中国の主要省庁、グリーンファイナンスに意欲
エド・キング
中国の主要省庁が、「環境に優しい」国内投資を推進する一連の指針を採択
9月1日、中国人民銀行は声明 を発表し、今後は「環境に優しい金融制度の構築に向けたガイドライン」に基づいたの国内融資を行うことを明らかにしました。
同ガイドラインの下、環境に配慮した開発基金が設立され、また地方政府には環境に配慮したインフラ計画の推進が求められことになります。
中国人民銀行の周小川(シュウ・ショウセン)総裁は、「環境に配慮した金融制度の構築は、中国の国家戦略となった」と述べています。
同ガイドラインには、国家発展改革委員会や環境保護部、財務部などの主要省庁が参加しています。
国連環境計画によると、中国の再生可能エネルギーやクリーンエネルギーの輸送機関、エネルギー効率分野の開発費用は、年間およそ6,000億米ドル(約61兆円)になるそうです。
「環境に優しい」と分類されたプロジェクトへの融資には助成金が交付され、また将来的には、企業は環境情報の開示制度への参加が義務づけられるようになります。
中国人民銀行の声明には、次のように記載されています。「ガイドラインは、環境に関わる保険および権取引の策定、また環境汚染責任保険制度の導入に関わる法規制の作成を求める。」
「またガイドラインは、多様なカーボン・ファイナンス(排出権取引など、排出削減に関わる金融)商品の開発を支援すると同時に、エネルギーや水に関わる権利、CO2排出権、その他の環境権を取引するための市場と、これらの権利に基づいた金融ツールの開発を推進する。」
さらに各省庁が「全ての要求事項を忠実に実施」すべきであることも明記されています。
一方、何が「環境に優しい」と分類されるのか、その基準については、ガイドラインではほとんど触れられていません。 国際環境NGOグリーンピースが先週公表した調査によると、中国は高効率の石炭発電プロジェクトを「クリーンで環境に優しい」と分類しているそうです。
国際NPO気候債券イニシアチブ(Climate Bonds Initiative)の最新レポートには、こう記載されています。「中国のガイドラインで“環境に優しい”と分類されるプロジェクトは、国際的なグリーンボンド(気候変動対策や環境保護プロジェクトの資金調達のために発行される債券)市場の基準とは相容れないことがある。これは特に、化石燃料プロジェクト、化石燃料を利用した公共の交通機関に関わるプロジェクト、またサプライチェーン事業への投資などにおいて顕著である。」
とは言え、金融界ウォッチャーによれば、中国人民銀行の声明は、G20によるグリーンファイナンス促進に向けた強力な後押しと相まって、中国政府の環境保護政策をいっそう引き立てているようです。
G20で採択された「杭州合意」のもと、先進20カ国首脳は、環境に配慮した融資の規模をさらに拡大していくこと、また環境保護促進のための政策について連携して取り組んでいくことに合意しました。
国連環境計画(UNEP)のエリック・ソルハイム事務局長は、次のように述べています。「中国の最高幹部が国の金融機関に呼びかけたことで、国内金融制度を改革し、環境に配慮した開発のニーズに応える、という国家野心をより強固なものにしています。」
「残りの国々もこの声明にならうことを願っています。」
…
東アジア気候変動リーダーズキャンプで得たアイディアとつながり
インターンの高橋淳志です。
8月27日から8月29日まで韓国で行われたEACLC(East Asia Climate Leaders Camp:東アジア気候変動リーダーズキャンプ)に参加してきました。
キャンプは職場である国際環境NPO「350.org」の主催で行われ、日本・韓国・台湾・香港・中国・フィリピン・インドネシア・ベトナムの8カ国・地域の350.orgメンバーや環境保護団体スタッフなどが集まりました。(写真はプレゼンを行う韓国チームです。)
テーマは「ダイベストメント+気候変動との闘い最前線」で、参加者は火力発電所の被害について知るとともにダイベストメント(化石燃料関連会社からの投資撤退)を自分の国でいかに広めていくか、知り、考える機会を得ました。
ダイベストメントは欧米を中心に進んでおり、東アジアでは目立った動きがありません。中国やベトナムのように権威主義体制が、市民団体の活動を制限している例もあります。そのような制約の中で、どのような協力が出来るか、熱を帯びた議論が行われました。
まず初日に行われたのは、参加者が今の仕事につくきっかけとなった出来ごとについて語り合うセッションでした。私は台湾の環境NPOの職員と話しました。350.orgは主に気候変動の原因となる温室効果ガスの排出を根拠にして、石炭火力発電所を問題視しています。しかし彼女が働いている団体は、大気汚染を問題視して活動しているとのことでした。彼女たちが持ってきた資料によれば、台湾中部にある台中市には韓国資本が開発した、570万kw(キロワット)にも及ぶ世界最大の火力発電所群(10基の石炭火力発電所と4基の石油火力発電所)が立地しているといいます。
これまで350.org Japanのキャンペーンでは、気候変動の問題を中心に据えてきました。しかし今後は大気汚染に焦点を当てて、立地地域住民の健康被害に焦点を当てるキャンペーンを行う必要もあるかもしれないと彼女の話を聴いて感じました。
またベトナムからの参加者が、日本の政府機関であるJBIC(国際協力銀行)やJICA(国際協力機構)の石炭支援を問題視していることも、大きな衝撃を私に与えました。環境NPOの業界に入り、日本の企業や政府機関が石炭事業を海外で行っていることを知ってはいました。しかし実際に現地人が反発している様子を聞くと、一日本人として責任を感じざるを得ませんでした。
日本企業や日本政府は、日本の高効率の石炭火力発電技術は、世界の大気汚染や気候変動を軽減するのに資すると考えています。しかし途上国企業や政府が石炭火力発電所誘致を望み、現地の住民が反発しているという民意がねじれた状況で、日本企業や政府が石炭事業を進めるべきとは、とても思えませんでした。
2日目はフィールド・トリップに行きました。キャンプが行われた忠清南道(チュンチョンナムド:日本でいう都道府県)には、韓国の石炭火力発電所の約半分が立地しています。
(Danjing石炭火力発電所の遠景)
地元で反対運動に行っている方によれば、石炭火力発電所からの排出物によって、ガンなどの形で健康被害が出ているそうです。私たちはダンジン石炭火力発電所と、その新規立地計画予定を見学しました。近くには家族連れが海水浴を楽しむビーチがあり、とても環境汚染が起きている場所とは思えませんでした。
日本では94基の石炭火力発電所が現存し、48基の新規石炭火力発電所建設計画があります。電力生産は、石炭の他にも天然ガスや原子力、再生可能エネルギーなどの多様な代替手段があります。日本にこんなに石炭火力発電所は必要なのか、改めて考えさせられるフィールド・トリップとなりました。
(「汚い石炭を止めろ」という意味のバナーを掲げる参加者)
3日目は他の地域とどんな協力が出来るか参加者が話し合いました。例えば気候変動や大気汚染は、被害に脆弱な人々が多い、途上国においてより悪影響が大きくなります。途上国で日本企業がプロジェクトを行っている場合、途上国と日本の市民団体が共同でキャンペーンを行うことが出来るという提案がなされました。その話を聞いて、私たち先進国の環境NPOには、気候変動や大気汚染の被害を受けている人々の声を、大量排出者が多くいる先進国に届ける役割があると思うに至りました。
(プレゼンを行う中国チーム)
また日本人は石炭火力発電所がもたらす気候変動や大気汚染の被害をよく知らないので、途上国の人々の被害を共有することは日本人の啓発につながるというアイディアを得ることが出来ました。
私が今回のキャンプで感じた一番の教訓は、「難しいからこそやる価値がある」ということです。石炭火力発電所のプロジェクトを止めたり、金融機関に「パリ合意」と整合的な投融資方針を取り入れてもらうことは簡単ではありません。しかし簡単ではないからこそ、誰かが本気で取り組み、気候変動や大気汚染の被害に苦しむ人々を減らしていく必要があります。そう思えたことが、このキャンプに参加して得た一番の収穫だと思います。
今回のつながりを一度きりで終わらせないために、今後は東アジアの350.orgチームと他の環境保護団体が共同でキャンペーンを展開するためのプラットフォームづくりへとフェーズが移行していきます。このプログラムに参加したことによって、同じ問題に取り組んでいる仲間が東アジア中にいることを確認出来、私たちの取り組みに対する無言の後押しを受けたような気がしました。
企業の資産が突然負債に? 「カーボン・バブル」の隠れたリスク
インターンの高橋淳志です。
今日は350.orgが重要と考えている「座礁資産」と「カーボンバブル」について概説します。
座礁資産とは、現在埋蔵量として資産価値を持っている化石燃料や化石燃料関連インフラのうち、気候変動規制が行われることによって、その価値がなくなる恐れがある資産を指します。つまり現在化石燃料会社の資産として計上されている埋蔵資源が、使えないものに変わる恐れがあるのです。これには埋蔵されている化石燃料のみならず、石炭運搬設備、石油精製所、LNG液化基地なども含まれます。
350.orgによれば、現在の化石燃料埋蔵量に含まれる炭素の量は、2734から5385ギガトンに上ります。昨年のパリ協定では「産業革命前と比べて世界の平均気温上昇を1.5℃~2℃以内に抑える」という目標が採択されました。パリ協定の1.5℃目標を達成するためには、使えるのは200ギガトン程度、2℃目標の場合は470ギガトン程度しか使えないことになります。つまり現在確認されている化石燃料の埋蔵量のうち、約9割は使えないことになるのです。だいたい世界の二酸化炭素の総排出量が40ギガトン程度なので、今の水準の総排出量を継続してしまえば、1.5℃目標ではあと5年、2℃目標ではあと11年しか二酸化炭素を排出できません。
