エド・キング
中国の主要省庁が、「環境に優しい」国内投資を推進する一連の指針を採択
9月1日、中国人民銀行は声明 を発表し、今後は「環境に優しい金融制度の構築に向けたガイドライン」に基づいたの国内融資を行うことを明らかにしました。
同ガイドラインの下、環境に配慮した開発基金が設立され、また地方政府には環境に配慮したインフラ計画の推進が求められことになります。
中国人民銀行の周小川(シュウ・ショウセン)総裁は、「環境に配慮した金融制度の構築は、中国の国家戦略となった」と述べています。
同ガイドラインには、国家発展改革委員会や環境保護部、財務部などの主要省庁が参加しています。
国連環境計画によると、中国の再生可能エネルギーやクリーンエネルギーの輸送機関、エネルギー効率分野の開発費用は、年間およそ6,000億米ドル(約61兆円)になるそうです。
「環境に優しい」と分類されたプロジェクトへの融資には助成金が交付され、また将来的には、企業は環境情報の開示制度への参加が義務づけられるようになります。
中国人民銀行の声明には、次のように記載されています。「ガイドラインは、環境に関わる保険および権取引の策定、また環境汚染責任保険制度の導入に関わる法規制の作成を求める。」
「またガイドラインは、多様なカーボン・ファイナンス(排出権取引など、排出削減に関わる金融)商品の開発を支援すると同時に、エネルギーや水に関わる権利、CO2排出権、その他の環境権を取引するための市場と、これらの権利に基づいた金融ツールの開発を推進する。」
さらに各省庁が「全ての要求事項を忠実に実施」すべきであることも明記されています。
一方、何が「環境に優しい」と分類されるのか、その基準については、ガイドラインではほとんど触れられていません。 国際環境NGOグリーンピースが先週公表した調査によると、中国は高効率の石炭発電プロジェクトを「クリーンで環境に優しい」と分類しているそうです。
国際NPO気候債券イニシアチブ(Climate Bonds Initiative)の最新レポートには、こう記載されています。「中国のガイドラインで“環境に優しい”と分類されるプロジェクトは、国際的なグリーンボンド(気候変動対策や環境保護プロジェクトの資金調達のために発行される債券)市場の基準とは相容れないことがある。これは特に、化石燃料プロジェクト、化石燃料を利用した公共の交通機関に関わるプロジェクト、またサプライチェーン事業への投資などにおいて顕著である。」
とは言え、金融界ウォッチャーによれば、中国人民銀行の声明は、G20によるグリーンファイナンス促進に向けた強力な後押しと相まって、中国政府の環境保護政策をいっそう引き立てているようです。
G20で採択された「杭州合意」のもと、先進20カ国首脳は、環境に配慮した融資の規模をさらに拡大していくこと、また環境保護促進のための政策について連携して取り組んでいくことに合意しました。
国連環境計画(UNEP)のエリック・ソルハイム事務局長は、次のように述べています。「中国の最高幹部が国の金融機関に呼びかけたことで、国内金融制度を改革し、環境に配慮した開発のニーズに応える、という国家野心をより強固なものにしています。」
「残りの国々もこの声明にならうことを願っています。」