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2023年1月17日

【共同プレスリリース】火に油を注ぐ:GFANZ加盟機関が化石燃料拡張に巨額を投入

共同プレスリリース

2023年1月17日

リクレイム・ファイナンス

国際環境NGO 350.org Japan

火に油を注ぐ:
GFANZ加盟機関が化石燃料拡張に巨額を投入

2023年1月17日【パリ】三菱UFJフィナンシャル・グループおよび野村アセットマネジメントを含む世界の金融機関は、「ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)」に加盟し、二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすることを公表した後も、化石燃料生産に従事する企業に巨額の資金を投入し続けていたことが判明しました。リクレイム・ファイナンス(Reclaim Finance)や350.org等のNGOグループが新レポートによって明らかにしました(1)。世界経済フォーラム(WEF)に出席するため、実業界や金融界の代表らがダボスに一堂に会する中、リクレイム・ファイナンスは、GFANZを構成する各セクターに対し、加盟機関による化石燃料拡張への支援をやめさせるよう要請しています。温暖化を1.5℃未満に抑える排出経路に沿って、2050年までのネットゼロ達成に向けた約束を真剣に果たすつもりなら、科学に基づき求められている、この短期的気候対策に直ちに着手すべきです。

レポートでは、GFANZ各セクターの加盟機関である金融機関が化石燃料開発の世界最大手各社に提供している支援について分析しています(2)。レポートにおいて、下記の点が明らかにされています:

  • ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)に加盟する大手銀行56行は、同アライアンス加盟後、化石燃料の拡張に従事する大手企業102社に約2,700億米ドルを提供。その内訳は、融資134件、引受215件であった。
  • 「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAM)」の加盟機関最大手58社は、2022年9月時点で、化石燃料開発に従事する主要企業201社の株・債券を少なくとも8,470億米ドル保有していた。
  • GFANZ加盟以降、新規の化石燃料事業や化石燃料の新規供給を可能にする事業に従事する企業への融資を、有意義な形で規制する方針を採用した金融機関は、ごくわずかであった(3)。

 

化石燃料開発に従事する世界最大手計229社が、レポートの調査対象としたGFANZ加盟機関161社から融資を受けています(4)。融資は今後、新規の石炭火力発電所や鉱山、港湾などのインフラのほか、新たな油田やガス田、パイプライン、LNGターミナルのために使用されることになります。2022年10月に国際エネルギー機関(IEA)が公表した「世界エネルギー見通し(World Energy Outlook)」最新版でも指摘されている通り、これら新規化石燃料事業は、地球温暖化を1.5℃未満に抑える目標と相容れないものです。GFANZ加盟機関には脱炭素目標を採択しているところもありますが (5)、こうした化石燃料事業は、今後数十年にわたり温室効果ガスを排出し続けることになります。

 

リクレイム・ファイナンス設立者 兼 事務局長のルーシー・ピンソン(Lucie Pinson)のコメント気候のために設定した目標を達成し、最悪のシナリオを回避するためには、石炭・石油・ガスの新規開発事業を一刻も早く打ち切らなければならないことを、科学は明確に示してきました。にもかかわらず、大半の銀行や投資家は現状維持の姿勢を崩していません。カーボン・ニュートラルという高い目標を掲げたものの、何の制約もないまま化石燃料開発に従事する企業を支援し続けています。このようなグリーンウォッシュ(見せかけだけの環境配慮)は、ネットゼロに向けたすべての取り組みの信頼性に疑念を投げかけ、気候のために真剣に取り組んでいる人々の努力を損なうという点で、いっそう有害です。

 

温暖化を1.5℃未満に抑えるというGFANZのコミットメントを守るためには、化石燃料拡張への資金提供を止める必要があります。それが明確であるにもかかわらず、GFANZのどのセクターもガイドラインでこの問題を意義ある形で取り上げていません。

GFANZに加盟したすべての金融機関が、加盟時に署名している国連主導のキャンペーン「Race to Zero(排出ゼロへの競争)」では、金融機関およびそれ以外の非国家主体の組織を対象にネットゼロに整合するための基準を定めています。2022年6月以降、新規化石燃料事業への資金提供を終わらせることが新たに基準に盛り込まれました。GFANZとしては、国連の「Race to Zero」イニシアチブへの加盟機関の参加要請を取り止めましたが、GFANZを構成する各セクターは、同イニシアチブのパートナーとして、その基準の遵守を約束しています。2022年11月にネットゼロに関するハイレベル専門家グループが公表したレポートは、信頼性のあるネットゼロ宣言は、化石燃料拡張への資金提供打ち切りを盛り込むべきだと強調しています(6)。

 

リクレイム・ファイナンスのシニアアナリスト パディ・マッカリー(Paddy McCully)のコメント:気候をめぐるGFANZ加盟機関の行動は、まるで放火犯です。ネットゼロ達成を公言しておきながら、化石燃料開発に従事する企業へ巨額の資金を投じ続けているのです。GFANZと各セクターが信頼されるためには、より真摯にこの問題に向き合い、石炭・石油・ガス拡張の時代に素早く終止符を打つよう、加盟機関に促していかなくてはいけません。