350.orgは、気候変動規制に伴って化石燃料資産が、資産として評価されなくなる状態を「カーボン・バブル」と呼び警鐘を鳴らしています。今まで資産だったと考えられていたものが、ある日突然資産でなくなり、化石燃料関連企業の株式や債券の保有者に損害と混乱をもたらす恐れがあります。
つい最近ライス大学のベーカー研究所が発表した作業文書によれば、化石燃料産業にとっての気候変動のリスクは以下の四つに分けられています。
・政策リスク(政府の規制や政策変更へのコミットメントのリスク)
・需要リスク(気候変動などによって世界的に需要が下がっているリスク)
・ダイベストメント・リスク(株主や草の根運動のプレッシャによって、投資家が化石燃料産業の株式の保有を避けるリスク)
・競合リスク(化石燃料生産者間の競合や、原発や再生可能エネルギーと競合するリスク)
作業文書の著者は、これらのリスクよりも、圧倒的に気候変動対策が失敗した時のリスクの方が大きいと主張しています。2006年に発表された「スターン・レビュー」と同様、気候変動対策コストは対策しなかった場合のコストを下回るという結論に達したものと思われます。
現在資産として計上されている化石燃料が座礁資産として日本でも顕在化すれば、多額のエネルギー事業を抱える日本の総合商社や、エネルギー関連企業にも大きな負の影響が及びます。これらの企業の株価が下落し、投資家の資産を傷つけることになると予測されます。
日本での座礁資産については「オックスフォード大学スミス企業環境大学院持続可能金融プログラム」が今年の5月に発表した報告書が日本でも報道されました。報告書は、日本政府が石炭火力発電を奨励してきたことを指摘し、現在計画段階にある49基の石炭火力発電所が完成すれば、供給過剰となって発電所が座礁資産となる恐れがあると警告しています。それらの資産の合計は約7兆円から9兆円にも上るといいます。発電所が座礁資産となれば、当然電力会社の負債となって、最終的には電力料金に跳ね返ってきます。電力会社の石炭偏重が、国民の負担を増やす恐れがあるのです。
(この報告書には日本人研究者から批判も出ています。例えば以下のリンクを参照ください。しかしこれらの批判は、石炭火力発電への投資を正当化するものではありません)
火力発電所は数十年運営してようやく元が取れる事業です。今石炭火力発電所に投融資するということは、30年後、40年後も使われるという見込みが初めて合理的に許容されます。この報告書は本当にそれらが必要なのかという、重要な疑問を投げかけています。
350.org およびその日本支部である350.org Japanは、気候変動による被害のみならず、気候変動対策によって発生する「座礁資産」や「カーボン・バブル」について警鐘をならしています。今後は個人のダイベストメントを促すMy Bank My Futureというキャンペーンを展開していく予定なので、今後とも350.or Japanの活動に注目してくだされば幸いです。
【参考リンク】
- ベーカー研究所の作業文書(英語) http://bakerinstitute.org/media/files/files/6b58fc69/WorkingPaper-ClimateRisk-072116.pdf
- オックスフォード大学スミス企業環境大学院の持続可能金融プログラムの報告書(日本語) http://www.smithschool.ox.ac.uk/research-programmes/stranded-assets/satc-japan-japanese.pdf
- GEPR:オックスフォード大の石炭火力座礁資産化論に異議あり(日本語) http://www.gepr.org/ja/contents/20160606-01/
【過去記事】先日開催したイベントの様子です。350.org/ja/ethicalinvestment_eventreport/
…
【イベント・レポート】「金融界の世界貢献:気候変動とエネルギー問題の解決に向けた社会的責任投資行動」
このブログは現在350.org Japanのインターンである、高橋淳志君によって書かれたイベントレポートです。
350.org Japanは、去る8月8日にシンポジウム「金融界の世界貢献:気候変動とエネルギー問題の解決に向けた社会的責任投資行動」を開催致しました。
イベントは二部構成で行われ、第一部では海外および国内の化石燃料取引やエネルギー投融資について三名がプレゼンテーションを行い、第二部では新聞記者、シンクタンク研究員、生協職員などの多様なゲスト・スピーカーがパネル・ディスカッションを展開しました。
この記事では、スピーカーの話を聞く中で、私が興味をひかれたことを中心にイベントを振り返ります。
まず主催団体である350.org Japan代表の古野と、350.org Japanのサポーターを公言してはばからない「ガイア・イニシアティブ」の野中ともよさんが挨拶に立ちました。特に野中さんは、私たちが気候変動に取り組む上での障害や背景を解りやすくお話して頂きました。豊富な経験に裏打ちされた情熱的なお話で、私たちも納得感を持って聴くことが出来ました。
世界のトレンドはどうなっているのか? ――国際的に進む脱炭素化と日本の現状――
まずはじめにオーストラリアの調査機関のジュリアン・ヴィンセント氏が、世界およびオーストラリアの化石燃料取引や投融資に関するプレゼンテーションを行いました。面白いと思ったのは、それまで右肩上がりだった世界の石炭輸入量が、2014に初めて前年比で減少に転じ、その後も減少しているという事実です。これは世界が石炭から脱却し始めている兆しと言えます。
また、ヴィンセント氏がCEOを務めるMarket Forcesのwebサイトでは、日本企業のプロジェクトがオーストラリアや地球の環境を壊している現実が指摘されています。(リンクはこちら)特に国際石油開発帝石(INPEX)や三大ガス会社、みずほ銀行(どこも就職活動生に人気!)などが携わった「イクシスLNGプロジェクト」は、名だたる日本企業が参加しています。
続いて「 特定非営利活動法人A SEED JAPAN」の 西島香織様より、海外の金融機関のダイベストメントの方針について報告頂きました。西島様のプレゼンテーションによれば、海外の金融機関の中には、石炭火力発電所への投融資からのダイベストメントのみならず、石炭の採掘プロジェクトからダイベストメントに踏み切る会社も既に出てきています。
日本の総合商社なども、海外で石炭採掘プロジェクトを行っています。350.orgや海外の研究機関は、このような化石燃料プロジェクトは、気候変動規制などによって無駄な投資に終わるリスク資産(「座礁資産(stranded assets)」と呼ばれています)であると指摘しています。総合商社「三井物産」のグループ会社で、石炭採掘プロジェクトを行っている会社のwebサイト(英語のみ)
海外の金融機関も、化石燃料開発プロジェクトが、長期的に見ればリスクの大きい投資であるという認識を持つようになった結果、ダイベストメントを決断するに至ったと考えられます。
第一部の最後に、主催団体350.org Japan代表の古野より、日本の民間金融機関の化石燃料および原発関連企業への投融資状況をまとめた報告書について発表させて頂きました。古野は改めてレポートの要約を行い、以下の四点を指摘しました。
・日本の金融機関は、化石燃料・原発関連企業へ巨額の投融資を行っている。
・このまま化石燃料への支援を続ければ、昨年のパリ協定の目標達成は困難になる。
・このまま原発関連への投資を続ければ、再生可能エネルギーへの移行を妨げる。
・化石燃料・原発関連企業への投融資が確認されなかった金融機関が、47社あった。
レポート本文は次のサイトよりご覧になれます:350.org/ja/my-bank-my-future-ja/
全てはリテラシーの問題?情報発信の必要性
パネル・ディスカッションで多くのゲスト・スピーカーの方が問題視していたのは、日本人のお金に対するリテラシーの低さでした。例えば企業に入り社会人となった人は、保険会社の人から(旧態依然とした高度成長期のままの)ライフ・プランを提示され、唯々諾々と保険に加入してしまうそうです。また、皆さんも我が身を振り返ればそうかもしれませんが、預金の預け先を決める時に「勤務先から指定されているから」「便利だから」という理由で深く考えずに決めてしまっている場合も多いのではないでしょうか。
あるゲスト・スピーカーは消費者が、「公正な投融資方針」というニーズを示さないから、金融機関も動かない、と指摘していました。金融機関も営利企業ですから、顧客の要望があれば検討せざるを得ません。ただしそのためには顧客である私たち一人一人がリテラシーを身につけ行動をとる必要があります。そういった情報発信も、350.org …
【イベント案内】8/8(月)シンポジウム金融界の世界貢献:気候変動とエネルギー問題の解決に向けた社会的責任投資行動
この度、下記のイベントを開催する運びとなりました。
金融界の世界貢献:気候変動とエネルギー問題の解決に向けた社会的責任投資行動
日時:
平成28年8月8日(月) 19~22時(18:40開場)
会場:
WATERRAS COMMON HALL (ワテラスコモンホール)
https://goo.gl/maps/T1YXvniok6T2
〒101-0063東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地 WATERRAS COMMON 3階
