近年、世界各地で異常気象に伴う大災害が頻発しています。2019年から2020年を例にとっても、オーストラリアやカリフォルニアの大規模森林火災、900万人が影響を受けたとされる中国の洪水などがあり、日本でも発達した線状降水帯による記録的豪雨は九州で大きな被害をもたらしました。これらについては、地球温暖化の影響で災害の強度が拡大したと分析されています。
世界の平均気温は、石炭や天然ガス、石油などの燃焼による温室効果ガスの大量排出が始まった産業革命前と比べ、1.0℃上昇しています。わずか1.0℃でも温暖化が寄与している異常気象などの影響がこれだけ出ています。また、このままの排出が続けば2100年には4,8℃上昇してしまうと分析されています。
一方、気候変動解決への国際的取り組みを決めた、パリ協定における各国の目標が全て達成されても3.0℃上昇すると予測されています。また、地球温暖化は、それ自体がさらなる温暖化の原因となり、温暖化が不可逆的に加速する負の悪循環の発生も懸念されています。
では、どこまでの上昇まで耐えられるのか?科学者は、人類や他の生物にとって持続可能な地球の気候環境を保つためには、世界の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑える必要があると警告しています。
私たち350.orgは、この文字通り気候危機の解決に向け、世界の約180か国で運動を展開しています。
気候危機解決のためには、再生可能エネルギーの推進、森林保護、フードロスの削減など様々なアプローチがあり、様々なNGOが活動を行っています。その中で、350.orgは次の様な3本の柱を軸として活動しています。
地球的規模で起こっている気候危機の解決には、世界の政府、自治体、企業、様々な団体、市民の全てが協力して行動することが必要です。
市民が変われば政府が変わる。市民が変われば企業も変わります。350.orgは、脱炭素社会構築の原動力となる世界の市民と協力して、各国で草の根の運動を展開しています。
米国先住民の言葉に、「地球は親から与えられたものではない。祖先からの授かり物でもない。子供たちから借りているのだ。」というものがあります。私たちは、子供や孫、そしてそれに続く世代に、安全で安心して生活できる地球を残さねばなりません。
皆さんもぜひ私たちの運動に参加してください。そして、一人ひとりの小さな声を集めて大きな声にして、政府の政策や企業の行動を変えて、1日でも早い脱炭素社会の実現を目指しましょう。
350 .org Japan 代表
横山 隆美