 

日本においては、三菱UFJフィナンシャル・グループが2021年6月にNZBAに加盟して以降、154件の取引を通じ、化石燃料開発に従事する企業57社に資本約227億米ドルを直接提供したり、支援したりしています。野村アセットマネジメントは、2022年9月時点で、化石燃料開発に従事する企業に約76億米ドルを保有しています(7)。

 

350.org Japanのシニア・キャンペーナー渡辺瑛莉のコメント「ネットゼロという高い目標を掲げたにもかかわらず、三菱UFJフィナンシャル・グループと野村アセットマネジメントを含む日本の銀行や投資家は、投融資を通じ、ネットゼロと整合しない新規の石油やガス、さらに石炭開発にまで支援を続けています。新規化石燃料事業への投融資をやめない限り、日本の金融セクターが気候危機に真剣に取り組んでいるとは見なされないでしょう。私たち皆が豊かさを享受していくためには、グリーン経済への移行が急務であり、金融セクターはその実現に向け貢献すべきです。」

 

以上

連絡先:

  • 350.org Japanシニアキャンペーナー 渡辺 瑛莉 [email protected] 
  • エネルギー移行シニアアナリスト パディ・マッカリー(Paddy McCully)[email protected], +1 510 213 1441 (カリフォルニア州)
  • リクレイム・ファイナンス事務局長ルーシー・ピンソン(Lucie Pinson)[email protected], +33679543715
  • コミュニケーションマネージャー アナイス・レーネルト(Anaïs Lehnert)[email protected], +33670085898 
  • 国際メディアマネジャー ヘレン・バークレー(Helen Burley)[email protected], +44 7703731923

注記:

  1. レポート「Throwing Fuel on the Fire: GFANZ financing of fossil fuel expansion(火に油を注ぐ:化石燃料拡張に資金を投じるGFANZ)」はこちらからご覧いただけます(英語)。レポートは、リクレイム・ファイナンス、350.org、BankTrack、RAN、Recommon、Urgewald、Les Amis de la Terre、Sierra Club、Stand Earthによる共同執筆。
    GFANZは2021年4月、「世界経済の脱炭素化を加速し、主流な動きとしたうえ、2050年までに排出量ネットゼロにすること」を掲げ発足。GFANZは、アセットオーナー、アセットマネージャー、銀行、保険、また金融コンサルタントやデータなどの金融サービスプロバイダーを含む7つのセクター別アライアンスで構成されています。これらセクターには、多数の金融世界最大手を含む、50カ国550社の金融機関が加盟しています。本レポートで取り上げたGFANZの加盟機関は、資産規模に基づき選出しています。金融リサーチは、主にBloomberg、Refinitiv、IJGlobalのデータに基づき、研究機関Profundoが実施しました。データは、各加盟機関がGFANZに加盟した日から2022年9月までの期間を対象としています。
  2. 2022年9月時点の財務データ。レポートで取り上げられている金融機関には、レポート発行前に財務データの検証のため、リクレイム・ファイナンスから連絡しています。方法論詳細については、レポート本文の追加資料11(英語)にご覧いただけます。
  3. 本レポートで取り上げたGFANZ加盟機関161社を、リクレイム・ファイナンスの「Coal Policy Tool(石炭方針ツール)」で評価したところ、石炭新規開発事業に従事する企業への支援を除外する何らかの方針を採用していたのは、わずか61社でした。リクレイム・ファイナンスの別のツール「 Oil and Gas Policy Tracker(石油・ガス金融方針成績評価)」によると、新規石油・ガス開発事業に携わる企業への支援を打ち切る厳格な方針を採用しているのは、フランスの郵便貯金銀行「La Banque Postale」のみでした。
  4. 本レポートでは、「Global Coal Exit List(脱石炭リスト)」に掲載されている大手石炭開発企業368社に加え、新規油田・ガス田の探査・開発に従事する企業91社、石油・ガスパイプラインやLNGターミナル建設に従事し「Global Oil and Gas Exit List(脱石油・ガスリスト)」に掲載されている大手77社への融資を調査しました。これら493社のうち、229社がGFANZ加盟機関から資金提供を受けていたことが判明しました。GFANZの構成セクターであるネットゼロ・バンキング・アライアンス、ネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアチブ、ネットゼロ・アセットオーナーズ・アライアンス、ネットゼロ・インシュアランス・アライアンスの資金提供やポリシーを評価しています。
  5. 脱炭素目標の採択は、気候の緊急事態に対応するには不十分なものです。銀行や投資家が採択した既存の脱炭素目標は、十分に高い目標設定が欠如しているうえ、方法論についても多数の問題があるため、化石燃料の拡張に従事する企業への資金提供を打ち切ることができず、温室効果ガス排出量の速やかな削減にも貢献できていません。
  6. 2022年11月にネットゼロに関するハイレベル専門家グループが公表したレポート「Integrity Matters: Net Zero Commitments By Businesses, Financial Institutions, Cities And Regions(信頼性の重要性:企業、金融機関、都市、地域によるネットゼロ誓約)
  7. 日本の銀行およびアセットマネージャー詳細については、こちらからご覧いただけます。

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