アクセス:
東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅徒歩約2分
JR「御茶ノ水」駅徒歩約3分
東京メトロ丸ノ内線「淡路町」駅徒歩約2分
概要:
最近では気候変動リスクを配慮した投融資方針の策定が、企業の“社会的責任投資”行動の一環として注目を集めています。昨年12月のパリで開催された国連気候変動会議(COP21)では、金融安定理事会(FSB)によって気候変動関連の金融情報公開のタスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の立ち上げが発表されました。気候変動リスクを危惧し、米国の銀行が地球温暖化の原因であるCO2排出量が最も多い石炭などの化石燃料から投資撤退を表明するダイベストメントという動きにも関心が高まりつつあります。
これからは金融機関が気候変動問題に対して、どのような社会的な投融資方針を策定し、それを公開しているかどうかが企業評価の指標として用いられるようになるでしょう。このような背景から、350.org Japanは邦銀と機関投資家の化石燃料および原子力関連企業への投融資(株式、債券、融資、引受)状況を調べるため、142の金融持ち株会社およびその傘下にある198の子会社を対象にした報告書をまとめました。本シンポジウムではその報告書を発表するとともに、幅広い分野で活躍されている専門家をお招きし、脱炭素社会そして持続可能な未来の実現を支えるお金の流れをつくる道を探ります。
プログラム:
19:00~ ご挨拶 野中ともよ様(特定非営利活動法人ガイア・イニシアティブ)
司会: 桃井貴子(特定非営利活動法人 …
解説:アジアの国々は石炭に関する方向性をどのように変えつつあるか
今年初め、世界銀行総裁が次のように述べました。
「もしアジアが今後も石炭火力発電所を稼働し続けるなら、人類は滅亡する運命にある。 これは、人類と地球に取り返しのつかない惨事を招くことになるだろう。」
アジアの主要経済国における「石炭政策の変化の兆候」について述べた、ジム・ヤン・キムの警鐘を、既に耳にしたことがある人もいるかもしれません。…
#Coal Japan: G7から欠けていた温暖化対策、そして日本の石炭ギャンブル
地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の署名式が、4月にニューヨークの国連本部で行われました。5月下旬に三重県の伊勢志摩で開催されたG7サミットはそれに続く、最も大きな国際的なイベントだったにも関わらず、地球温暖化や気候変動問題に対する取り組みへの進展はありませんでした。日本は世界をリードする機会を逃してしまったと言っても良いでしょう。
日本の国内外での石炭開発や石炭火力発電所への多額の投融資を明らかにし、日本の機関投資家に化石燃料への投資を止めるように呼びかけるため、350.org JapanはG7サミットの直前に合わせてSTOP!石炭投資アクションを行いました。
国内でも国外でもあまり知られていませんが、日本は世界で一番石炭への公的支援を行っている国です。 米国のNRDC をはじめとするNGO団体が発表したG7国家による石炭出資額に関するの新たな報告書によると、日本は2007年から2015年の間に海外の石炭火力発電所と石炭開発に 220億ドル以上の出資を行いました。これはなんと、G7国家による石炭への公的支援総額の52%にのぼります。
上のグラフが示す通り、日本はG7内ではずばぬけて多額な公的支援を石炭関連事業へと注いでいます。
さらに知られていないのが、銀行などの日本の民間金融機関が世界中の石炭および化石燃料関連企業に巨額の資金を注ぎ込んでいることです。 昨年、350.org Japanが行った調査では、2014年に日本の民間銀行および保険会社が国内の石炭関連企業に対し、5兆円(約450億米ドル)の投融資を行っていたことが明らかになりました。
また、日本は現在国内に47基もの新たな石炭火力発電所の建造を計画しています。地球温暖化、公衆衛生、そして日本の経済にとってこれは絶望的な知らせです。ハーバード大学およびグリーンピースによる最新の報告書によると、これらの新たな発電所の稼働期間中に少なくとも1万人もの若年死亡者が出るおそれがあることが分かりました。 また、オックスフォード大学の研究では日本の火力発電所は新旧問わず800億米ドルに相当する座礁資産となる可能性があることが明らかになりました。
世界は再生可能エネルギー中心の電力供給体制へ向かっているにも関わらず、なぜ日本はまだ化石燃料への投資を続けているのでしょうか?
2011年3月11日の東日本大震災によって福島原発がメルトダウンを起こし、それは原発に対する大規模な反対運動に繋がりました。それ以降、日本は化石燃料、特に石炭への依存度を高めてきました。
しかし、原子力エネルギーの代替として化石燃料の使用量を増やすことは、日本がパリ協定に基づく責任を果たさないということを意味します。そしてさらに持続可能な道から離れ、他の先進国から孤立してしまいます。
日本の地球温暖化政策への不十分さと、今なお続いている原子力災害を踏まえ、私達は100%再生可能エネルギー社会への転換を促進するために化石燃料および原子力への投資撤退を運動を推し進めています。
#cooljapan それとも #coaljapan ?
5月19日(木)、20日からのG7財務大臣会合を留意し、財務省の前で麻生太郎財務大臣に日本の石炭事業への新規融資の即時に終わらせること、そして再生可能エネルギー投資への切り替えを求めるメッセージを伝えるためのアクションを行いました。 経産省が推進している「Cool Japan」をもじって、350.org Japanメンバーは、麻生太郎財務大臣に扮したイアンと共に、「Coal Japan」と書かれたタスキを身に着け、「クリーン」で「安い」 石炭を出勤中の通行人に配りました。 このアクションの一環としてCOAL JAPANのウェブサイトも立ち上げ、ハフィントンポストにもブログがアップされました。…
クールジャパン、それともコールジャパン?
[このブログは日本ダイベストメントキャンペーン担当の古野真がハフィントンポストへ投稿したブログである。 English below.]
G7伊勢志摩サミットに合わせて、日本の石炭推進の状況を世に知らしめるべく、「コールジャパン」キャンペーンを私たちは始動することにした。日出る国日本を「コール」な国から真に「クール」な国へと変えることが、「コールジャパン」の目的だ。
今週末三重県伊勢志摩で行われるG7伊勢志摩サミットを直前に迎え、現在世界中の目が日本の動向に向けられている。
G7が開催される伊勢志摩には日本が世界に誇る文化の象徴、伊勢神宮がある。またそれ以外にも、最先端テクノロジーやユニークなアートなど、日本は世界に誇るべき「モノ」や「文化」で溢れている。
このような「日本の魅力」を日本政府は組織的に世界に発信しており、その中でも代表的なキャンペーンが経済産業省が進める「クールジャパン」だ。
しかし、果たして日本は本当に「クール」なのだろうか?
あまり知られていないことだが、日本は現在石炭火力発電所を国内に47基新設する計画を進めている。これは他のG7諸国の脱炭素計画に真っ向から逆行する動きであり、石炭推進について日本はG7の中で完全に孤立している。
また、日本は他のG7諸国とは比べようのないほど巨額な公的資金を石炭関連プロジェクトにつぎ込んでいる。その額は2007年から2014年の間に2000億ドルに登る。日本には「クール」より「コール(石炭)」の呼び名の方が、はるかにお似合いのようだ。
近年では、G7の米国、英国やフランスなどが石炭事業への国際的支援に対する規制を厳しくしており、これらの国々は国内でも次々と石炭火力発電所を廃止している。イギリスはすでに完全な脱石炭化を達成しつつあり、アメリカも古い石炭火力発電所を急ピッチで閉じている。その数は過去5年間の間で200以上に達している。
しかし、日本は相変わらず世界一の海外石炭事業推進国として邁進しており、脱炭素化へと進む世界から次第に見放されている。
コールは一切クールではない。
石炭(コール)は自然環境にも人々の暮らしにも壊滅的な影響をもたらす地球温暖化の主な原因である。そして皮肉なことに、日本は気候変動による被害をもっとも大きく受ける国の一つなのだ。例えば、地球の平均気温が4度上昇すると、首都圏でも750万人が海面上昇による被害を受けると言われている。2度の上昇の場合でも420万人分の世帯が浸水すると言われている。
このような深刻な影響があるからこそ、2015年のG7では21世紀後半までに完全に脱炭素化した世界を目指すことが合意されたのだ。さらに、2015年の末にパリで開催された気候変動に関する国際会議では、2050年までに完全なる脱炭素社会を実現することが、世界195カ国により合意された。
言い換えると、温室効果ガスを大量に排出する石炭をエネルギー原として使用することはもはや不可能であり、「石炭にはもう未来が無い」と日本を含む世界が合意したのだ。そして上記の合意を達成するため、世界は温室効果ガスの大幅な削減と、再生可能エネルギーの導入を急速に加速させることが求められている。
一方、世界と結んだ約束とは裏腹に、国内で石炭火力発電所の新設を進め、世界の石炭事業を支える日本は完全に孤立している。しかも、日本は消費する石炭の100%をオーストラリアやインドネシアといった海外から輸入しているのだ。このまま石炭や化石燃料依存を続けると、国はエネルギー自給率を向上できず、また世界経済の不安定性にさらされることになる。
では一体、何が「コールジャパン」を支える原動力となっているのか?
