【プレスリリース】中東エネルギー危機を受けた日本政府の新たなエネルギー政策パッケージに関するコメント
プレスリリース
2026年8月26日
国際環境NGO 350.org Japan
中東エネルギー危機を受けた日本政府の新たなエネルギー政策パッケージに関するコメント
8月26日、日本は、GX実行会議において「エネルギー需給構造の強靱化総合パッケージ(パワーGX)」を発表しました。国際環境NGO 350.org Japanは、同パッケージについて、気候危機のみならずエネルギー危機の課題を解決することができず、むしろ本質的な解決から人々の目をそらし、事態を悪化させるものとなっており、極めて問題であると言わざるをえないと指摘しています。
国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は、次のようにコメントしました。
「今回の新たなエネルギー政策パッケージは、エネルギーと気候変動という2つの危機を解決するどころか、さらなるリスクに日本の市民と世界を引き込むものです。
今回のパッケージでは、日本政府として中東でホルムズ海峡を迂回する代替パイプライン建設支援を打ち出しています。これは、仮に実行するとしても巨額のコストと長期間を要するもので、目下のエネルギー対策には間に合いません。そればかりか、新たな化石燃料インフラをロックインし、将来的な化石燃料依存と温室効果ガス排出量の増加を助長するものです。パリ協定1.5℃目標の達成を阻害すること、脱化石燃料をめざす国際社会の潮流に水を差すことは明らかです。さらに、国際司法裁判所(ICJ)による気候変動に関する勧告的意見を踏まえれば、このような化石燃料インフラ支援は国際法上の違法行為となりうるものです。天然ガス火力等の供給力向上や水素・アンモニアを盛り込んだ点にも重大な懸念があります。
また、従前の方針に沿って2040年代に最大5基、2050年代に最大14基の原発の建て替えという見通しのもと、次世代革新炉の社会実装を進め、原子力を最大限活用するとしています。しかし、計画・建設から運転開始まで約20年を要する原発では、足元で起きているエネルギー危機や気候危機への対応に間に合いません。さらに、省エネや太陽光・風力などの再生可能エネルギーと比べてコストが極めて高く、事故リスクも甚大です」
2026年2月のイラン戦争に端を発する原油・ガス価格の高騰によって、日本国民は今年7月までに187億5000万ドルの追加負担を強いられたこと、緊張の激化が続けば2026年末までに7兆円以上(7兆2385億円~7兆6192億8000万円)の負担を被ることになると350.orgは分析しています。このような事態の中、石油元売りなどの化石燃料企業は大幅な利益増を記録していますが、すでにエネルギーや食料などライフラインに係る物価上昇は国民生活に深刻な影響を与えています。
こうした状況を踏まえ、伊与田はさらに次のように述べました。
「今回のパッケージの発表に先立つ8月25日、高市首相は、高市内閣の措置によって日本のガソリン価格は、日米欧の中で一番安価な状況になったとアピールしています。しかし、その価格差を補填しているのは国民の税金であり、実際の国民負担が軽くなっているものではありません。今般のエネルギー危機は、化石燃料の価格変動と海外依存のリスクに国民が向き合う機会になるはずですが、政府による化石燃料依存という政策的失敗を国民負担に転嫁させ、あまつさえ、それを実績であるかのように喧伝するのは、不誠実と言わざるをえません。
政府が支援すべきは、莫大な利益をあげている化石燃料ビジネスではありません。省エネルギーや再生可能エネルギーによる電化へのさらなる支援によって海外の化石エネルギー資源への依存度を減らすこと、エネルギー貧困に苦しむ人々への支援こそが必要です。中東情勢のエネルギー危機に対応できていない現行の第7次エネルギー基本計画を見直し、脱化石燃料と、再生可能エネルギー100%への公正な移行をこそ進めるべきです」
以上
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伊与田昌慶(いよだまさよし)
国際環境NGO 350.org ジャパン・キャンペーナー
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