【プレスリリース】新分析:イラン攻撃後、日本における化石燃料高騰による追加コストは約1兆数千億円以上
プレスリリース
2026年4月30日
国際環境NGO 350.org Japan
新分析:イラン攻撃後、日本における化石燃料高騰による追加コストは約1兆数千億円以上
化石燃料・原子力から安価な再エネと省エネへのシフトを求める市民キャンペーンが始動
国際環境NGO 350.orgの新しい分析によれば、今年の米国とイスラエルによるイラン攻撃のあとの2ヶ月間で、化石燃料価格の高騰により、日本は1兆数千億円のコストを追加的に負担しました。350.org Japan(350 Japan)と日本のアクティビストは、日本政府に対して、化石燃料や原子力への補助金を撤廃し、安価で早期導入が可能な省エネルギーと再生可能エネルギーの加速を求めています。
350.orgによる新たな分析では、世界的な石油及びガス価格の高騰により、日本の一般市民や企業は、戦争の最初の60日間で、少なくとも1兆2900億円~1兆3600億円の追加的な損失を被ったと推計されます[1]。市民が生活費の高騰に苦しむ中、日本政府は、人々から集めた税金で化石燃料産業に巨額の補助金を出しています。このことは、国際情勢が急変するたびにエネルギー危機に陥る、脆弱な社会経済システムを継続することにほかなりません。
その他の写真はこちらからダウンロードいただけます。(photo: 350 Japan)
4月29日、350 Japanと日本の気候アクティビストは、東京の国会議事堂前で、物価高騰対策として、化石燃料と原子力から省エネ・再エネへの転換を求める市民アクションを行いました(写真)。また、ウェブサイトにて新たに「電気代が高すぎる。安心して暮らせるエネルギー政策を」と題した署名活動を始めました。
東京でのこのアクションは、すべての人が手頃な価格でエネルギーを利用できるようにするための世界規模の新キャンペーン「グレート・パワー・シフト(The Great Power Shift)」の一環です。本日、350.orgのアジア、パシフィック、ラテンアメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、北米を含む世界中のチームおよびパートナー団体が一斉にこのムーブメントを開始しました。
*The Great Power Shiftウェブサイト(英語):https://350.org/the-great-power-shift/
国際環境NGO 350.org Japanジュニア・フィールド・オーガナイザーの飯塚里沙は次のようにコメントしています。
「私たち市民は化石燃料中心のエネルギーシステムのつけを払わされています。政府は化石燃料や原子力に対してはあらゆる支援制度を通じて補助金を注ぎ込んでいるのに、省エネと再エネには冷淡です。電気代も交通費も食費も、もっと再エネを導入していたなら、イラン危機の影響をより小さく抑えられていたはずです。
化石燃料価格の高騰によって深刻な影響を受けている市民に対して支援を行うことは急務です。このアクションを通じて、すべての人は、手頃な価格で安定的に安全でクリーンなエネルギーを利用する権利があると訴えます」
国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は次のようにコメントしています。
「日本は、化石燃料のほぼ100%を海外からの輸入に頼っています。2度のオイルショック、ロシアのウクライナ侵攻、目下のイラン攻撃とホルムズ海峡封鎖など、情勢が急変するたびに乱高下するエネルギー価格に翻弄されてきました。高市政権では、ガソリンに対する補助金や低効率な石炭火力発電の再活用などの方針が示されましたが、このような一時しのぎでは、今後も幾度となく日本でエネルギー危機が繰り返されることになるでしょう。
折しもサンタマルタの脱化石燃料の国際会議では、有志国による脱化石への政治的意思が示されました。これに招待されなかった日本政府は、化石燃料の利用継続を前提とした従来のエネルギー基本計画を見直すべきです。『再エネ3倍・省エネ率2倍』という国際合意に沿った、脱化石燃料のロードマップを検討することが、『エネルギー安全保障』のためにこそ必要なのです」
350.orgは、石油とガスの価格高騰により、2026年末までに世界経済に6000億ドルから1兆ドル以上の損失が生じる可能性があると明らかにしています[2]。350.orgの報告は、エネルギー価格の高騰に加え、家計が毎年12兆ドルの「隠れた」化石燃料コスト、つまり社会が税金や自己負担で支払う化石燃料補助金、税制優遇措置、健康への影響、気候変動による損害を負担していることも示しています[3]。
国際環境NGO 350.orgのキャンペーン・ネットワーク最高責任者であるサヴィオ・カルヴァーリョは次のように述べました。
「私たち市民が代償を払い、彼ら化石産業が利益を得る(We pay, they profit.)――化石燃料から脱却するまでこの構図が続きます。教訓は明らかです。化石燃料への依存度が低くなればなるほど、一般市民は価格の激変から守られます。再生可能エネルギーは最も安価な選択肢として急速に普及していますが、化石燃料は価格変動のリスクに脆弱な重荷となっています。今こそ、巨大な石油企業に責任を取らせ、市民に力を取り戻す時です」
注記:
[1] 今回の350.orgの分析では、イラン戦争開始後の石油(およびガス)価格の加重平均値に、各国の消費水準と、価格上昇に伴う需要減少などの不確実性を考慮した調整を加味して、価格高騰による損失を算出している。ただし、肥料や食料価格の高騰、経済生産高や雇用の減少、化石燃料価格の変動によって引き起こされる広範なインフレといった、より大きく間接的な波及効果は、この推計に含まれていない。そのため、現実の経済的損失の総体は、石油・ガス価格の変化による直接的な損失よりもはるかに大きくなると考えられる。
[2] ガーディアン紙の報道
[3] 国際環境NGO 350.orgの報告書「家計圧迫:化石燃料が家計と経済をいかに蝕んでいるか」(英語版のみ)
以上
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伊与田昌慶(いよだまさよし)
国際環境NGO 350.org ジャパン・キャンペーナー
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