その答えはすばり「お金の流れ」である。日本の公的金融機関や民間銀行、または機関投資家が運用するお金が、大手一般電力会社などへと流れている。これらの企業は自らの利益を守るために、再生可能エネルギーの導入や成長を、あらゆる手を使い抑えているのだ。
去年私たち「350.org Japan」が行った調査により、日本のメガバンクグループ(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友銀行、三井住友信託銀行)が化石燃料や原発に関わる企業へ巨額な投資や融資を行っていることが明らかになった。2014年度での投融資総額は、なんと5兆3890億円にまで登った。
同報告書により、日本の生命保険会社も化石燃料・原発関連企業に約4兆3千億円の投資を行っていることが明らかになった。
しかし、同時に希望の光が差し込んでいるのも事実である。日本の金融と環境技術の力を持続可能なエネルギーに集中させれば、日本は必ず自然エネルギーの世界的リーダーになれる。日本では毎年約200億米ドルが新たな自然エネルギープロジェクトに投資されており、これにより年間800万キロワット(kW)の新たな電源が供給されている。これまでなんども大きな改革を成し遂げてきた日本は、世界の先を行く環境大国に成り上がるポテンシャルを十分に秘めている。
G7 が間近へと迫る中、日本は選択を迫られている。「コール」を選ぶのか、それとも「クール」を選ぶのか。世界は私たちの答えを待っているのだ。
350.org Japanは日本も正しい方向へと導くために、「#DivestJapan」キャンペーンを通して、日本の市民、銀行、生命保険会社、年金基金や公的機関が化石燃料や原子力に関わる企業から「ダイベストメント」(=投資撤退)をするよう呼びかけている。そして、ダイベストメントして引きあげた資金を、持続可能な開発を支える自然エネルギーなどへ転換することを提案している。詳しい情報は公式ホームページ www.350.org/ja にてご覧ください。
現在のお金の流れを持続可能な開発へと転換できれば、私たちは真に「クールジャパン」として世界から賞賛されるだろう。
…
【アクション案内】G7議長国・日本はパリ協定の実践をリードすべき 石炭火力発電所への投融資を止め、再エネ推進を!
今月のG7伊勢志摩サミットに向けて、日本は残念ながらパリ協定で明確にされた世界の脱炭素化への流れとは逆行する方向に進んでいます。特に目立つ動きは国内での石炭発電所の新規計画、そして日本政府や銀行が海外の石炭関連プロジェクトに流す巨額な投資です。
このような状況をうけ、国内外の環境団体と連携し、日本の石炭発電所への支援の停止を求めるアクション「No More!石炭投資アクション」を企画しています。このアクションの呼びかけを共有させて頂きます。
【G7財務大臣会合直前 財務省・JBIC前等アクションのご案内】
G7議長国・日本はパリ協定の実践をリードすべき
石炭火力発電所への投融資を止め、再エネ推進を!
2016年5月17日
今年のG7伊勢志摩サミットの議長国として、そして地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定」の署名国として、日本は国際社会に必要とされている脱炭素社会の実現に向けた政策に真剣に取り組む責任があります。しかし、日本は最も温室効果ガス排出量が多い石炭火力発電所の新規建設49件を国内で計画しています。また、これまでにも日本の政府や民間の金融機関は海外における石炭火力発電プロジェクトに巨額の資金を投じ、現地で多くの人権侵害や環境破壊を引き起こしてきましたが、欧米各国や多くの金融機関が気候変動対策として海外での石炭関連プロジェクトに対する融資規制に動く中でも、日本政府は、まだ石炭火力技術の輸出を推進しようとしています。
このような状況を受け、G7財務大臣会合、そしてG7首脳会議に「持続可能な未来のため、現在新たに計画されている石炭関連プロジェクトへの投融資を直ちに中止し、 再生可能エネルギーに転換していく」というメッセージをしっかりと届けるため、下記のとおり、「No More! 石炭投資アクション」を行います。
また、G7財務大臣会合(5月20日)直前である5月19日の各アクション後には、日本政府に化石燃料への投融資停止をG7で公約するよう求める国際要請書(添付資料を参照。現在、国内外の市民団体から署名を募集中。)を財務省、および、国際協力銀行(JBIC)に提出する予定です。G7首脳会議前に開かれる、国際エネルギー機構(IEA)の高効率石炭技術ワークショップ会場アクション(5月23日)では日本が推進しようとしている「安くて」「クリーン」な石炭火力発技術の矛盾を指摘するメッセージを来場者に訴えます。この機会にぜひ、ご取材ください。
第一回目
- 日時:5月19日(木) 9:00~9:30
- 場所:財務省・正門前(最寄駅:東京メトロ 霞ヶ関)
※ アメリカ、インドネシア、インドなどの海外NGO数名も参加
※ 9:30以降に、財務省・建物内で国際要請書提出(予定)
第二回目
- 日時:5月19日(木)12:20~12:50
- 場所:国際協力銀行(JBIC)前(最寄駅:東京メトロ 竹橋)
※ JBICが融資検討中のインドネシア・バタン石炭火力発電プロジェクト、インド・ダリパリ石炭火力発電プロジェクトの問題に取り組む現地NGOも「融資STOP」を呼びかける予定
※ 13:00以降に、JBIC・建物内で 国際要請書提出
第三回目
- 日時:5月23日(月)9:30~
- 場所:TEPIA イベントホール&会議室(最寄駅:東京メトロ外苑前駅)
※ …
【ボランティアブログ】「本物に触れてみて」… by ゆうか
みなさんにボランティアスタッフのゆうかが書いたブログを紹介します。
素晴らしいメッセージなので、ぜひ最後までお読みになってください!
***********
みなさんこんにちわ!
3月からボランティアスタッフとして活動しているゆうかです。
5/11(水)、日本の大学で初となる350.orgイベント「ダイベストメントって何?~大学編~」を開催しました!
会場となったのは、350.orgJapanのフィールドオーガナイザー清水イアンの母校となる、国際基督教大学 (ICU)!
ICUでは、「E-weeks」と呼ばれる環境意識月間という期間があり、学生主体の様々なイベントが開催されます。
私たちのイベントでは、日本ではまだほとんど知られていないダイベストメントについてプレゼンを行い、その後には実際にダイベストメント運動をしている方3名をゲストにSkypeをしました。
そのゲストというのが、超豪華なんですよ。アメリカの超名門!スタンフォード大学の学生EmilyとJoseph、さらにオーストラリアの350.orgのRay。この3人と会場のみんなでSkype Talk ★
Skypeが繋がり3人の声が聞こえると、会場からは歓声が起こりました。
(本当に遠く離れた海の向こうと会話ができる、技術の進歩はすごいな〜と実感した瞬間でした。笑)
さっそく軽い自己紹介から始まりました。
そこで驚き!実は Emily は日本に住んでたり、Josephは日本へ留学していたらしく日本語がペラペラ。さらに Ray はオーストラリア育ちだけど、大阪生まれ!なのでセッションは日本語と英語で行いました。みんなまじで日本語うまい。
*最初のプレゼンの様子*
Skype Talkでは、
- なぜダイベストメント運動をしているのか
- 今までどのようにダイベストメントに関わるアクションをしてきたのか
- 質疑応答
を中心に話しました。
≪スタンフォード大学のEmilyとJoseph≫
EmilyとJosephは大学でダイベストメント運動をしているチームと直前までミーティングがあったようで、そこでスタンフォードを石油・ガス・タールサンドからもダイベストさせるために、「もっとアクションのレベルを上げよう!」と話していたらしいです。(ちなみに、2014年にはダイベストメント運動の効果があって、スタンフォードは石炭からダイベストメントしています!)とても楽しそうに語るEmilyでしたが、スクリーンを介してすら莫大なエネルギーを感じました。
Joseph は今大盛り上がりを見せている 「Fossil Free Stanford」(スタンフォードのダイベストメント運動をリードしているチーム) …
未来の選択:セヴァン・スズキと過ごした時間
5月8日の母の日、みなさんはどのように過ごしましたか?
