパイプライン建設を阻止しようと命を危険にさらし、体を張って抵抗、警察はそんな彼らにテーザー銃を向けたり、拘束したりしています。 。
気候変動についていうと、ルイジアナ州は米国でもっとも深刻な影響を受けている地域です。勢いを増すハリケーンは低所得地域や非白人が暮らす地域、また気候変動の影響に脆弱な地域に特に多大な損額をもたらしています。彼らは極めて高いリスクにさらされている上、その被害からの復旧には他のどの地域よりも多くの困難を伴うことになります。さらに有害廃棄物処理場や下水処理場をはじめとした危険な汚染源の被害を大きく受けるのも、これら地域の貧困層です。中間層や富裕層、白人中心の郊外にはこういった施設はほとんど存在していません。BBP建設阻止を目指し闘う、ルイジアナ州セントジェームズ群の住民たちの周囲にはすでに数十億ドル規模のメタノール工場が立ち並んでいます。今やセントジェームズは 「がん回廊」とすら呼ばれるようになってしまいました。
ルイジアナ州の水を守る活動家とその仲間たちによる素晴らしい抵抗運動は暴利を貪る企業や深刻化する気候被害を前に繰り広げられる生活をかけた闘いなのです。
地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えられない可能性が急激に高まっていまり、一刻も早く化石燃料産業への支援を断ち切る必要性があります。