6月6日、メディア向け勉強会を東京で開催。G20を前に、日本の金融機関が気候変動問題について果たす役割を議論しました。

 

勉強会では、環境と金融、ESG投資などの専門家が登壇。また、ダイベストメントキャンペーンについて企業の代表の方や、気候変動問題に関心の高い学生さんからコメントをいただき、質疑応答も活発に行われました。

 

 

 

「多くの日本の企業がTCFD提言に賛同したことは前向きに評価している。世界ではパラダイムシフトが起きている。欧米では、すでに脱炭素社会の実現へ向け競争を始めているが、日本はようやく動き始めたところだ」

後藤敏彦氏(サステナビリティ日本フォーラム代表理事)

 

「金融の脱炭素化が1.5℃目標の実現の中核だ。邦銀を代表する3大金融グループの気候変動対応は近年前進している一方で、最も排出量の多いかつ座礁資産化のリスクが高まる石炭火力発電事業への融資を継続する限り、取り組みが問われるだろう」

古野真(350.org シニアキャンペーナー)

 

「教育という側面からESG投資に取り組むことも重要。特に日本の学生は気候変動リスクなど社会課題に関する意識は高いが、これをどのように投資に生かすという金融リテラシーを高めていかなければならない」

引間雅史氏(上智大学特任教授)

「気候変動問題を考える上で世代の公平性という問題も重要。気候変動影響を最も受けるであろう若い人たちの声を聞くことが大切。財務大臣、日本銀行総裁、金融庁長官には、金融機関に対して、パリ協定に整合した金融の一刻も早い実現を促してもらいたい。」

渡辺瑛莉(350.org 日本キャンペーン担当)

「銀行には、手数料などの目先のメリットだけでなく、どんな形で、社会的・環境的・SDGs的に貢献し運用しているかをアピールしてほしい。逆に現状ではこんなところに投融資しているというマイナス面も公表してほしい。」

前田剛氏(株式会社チーム・オースリー代表取締役)

「気候危機によって私たちの未来は根こそぎ奪われるかもしれず、今すぐに行動を起こさなければと思ってダイベストメント宣言に署名した。今後大学でもダイベストメントを広げていき、サステイナブルキャンパスにしたい」

岡田英里さん(聖心女子大学4年生)

 

勉強会を通して、「気候変動リスクは金融リスクである」という見方が世界の常識になっており、欧州では早くも、自然エネルギー社会への移行を見据えて、化石燃料から撤退する動きが急速に広まっているのに対して、日本はようやく動き出したばかりだということが確認されました。

また、日本社会において、まだまだ気候変動リスクへの危機感が圧倒的に足りていないという話題も上がり、認識を広めていく必要性も確認されました。

350.org Japanは今後も皆さんと一緒に行える「レッツ、ダイベスト!キャンペーン」を通して、気候変動問題を市民の力で解決するというミッションに向かって歩みを進めていきたいと思います。

 

350 Japanは気候変動問題への関心を高めてもらい、一緒に行動する仲間を作るためのドキュメンタリーフィルム「Signs from Nature〜気候変動と日本〜」自主上映会も開催中。

 

今後も皆さんと一緒にキャンペーンを通して、気候変動問題を市民の力で解決するというミッションに向かっていきたいと思います。

 


関連記事:

・ ダイベストメント宣言、学生366人達成!(https://world.350.org/ja/divestment-pledge-366/

・ 1.5℃フォトアクション!(https://world.350.org/ja/1-5photo_action/