350 Japanチームは明治学院大学で、「セヴァン・スズキのBe the Change ツアー@ 東京〜ミライノセンタク〜」をナマケモノクラブとの共催で開催しました!
1992年に12歳の若さでブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された地球環境サミットに「Environmental Childrens’ Organization」の代表として参加し、今でも語り継がれる「伝説のスピーチ」を披露したことでセヴァンさんは一躍有名となりました。現在も「環境文化活動家」として積極的に活動を続ける傍2児の母親でもある彼女からどんな話しを聞けるのか、イベントが始まる前からとても楽しみでした!
≪イベント当日もセヴァンの伝説のスピーチが上映されました。≫
第一部のスピーチの中では、セヴァンは環境活動と共に歩んだ人生や、環境活動に対する自らの考えについて語っていました。1時間に及んだお話しの中で、彼女は何事についても自分で「知ること」、そしてそれに対して自分で「選択する」ことの大切さを何度も訴えていました。
今やインターネットで世界が繋がっているため、同じ思想の仲間や賛同者を見つけることや気候変動や原発問題など、地球が抱えるあらゆる問題について情報を得やすい時代になりました。
地球の環境において、セヴァンは私たちが今「選択すること」が未来世代に大いに影響を与えるからこそ、私たち自身が自ら「Be the Change」、つまり変化を導かなければならないと強く呼びかけていました。12歳でリオでスピーチをした当時は、自分の将来への不安を訴えれば、世界のリーダーたちが不安の原因となる問題を解決しくれると思っていたことを振り返っていました。「大人になり、そして二人の子どもを持つ今、自分が動かなければ何も始まらない。自分は子どもたちのために活動をし続けている。」と話す彼女はとてもしっかりと足を据えていて、眩しかったです。
日本での「ダイベストメント」キャンペーンについても多大な期待を寄せてくれました。ダイベストメントは、お金の流れを変えることでより良い未来を構築できる手段として、個人レベルでも参加でき、そして社会全体の経済構造を変えることができる運動だと共感してくれました。
セヴァンが言う通り、ダイベストメントは化石燃料や原発に依存しない持続可能な社会のために、現在の社会のお金を流れについて自ら「知り」、そしてそれを変えるための「選択」を個人やグループですることから始まる活動です。
日本の銀行、保険会社、年金基金や公的機関などに所属している機関投資家に、化石燃料及び原発関連企業への投融資を停止・撤退し、自然エネルギー開発へと転換することを推奨する「ダイベストメント声明」も一人ひとりが取れるアクションとして紹介していただき、多くの人からに賛同していただけしました。
まだ声明文をご覧になってない方ははぜひご一報ください!!http://act.350.org/sign/divest-japan/
今後350.org Japan は、個人レベルで取り組めるダイベストメントとして、自分の銀行がどのような投資・融資を行っているかを知った上で、持続不可能な化石燃料や原発関連企業に投融資を行っていない銀行を選択する、Change Your Bankキャンペーンを展開していきます。今から日本の主な銀行や信用金庫の投融資状況を調査し、7月までにはその情報を公開したい考えています!
ご興味がある方は350.org JAPANのメールマガジンにご登録していただければ、定期的にキャンペーン・アップデートをお送りいたします。登録はホームページからお願いします。>> http://350.org/ja/
≪セヴァンさん家族、ナマケモノクラブ、ピースボート、パルシステムのイベントスタッフと集合写真!≫
日本でのダイベストメントキャンペーンについてセヴァンより励ましの言葉をもらい、本当に光栄でした。未来に良い変化をもたらすために、これからさまざまな活動を通して、ダイベストメントを日本で広めてていきたいと思います!これからも 350.org Japan をよろしくお願いします。
当日の写真は350 JapanのFacebookページにあるイベント・アルバムからアクセスできます:http://bit.ly/1T7800v…
アースデイ東京2016を経て
350.org Japan チームは、たくさんの方々の笑顔に囲まれ、アースデイ東京の2日間を無事終えることができました。
今回の注目イベントといえばやはりトークセッション。
一日目の渋谷区長とのセッションでは、世界195カ国が合意した「パリ協定」を紹介し、これを達成するために世界各国で行われている地球温暖化防止のための政策や市民運動などを取り上げ、様々な視点から温暖化問題について話し合いました。渋谷区としてこの問題にどう取り組めるか、パネルからは「渋谷区のダイベスト」や「渋谷区で自然エネルギー100%のコミュニティ空間を作る」などのアイディアが出ました。観客の方からも「渋谷のハロウィンキャンドルナイトにする」という面白い提案もいただきました。
最後には渋谷区長から「アースネイティブ宣言」をいただき、アースキッズも参加して記念撮影!渋谷区長のアースネイティブ宣言は「初心を忘れず、環境アクションを起こす!」でした。
≪楽しい雰囲気の中トークを終了することができました。みなさんの笑顔が素敵です!≫
二日目は豪華パネリストを招き、「金融リスク X 地球温暖化:ダイベストメントってなに?」をお届けしました。こちらのセッションでは、最近世界で話題になっている地球温暖化によって生じる経済へのリスクや、ダイベストメント運動について深く広く議論しました。最後は日本ではなぜ取り組みが遅れているのか、また現在の状況をどう変えることができるのか、について熱いディスカッションが繰り広げられました。
350 Japanとして地球温暖化対策としてのダイベストメントを広めていきたいと思います。先日発表した「ダイベストメント声明」をまだご覧になっていない方はこちらのURLにアクセスしてみてください:http://act.350.org/sign/divest-japan/
「ダイベストメント声明」に続けて、これからは持続可能な投融資をしている銀行の調査を行い、みんなでより良い銀行を選択する「Change Your Bank」キャンペーンも展開する予定です。
≪左から国際青年環境NGO ASEED JAPAN 共同代表土谷和之さん、株式会社ニューラル代表夫馬賢治さん、350.org Japan 古野シン、国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室室長江守正多さん、350.org Japan 清水イアン≫
トークセッションの録画はこちらのURLよりご覧になれます:http://bit.ly/1TBBZur
今回、トークセッションと並んで大きな注目を浴びたのが、アースマン。ついに今年初めての!たくさんの人とハグをしながら熊本地震支援の募金を集めたり、アースデイ with マイケルさんのステージに上がって踊ったりと、アースデイ東京をの盛り上げに大きく貢献してくれました!ハグした人にアースネイティブ宣言をしてもらうことで、「地球のために何ができるのか?」を考えてもらいました。
≪マイケルと同じくらいイケテル!?アースマン!≫
一番感謝すべきなのは、なんといってもボランティアで参加してくれた人たち!一生懸命ダイベストメントについてブースで説明をしてくれたり、アースマンと会場を歩き回ってくれたり、場を活気づけてくれたのはボランティアのみなさんでした。みなさんほんとうにありがとう!そして次回もまた一緒に楽しみましょう。
≪私たちの活動は皆さまサポーターのおかげで成り立っています。これからもぜひ350.org Japan をよろしくお願いします!≫…
アースデイ東京2016 地球温暖化トークセッションズ 4月23−24日@代々木公園
学生・市民運動が盛んであった1970年、より多くの人に環境問題について考えてもらいたいという想いを持ったアメリカ合衆国上院議員のゲイロード・ネルソンが地球環境について考える日として4月22日をアースデイ(=地球の日)としました。それはたちまち世界へと広まり、今や様々な国で盛大に祝われています。
日本では1990年に第1回目のアースデイが開催され、現在では日本全国でアースデイのイベントや企画が行われています。東京では、毎年4月22日のアースデイに一番近い土日に、代々木公園で「アースデイ東京」が開催されています。
今年の「アースデイ東京2016」のキャッチコピーは「アースネイティブ言宣」です。アースネイティブとは、宇宙的視点から地球を生命体ととらえ、アースデイの出発点である『愛と平和』の理念にもとづいて、母なる地球に敬意を持ち行動できる人のことを意味します。
350.org Japanはアースネイティブ宣言として、「市民の地球温暖化対策、ダイベストメント!」と宣言しています。ダイベストメントを普及させ、地球温暖化問題への意識を高めるため、地球温暖化トークセッションズをアースデイ東京2016で企画しています。ぜひご参加ください!
トークセッション#1.渋谷区長と考える気候変動 ―真にグローバルな渋谷を目指して―
昨年末にパリで開催されたCOP 21で、地球温暖化を「1.5度未満」におさえると195カ国が合意しました。初日(23日)に長谷部健渋谷区長をスペシャルゲストとして迎え、グローバルな課題である地球温暖化に対して渋谷区がどのような取り組みを展開できるのか、その可能性を様々な角度から模索するトークセッションを開催します。同セッションでは、地球温暖化に取り組む海外の国々や自治体、市民団体による先進的な事例などを紹介しながら、アースデイのテーマである「アース・ネイティブ宣言」と重ねる形で、「グローバル市民」の一員である「渋谷民」が一人ひとりどういう取り組みを行うことができるのかも探ります。
こちらのイベントの詳細は下記をご覧ください:
日時:4月23日(土曜日)開演16:00~17:00
登壇者:
1)渋谷区長 長谷部健
2)WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループリーダー 山岸尚之
3)350.org Japan 代表 古野真
4)東京大学大学院・環境政策専攻 仏環境研究家 ニコラ・ルー
<<こちらのトークセッションに関する渋谷区よりのPRはこちらでご覧になれます。>>
トークセッション#2.金融リスクと地球温暖化:ダイベストメントってなに?
アースデイ東京2日目の4月24日にはA SEED JAPANとのコラボレーションで、日本ではまだまだ知られていない金融と気候変動のつながりについてゲストを招いて話し合います。地球温暖化より生じる世界経済への「金融リスク」を削減するために世界中の金融機関がすでに取り組みを始めています。同時に、世の中のお金の流れを変えることで地球温暖化防止につながる、「ダイベストメント運動」が国際的に最も勢いが出ています。「ダイベストメント」とは地球温暖化に一番加担している石炭や石油などの化石燃料関連企業から投資を引きあげるとこです。世界中の行政・金融機関・個人や様々な団体がダイベストメントの動きにどう取り組んでいるのか、そしてこの動きをどう日本で広めていけるかについてディスカッションを行います。
こちらのイベントの詳細は下記をご覧ください:
日時:4月24日(日)開演 11:00 ~ …
立ち上がる人々を守る
[このブログは化石燃料産業に対して世界中で立ち上がっている運動家をターゲットした暴行事件の多発を受け、350.org 事務局長メイ・ブーヴィが執筆した記事です。]
正義を求め、化石燃料産業に「ノー」を突きつけてきた運動家は世界中にいますが、ここ数週間、非暴力運動を率いる彼らに対する暴行事件が多発しています。その知らせに、私たちは深く落胆すると同時に、大きな悲しみを感じています。脅迫や死傷事件にまで発展したケースも多数あります。
今日受け取った知らせによると、バングラデシュで石炭発電所建設に抗議していた運動家たちが殺害されたそうです。先週金曜日は、気候変動により深刻化する干ばつ被害で、公的支援を求めてきたフィリピンの農民たちが殺されています。2週間前には、南アフリカの砂丘地帯での採掘事業に反対していた運動家シクホシフィ・‘バズーカ’・ラテベさんが殺されました。そして1ヶ月前、ホンジュラスで先住民の人権や環境保護活動を率いてきたベルタ・カセレスさんが暗殺され、その数日後には、カセレスさんが代表を務めていた団体「ホンジュラス民衆と先住民の市民協議会(COPINH)」のメンバーであったネルソン・ガルシアさんも暗殺さています。
ベルタ・カセレスさん暗殺の知らせを受け取ったのは、環境保護や人権擁護、また民主的空間をつくり出すために取り組んできた運動家に対する弾圧に対して、どのように連携し対策を取ることができるか、協力団体と話し合っている最中のことだったのです。あまりにも受け入れがたい皮肉です。
「連帯して抵抗する」強い意志を貫くためには、もっと多くの人々が、さらに声を大にして訴えていくことが必要です。抗議の声を上げる勇敢な人々を、私たちは守らなければなりません。そして、暴力的な弾圧に沈黙などしないというメッセージを発信しなければなりません。化石燃料の採取産業と闘う世界中の人々が、今ますます一致団結、その連帯を広げています。これらの運動を、脅迫によってかき消すことなどできません。
暴力という手段に訴え、抗議の声が沈黙させられるのであれば、個人の自由や生命、そして民主主義も脅威にさらされます。暴力が生む「萎縮効果」- これによって人々は、外出も、堂々と異を唱えることも控えるようになります。けれど、そのような権力の構図を変えるために、これまで以上に大勢の人々が一斉に声を上げることで、大きな「抵抗の力」が生まれます。350で今もっとも頻繁に利用されているツールは、世界各地でアクションを展開、大衆を動員することを可能にします。世界中のどこであれ、抗議運動を行うのが難しいのであれば、発言を控えるのではなく、可能な限り手を尽くしもっと大勢で、さらに声を大にして訴えていかなければなりません。世界のどこかで、抗議運動を続けることにリスクが生じたのなら、その分は他の地域のできる人が、仲間や協力団体のために、これまで以上に力強く訴えていくのです。
抗議の声をあげる人々を守る。そのために取り組む多数の組織やムーブメントに、私たちは勇気をもらいました。「気候を守るための運動」と「自由と人権を守るための運動」。この2つを結び付ける大きな可能性を、私たちは見出しました。どちらにおいても、その最前線にある人々が直面する脅威は、根っこの部分でつながっています。また、気候変動による被害を最も深刻に受ける人々の基本的人権が無視されている状況で、気候の公平性(クライメート・ジャスティス)を訴えても、大きな効果は期待できません。
写真提供:AP通信ウィリアモア・マグバヌア
壊滅的な気候変動による最悪の影響を食い止める-これに成功するということは、つまり化石燃料を地中にとどめることができたということです。現在検討中の化石燃料採取計画は、世界中で数千件にも上りますが(石炭生産は減少しているものの、現在建設中または計画中の石炭火力発電所は2400件にも上ります)、それを阻止するための運動は、始まったばかりです。これらのプロジェクトが計画されている多数の地域では、抗議運動に対して最も厳しい規制が課されています。同時に、南の発展途上国でも北の先進国でも、暴力的な弾圧にさらされるのは、すでに社会の隅へ追いやられてきた人々であることが多いのです。
昨年は、化石燃料産業を相手に数々の勝利を勝ち取り、気候ムーブメントをめぐる流れが変わるのを目の当たりにしました。「化石燃料時代の終わりは、もうすぐそこにある」という事実に、多くの私たちが勇気づけられました。北極海では、石油大手シェル社による掘削事業が計画されていましたが、カヤックに乗った運動家たちが海上に集結、石油掘削装置が北極海に向けて出港するのを阻止しました。その後シェル社は、掘削許可を取り下げました。米国では、オバマ大統領が原油パイプライン「キーストーンXL」建設許可申請を却下しました。ブラジルの5つの州では、シェールガスを採取するために行われるフラッキング(水圧破砕法)が一時的に禁止されることになりました。昨年新たに設置された発電設備から供給されるエネルギー容量の90%は、再生可能エネルギーによるものです。
しかしながら、化石燃料から「再生可能エネルギー100%」への移行という大規模経済改革を、権力者からの抵抗無しに進めることは不可能です。なんといっても、「金もうけ」の歴史において、化石燃料は最も高い収益を上げた産業のひとつであり、このようなムーブメントを相手にすることにも慣れているはずだからです。化石燃料産業を拡大する人間の「欲」。それは、かつてないほどの勢いで格差をも拡大させています。史上最大のリーク「パナマ文書」が明らかにするまでもなく、石油・天然ガス産業がタックスヘイブン(租税回避地)という悪を利用してきたのは明白です。
いかに敵が手ごわいか、お分かりいただけたかと思います。でも、手ごわいのは、私たちのムーブメントも同じです。石炭事業拡大の恐れがあり、抗議運動に対する政府圧力の強まるインドでも、「再生可能エネルギー100%」へのムーブメントは、屈するどころか、ますます高まる一方です。気候変動の原因となる温室効果ガスをほとんど排出していないにもかかわらず、それによって深刻化する台風や干ばつの被害を受けているフィリピン。現地でもう何年もの間、「クライメート・ジャスティス」を訴えてきた350のスタッフ、ゼフ・レポーロによる熱意あふれる活動は、私たちに勇気を与えてくれます。南アフリカでは、首都ヨハネスブルクのあるコミュニティが、石炭ではなく再生可能エネルギーを安定した電力の供給源にするよう初めて訴えました。
5月、化石燃料からの「Break Free(解放)」を目指し、350と多数のパートナー団体は、世界各地でアクションを展開します。採取産業の暴力や破壊行為からの解放は、かつてないほど急務ですが、このような運動を行うことが難しいとされる地域でも、アクションを展開していきます。できるのであれば、あなたにも、ぜひご参加いただきたい。できないようであれば、遠くからでも、どうか別の形でご参加いただきたい。「Break Free」を目指し、世界中の人々が一致団結、声を大にして解放を訴え、この運動への注目を集める。これこそが、暴力で反対意見を黙らせる相手への、強力な防衛手段となるのです。
…
パリで終わらせない
2015年11月30日よりフランスのパリにて国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催され、本日閉幕予定です。2020年以降の温暖化対策の新しいルールに合意することが目指されていて、人類だけではなく地球上のすべての生き物の運命がかかっている重要な会議になると言われてきました。
大きく注目されている点は、産業革命からの地球平均気温上昇を2℃または1.5℃未満に抑えるという野心的な目標が合意に盛り込まれていることです。すでに、気候変動が原因の海面上昇により自国が危機にさらされているマーシャル諸島やツバル代表の切実な呼びかけもあり、その目標数値が合意文章に入ることは確実になっています。
しかし、ここで終わりというわけではありません。科学者の提言によると、この目標を達成するには地球に存在する化石燃料の80%を地中にとどめておく必要があります。
目標が定められたことは良いのですが、それに見合った気候変動対策を実行する政府の責任を追及するのは私たち市民の義務です。それはつまり、各国政府の化石燃料産業への支援を廃止するように訴えるところから始まります。
日本は年間約19兆24億円もの補助金を 化石燃料関連企業へとつぎ込んでいます。その額はなんと日本が発展途上国の温暖化対策として約束した支援額のおよそ15倍に相当します。
ドイツの国際環境NGOのジャーマンウォッチが最近発表した、OECD各国の温暖化対策を評価し格付けしたランキングでは日本は下から4番目に最低の58位でした。温室効果ガスの排出量の最も多い石炭火力発電所を増やししていることなどが大きく影響したと言われています。
(Source: https://germanwatch.org/en/download/13626.pdf)
パリでどんな野心的な目標が策定されたとしても、それに伴うアクションがなければ状況は何も変わりません。私たち350.orgは次の2点を求めて活動し続けていきます。
1)化石燃料の80%を地中にとどめておくための対策
2)2050年までに「再生可能エネルギー100%」への公正な移行を実現するための融資
パリでの合意はスタート地点です。一緒に声をあげていきましょう!
12月12日COP21閉幕を受けて、これからが重要だというメッセージを伝える大規模な市民運動がパリで行われる予定です。みなさんもソーシャルメディアで#D12を使って参加してください。…
「さようなら石炭」世界から日本へのメッセージ
さようなら石炭 #StopFundingFossils
先週末トルコで行われたG20サミットおよび11月末より開始されるパリの国連気候変動会議に先立ち、世界のリーダーに化石燃料補助金撤廃を求める「 #stopfundingfossils 」アクションが世界中で行われました。
この一環として、350.org Japan チームは日本による石炭関連事業への公的支援の停止を求めるフォトアクションを、巨大な「カーボン・バブル」を使ってJBIC(国際協力銀行)前で実行しました。
危険な地球温暖化を防ぐため、世界の科学者達は、最も炭素排出率の高い石炭を含む化石燃料資源は採掘せずに、そのまま地中に留めておく必要があると助言しています。その場合、化石燃料エネルギーの供給が制限されるため、化石燃料エネルギー関連企業への投融資は無利益なものとなりうることを「カーボン・バブル」と言います。
日本の他にも世界10カ国以上が #stopfundingfossils アクションに参加し、世界のリーダーに向けてたくさんの人たちが、「化石燃料への公的支援をとめろ!」などと抗議しました。
今回の一連のアクションで、とりわけ目立ったのが日本をターゲットとして行われたアクションの数です。#stopfundingfossils ウェブサイトに掲載された世界10カ国で行われたアクションの内の5つが、日本に向けられたものでした。
フィリピンでは、300人の学生達が日本政府と日本の石炭関連企業に「さようなら石炭!」と抗議しました。ベトナムでも、「石炭は命を奪う」と日本大使館前で若者が抗議し、インドネシアでは石炭火力発電所の被害を実際に受けている地元住民が立ち上がり、日本大使館に向けて声を上げました。
<写真は日本大使館前でフォトアクションを行うインドネシアのNGO団体>
石炭推進国:日本
日本は世界一の化石燃料公的支援国です。地球温暖化防止のために、日本産の 「クリーン」な石炭関連技術は必要であるという口実をもとに、日本は2007年から2014年の間、JBIC などの公的金融機関を通し石炭関連事業に2兆円もの「支援金」という名の税金をつぎ込んできました。
【ブログ:僕が見た炭鉱】
今年の8月22-26日、350.org はベトナムのハロン湾でEACLC「東アジア気候リーダーキャンプ」を開催しました。ベトナム、フィリピン、インドネシア、台湾、そして日本など東アジアの国々より30人の若者が集まり、気候変動防止活動をより効果的に進める方法を学びました。こちらのブログ記事は、キャンプの中で、ベトナムのクアンニン省の炭鉱を訪問した際の感想を参加者がまとめたものです。
ミン・ビンさん (25)
ホモ・サピエンスと呼ばれる種によって破壊された荘厳な景色を目にしたとき、肌が怒りでうずくのをあなたは体感したことがあるだろうか?
僕はあの感覚が大嫌いだ。
かつて壮大で奇跡的とも言えるほどの自然が無惨にも破壊された風景をインターネットを通じてワンクリックて見ることができる現代では、人々はこの感覚に麻痺している。
少なくともスマホでこのような自然破壊の写真を見ていた時、私はそう感じた。
「人間が環境を破壊している?」
「そんなこともう知ってるさ、つまらない話はやめてくれ!!」
ベトナムで環境不正義に取り組もうとすると、気が遠くなることが多い。24年間、私は苛立ちを覚えながらも、環境問題に対して具体的な取り組み起こすことを思いとどまってきた。住んでいる人の大半が自然界に関心がない文化で育ってきた自分にとって、環境保全に対する熱意を絶やさず支えることは、容易ではなかった。
だからこそ、CHANGEと350.org ベトナムよりEACLCへの参加通知メールを受け取ったとき、僕は本当に嬉しかった。
EACLCとは:東アジア気候リーダーキャンプ
開催場所:ベトナム、クアンニン省のハロン湾ーユネスコの世界自然遺産
開催時期:2015年8月
参加者:主に東アジアから、計8ヶ国の環境活動に対して熱心な人
EACLCとは、気候変動をテーマにした、炭鉱への見学もあるキャンプだ。石炭と気候変動が深く繋がっていることを、あなたは知っているだろうか?
簡単に説明するとこういう構図だ:石炭を燃やす→CO2排出→人為的な気候変動 (→地球の滅亡??)
何を隠そう、環境にとって石炭は最悪だ。
***
というわけで、気付けば僕はハラムと呼ばれる炭鉱へ向かうでこぼこ道のバスの中で、携帯を使い炭坑の写真を見ていた。ハラム炭坑への訪問は、この4日間のイベントの最初のハイライトであった。
炭鉱見学の前日、キャンプのファシリテーター達は石炭採掘がクアンニン省にもたらしている影響や、彼らがベトナムでこれ以上石炭火力発電所が建設されないよう願っていること、そしてこの野心的な願いを実現するにあたりキャンプ参加者がどのような役割を担えるかについて、長い時間を費やして語ってくれた。
現実的に考えて、炭鉱を訪れた若者たちが現状を変えるために一体なにができるだろうか、とその時僕は疑問を感じていた。
しかし、ハラム炭鉱がやっと目に入った瞬間そんな疑問も吹き飛んだ。
その風景を前にして、僕は燃えるような怒りしか感じなかった。
iPhoneの画面越しに受動的に見る「バーチャル」なものと、自らの目で実際に見る「リアル」な人為的な破壊の風景は、全くもって異なる。でこぼこ道を走っていたバスの中がシーンと静まり返ったのをよく覚えている。一瞬時が止まり、遠足のようにワイワイと盛り上がっていたEACLCの参加者はみんな黙り込み、バスの車内を静寂が支配した。みんな窓側に集まり、かつては山の麓であっただろう大きな穴をただ眺めていた。
見学の付き添いで来ていた地方政府の観光課の方は、私たち参加者を単なる観光客だと思い込んでいたようで、彼女は誇らしげに、炭鉱をつくる際の爆発で出る岩や土を別の山頂に持って行き、そこに植林することで環境に配慮した炭坑業に専念している、と語った。
完璧な開拓。
自然を回復させるのは簡単。
資源採掘は持続可能!
この女性は、自分が何を言っているのか理解しているのだろうか、と私は彼女の口から出る言葉に耳を疑った。しかし、きっと彼女自身、ずっとこの情報しか聞かされてこなかったのだろう。人は環境の産物と言うが、周りの影響でこうした思い込みが生まれてしまうことも、仕方がないことだろう。
運転手がバスを停止させて、私たちはみんな心に重さを感じつつバスを降りた。
炭鉱に興味を持ったニセ環境客を装いながらおどおどと現場に入り、見学者用の炭鉱労働者の作業着に似せたものを着させられ、ツアーが始まった。政府職員は炭鉱労働者用の素晴らしいシャワールームや食堂、炭鉱内の万全の安全対策システム、完璧な健康対策、採掘のための最新鋭のシステムなどを誇らしげな様子で紹介した。
彼らが発信しようとしているメッセージはとても前向きなものだ。これらを見た限りだと、炭鉱労働者にとっては万事うまくいっているのだろうと思えた。しかし、結局労働者個人の意見を聞くことはできないまま見学は終わってしまった。唯一できたのが、小綺麗な食堂で労働者にお礼の品を渡しながら行った、笑顔に満ちた写真撮影だ。それを最後に、私たちはおいそれと次のバンダン炭鉱へと向かわされた。
最初に感じた怒りは残っていたが、帰りのバスが採掘場の大きな穴の横を通ったとき、その感情はどことなく静まった。…
[アクション情報] 11/14 ストップ石炭投融資 / アクションデー #StopFundingFossils
ストップ!石炭投融資・アクションデー #StopFundingFossils
2015年11月14日
米国、フランス、イギリスそして中国でさえも石炭への投融資撤退または厳しい制限を設けるということを国として表明しています。そんな、石炭投融資撤退への傾向が進む最中、日本政府はまだ留まったままです。
「グローバル・デイ・オブ・アクション」に因んで日本のリーダーに向けて#StopFundingFossils (化石燃料への投融資を止めよう) と呼びかけるアクションがアジアの国々の日本大使館前などの様々な場所で11月13日から11月14日の間行われます。11月15日-16日に行われるG20サミットと、経済協力開発機構(OECD)の輸出信用に関する会議の直前、そしてパリで開催される国連気候変動会議(COP21)の前にアクション起こすことは海外の石炭関連事業への支援に制限をかける交渉を影響するために非常に重要です。
350.org JAPANは、11月14日午前10時より、石炭産業への公的支援を廃止するように日本政府へ訴えるため、直径4メートルの巨大な「カーボン・バブル」オブジェを使用したフォトアクションを国際協力銀行前で決行します。
「カーボン・バブル」とは今後地球温暖化規制強化によって、化石燃料エネルギー関連の開発ができなくなった場合、そのような投資が過剰投資となりうるリスクのことを指します。2007年より2014年の間、日本は200億米ドル(約2兆4300億円)をも超える石炭関連プロジェクトへの投融資を行っており、石炭開発において世界で一番の投資国になっています。先日、国際環境団体オイルチェンジインターナショナルおよび世界自然保護基金によって発表された調査結果では「日本の輸出信用機関を通して支援を受け、稼働している9つの石炭火力発電所が起こす大気汚染は2015年に540億米ドル(約6兆6700億円)もの健康被害を発電所周りに住む住民へ及ぼした」と記載されています。
日本政府が石炭投融資撤退の道へと進まない限り、世界の舞台よりさらに遅れを取ってしまいます。
日本およびアジア各国でのアクションへ参加してくださる方を募集しています。イベント詳細およびSNS上での参加方法は下記の通りです。
日時:11月14日(土)午前10:00 KKRホテル東京前の東西線「竹橋駅」出口集合
アクション場所:国際協力銀行前
アクション内容:直径4メートルの巨大「カーボン・バブル」風船を持ち上げ、マスクを付けながら「ストップ!石炭!」などと書かれたバナーを掲げて撮影。撮影した写真を#StopFundingFossils というタグおよび「気候を守るために、日本は石炭開発への公的支援を止めるべきだ」などメッセージをつけて、みんなでツィッターやフェイスブック、SNSを通じて拡散。写真は直接こちらのメールアドレス([email protected])へ送っていただくと、この共通アルバムにアップされます。
<<SNSでの参加方法>>…
人類と地球を守りたい: EARTH PARADE 2015に参加しませんか?
皆さんは、今年11月28日、29日に世界中で気候変動問題解決に向けた市民アクションが予定されている事をご存知ですか?
世界中の若者や、親、会社で働く人、様々な市民が気候変動への解決策を求め、立ち上がっているのです。
11月28日、29日大きなムーブメントがあるのには理由があります。それは、11月30日からフランスのパリで開かれる国際会議で、温暖化・気候変動問題の解決に向けた国際的な新しいルールが決まる予定だからです。
この国際的な動きにあわせて、日本の若者も立ち上がろうとしています。
日本でも11月28日(東京)、29日(京都)に、「アースパレード」という企画が予定されています。(アースパレード:http://climate-action-now.jp/parade2015)
アースパレード(※海外ではClimate Marchとよばれている)では温暖化・気候変動問題に対して、「このままではまずい」「何かしたい」という思いを持った人々がそれぞれの街に集まり、その気持ちを共有し、そして社会に発信していこうとしています。そして 世界のリーダー達に気候変動問題解決を求めるため、声を上げようとしています。
そんな大きなイベントを控える中、皆さんが私たちと一緒に11月28、29日のアースパレードに参加すべきである”3つの理由”を紹介したいと思います。
理由1:気候変動により、私たちの日常生活が脅かされる
気候変動によって、どんな人が影響を受けるか考えたことはありますか?
すぐに思い浮かぶのは、最も自然の近くで生きる農家の人や漁師さんなどかもしれません。しかし、実はすべての人が生活や仕事、趣味といった様々な側面で影響を受けるのではないでしょうか。
例えばスポーツについて考えてみましょう。
登山家であれば誰もが憧れる世界最高峰のエベレスト山では、温暖化によって気候が劇的に変化し、氷河湖の決壊が恐れられているといいます。似たような現象は他の山脈でも報告されています。これは登山家に限らず、そこに暮らす山岳地帯の人々にとっても脅威です。
毎年厳しくなる日本の猛暑だって、私たちの日常生活を脅かしています。
この猛暑が普通になってしまったら、屋外に出て活動できる時間は短くなり、スポーツやアウトドアを楽しむことができなくなるでしょう。
皆がそれぞれの思いで、私たちの日常を守りたい、将来の子ども達のために自然環境を守りたいと思っているはずです。皆さんも一緒にアースパレードに参加して、その思いを共有してみませんか?
理由2:人類と地球の平和を守りたい
やや壮大な理由に聞こえるかもしれませんが、「アースパレード」の”Earth”には「地球の平和を守る」という意味が込められています。
今後更に気温が上昇し、異常気象や災害が増えたら、いったい私たちの社会は、そして地球はどうなるのでしょうか?…
フィリピン南西部パラワン島住民による抵抗運動 石炭大手を上回る力に
フィリピン南西部のパラワン島では、建設予定の石炭火力発電所に対する反対運動が起こっており、先週極めて重要な局面を迎えました。 6月16日に、パラワン島のプエルト・プリンセサ市議会は、「パラワン島における石炭火力発電所の建設に猛反対する決議」を採択しました。
市議会がこれ以上ないほど強力な反対の言葉を表明したことで、破壊的で不要な石炭火力発電所の建設阻止を求めた闘いは、大きな転換点を迎えました。 当初はごく一部の市民が始めたキャンペーンでしたが、今や教会、大学、農家、地域、市民団体を通じ、国会だけでなくフィリピン中に広がっています。
パラワン島には、人間活動の影響を受けやすい繊細な生態系が広がっています。この地で、フィリピンの建設会社DM Consunji Incorporated(DMCI)は、過去にも何度か発電容量15MWの石炭火力発電所建設を強行的に行おうとしてきましたが、いずれも失敗に終わっています。 パラワン島の人々は、環境破壊や人権侵害に関与してきた ことで知られる企業が、私たちに残された「生態系の最後の砦」を破壊するのを、見過ごすわけにはいかなかったのです。
「闘いはまだ終わっていません。 ですが、このような瞬間、私たちの恐れは希望に変わります。 私たちの活動の意義が認められたのです! 想像した以上に、私たちの心の中に大きな勇気があることに気がつきました。」
~ クリーンエンルギーを求めるパラワン連盟代表Cynthia Sumagaysay- Del Rosario
私たちは、同省のRamon Jesus P. Paje長官宛に、フィリピン各地からDMCI社による建設計画の撤回を呼びかける署名を、およそ6,000人分集めました。 プエルト・プリンセサ市議会が採択した決議は、以下の4点を明確に指摘してます。
1.建設候補地に暮らす住民との間で適切な協議が行われなかった
2.十分な情報提供のもとでの市民参加がなかった
3.極めて希少な海洋および陸上生物の生存に直接的な脅威となる
4.パラワン島に暮らす数部族の先住民たちの生命や暮らしに影響を与える ぜひ、私たちと一緒に声を上げてください — ご署名の上、請願書をシェアしてください!
脱石炭を掲げるパラワン島の動きは、 島の人々だけでなく、フィリピン全体にとって非常に重要な運動です。 再生可能エネルギーに関して、費用面でも現実的な政策提言が可能で、 実際、パラワン島のエネルギー基本計画は、再生可能エネルギーが最も安価で入手しやすく、賢明なエネルギー解決策であることを明らかにするでしょう。 今私たちがすべきは、市民生活の中でこれらの政策を実現するため、脱石炭ムーブメントの力を発揮することです。 …