9月に世界が気候変動解決に向けて動く①「GCAS」と「RISE」について
先日、7月14日に開催した、350.org Japanボラ会議を議題は「9月のGCASの前に行われる、世界規模で予定されているアクションRISEに向けての日本の参加内容」でした。
具体的に出てきた参加内容のアイディアに入る前に、重要となってくる「GCAS」「RISE」キーワードについてご説明します。
GCAS(じーきゃす)とは Global Climate Action Summit の略です。(日本では、世界気候行動サミットなどと訳されています。)
GCASは今年の9月12日~14日米国カリフォルニア州のサンフランシスコで開催される国際会議です。名前の通り、気候変動問題解決に向けた「意欲的な取り組みを次の段階へ持っていく」ことをテーマとしています。集まるのは市民団体、都市や自治体、企業などのいわゆる政府以外である「非国家アクター」と呼ばれているグループです。気候変動問題解決に向けて、様々なプレーヤーがどのような取り組みを行っているかを発信し、新たな野心的なコミットメントを会議で打ち出すことによって「パリ協定」目標達成への世界の気運を高めるものです。この会議を主催する、カリフォルニア州知事のジェリー・ブラウン氏は自身の州が気候変動から受ける影響を真剣に受け止めていて、トランプ大統領とは真逆に問題解決に向けて積極的に取り組んでいる人物として米国では有名です。
ここで、RISE(ライズ)の話に入ります!
RISEというのは、350.orgと世界の協力団体が9月8日に企画している世界規模のアクションです。9月12日より開催されるGCASの前に、世界中の市民が様々なかたちでRISEして(立ち上がり)、100%再生可能エネルギー社会への移行を求めることで、実際の会議を盛り立たせる目標があります。
9月8日に向けたイベントはRISEのウェブサイトを通じて募集されていて、サイトにあるイベント登録数の地図を見るとそれがものすごい数だということが実感できます。9月にも日本でもアクションを起こします!次回のブログ、その参加内容についてご説明しますので、GCASとRISEにむけた日本でのアクションにご期待ください!
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歴史的快挙:アイルランドが化石燃料からの完全撤退を議会決議!
ビル・マッキベン – 350.org創設者
みなさま
アイルランド政府が世界で初めての化石燃料関連会社からの完全なダイベストメントを議会決議し、嬉しさのあまり祝杯のギネスビール片手に書きしたためています。
アイルランド議会最大の力を持つ下院を通過したため、残るは上院での判を待つのみです。アイルランド有する80億ユーロにも及ぶ政府系ファンドが、石油・石炭・ガスからの全資産放棄を開始します。
アイルランドの地で活躍する活動家たちは驚くべき成果を成し遂げ、環境団体の活動家、またカトリックの社会的公正運動がこのような素晴らしい国家的決断へ導いた功績に、畏敬の念を抱くばかりです。
しかし、彼らが特別な存在だったから成し得れたのでは決してありません。ひとりひとりが小さな行動を積み重ね、各国でダイベストメント運動の一員として動くことで、彼らと同じようにこのような結果をもたらすことができます。皆がひとつになって立ち上がることが大切なのです。
アイルランド国会議事堂
これからも吉報は続きそうです。
2018年はニューヨーク市に始まって、各地の大学・世界各国の都市がダイベストメントし、大きな成果を収め続けました。ちょうど昨日には、ケンブリッジ大学のクイーンズ・カレッジがダイベストメントを決定。数日前にはイギリス国教会が、「2023年までにパリ協定に即さない場合、化石燃料関連会社から資金をダイベストする」と(実行はされないとは思いますが)揺さぶりをかけました。
ヨーロッパ最大のエネルギーグループのシェル社は先月の年次報告書で、ダイベストメントの運動が事業に重大なリスクを及ぼすようになったことを公の場で認め、また昨日には、エネルギー経済研究所と財務分析研究所の友人たちが、石油関連会社への投資は将来性がないことを示すレポートを提出。これは大学や教会・市が化石燃料から撤退するために尽力している人々の大きな手助けとなるでしょう。
今、トランプ大統領はアメリカだけでなく、他国も道連れに時代に逆行しようとしている悲惨な状態です。そんな中だからこそ、勝利を盛大に祝う必要があるのです。私たちは明るい未来・ビジョンのために戦い、そして今、我々は勝利をつかんでいます!
いや〜今日はギネスが本当においしいです!
ビル・マッキベン
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草の根活動家のためのツール会議
「草の根活動家のためのツール会議」とは?
パタゴニアは自然を擁護するより効果的な活動家となるにはどうしたらいいかを伝授してもらうために、1994年にアメリカにて第一回目の「草の根活動家のためのツール会議」を発足しました。メンバーを魅了し、問題を伝え、支援者とコミュニケーションをとり、人びとが行動を起こすきっかけとなるなど、環境保護活動家が必要とするツールは、基本的にパタゴニアで商品を販売するツールと非常によく似ています。そのツールを日本で散布し、活かすために今年も日本全国からより持続可能な社会を実現するために活動している「アクティビスト」「写真家」「ソーシャルデザイン専門家」等、が集まって第6回を行いました。
第6回目:気候変動編
緑に溢れている山梨県の大自然に囲まれ、参加者は今回の主要テーマの気候変動問題の解決について各々の情熱とアイディアと悩みを親しく話し合いました。一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟や認定NPO法人気候ネットワークから写真家やパタゴニア・スキーアンバサダーまで種々な専門家・プロが集い、それぞれの経験・ストーリーを聞かせて頂きました。日本ではいろんな活動があるので、ここでいくつかを紹介致します!
紹介① 日本初の自然エネルギー100%大学
千葉商科大学は地球温暖化対策などの環境保護の貢献するために、2017年11月に「日本初の自然エネルギー100%大学」を目指すことを宣言しました。大学所有地にメガソーラー野田発電所を建設し、2016には一般家庭約800世帯が一年間に使う電気量を相当する量を発電しました。日本全国の大学が次々と100REを宣言して頂くように,学生はこの活動に注目!詳しくは:http://www.cuc.ac.jp/news/2018/index.html
紹介② パタゴニア スキー アンバサダー
大池拓磨さんはプロスキーヤーとして世界中で活躍されてます。大池さんは世界中の雪原を訪ねて、降雪量や季節の期間と変わり目の日のズレなどの地球温暖化の影響を直接感じています。降雪量や季節の期間と変わり目の日のズレ都会に住んでいる私たちは最も気候変動のインパクトを受けている人の状況を理解する必要があると深く実感しました。現在、大池さんは長野県の白馬村に住み、JFO(Japan Freeride Open)を運営する重要なメンバーでありながら、今後計画しているサステナブルリゾートの先駆けをしています。
大池さんのトラベルをこちらから楽しめます:https://www.instagram.com/takuma84.ooike/
3日間の学び
みなさんはもうご存じだと思いますが、気候変動はかなり複雑な問題であります。一つの石炭火力発電所だけ見ても住民から政治家まで多くの人々が関わり、影響を受けるのは人間に限らない。
会議では、現在日本各地で建設が計画されている35基の石炭火力発電所を中止させる目標を一つの例として掲げ、問題解決には戦略と戦術をよく考える必要があると学びました。
戦略を作るにはまず、求めている変化を起こせる「意思決定者」をはっきりさせること。その決定者にロジックを伝える「話題・理論」を影響できる方を確かめること。そして、最後に問題の「構造」に影響を及ぼす要素・柱は何かを考える必要があります。戦略をしっかり立ててから、その次は適切な「戦術」について考えられる。戦術のなかで非常に重要なのが、問題解決に向けて誰をどのような手法で行動に導くのか。ロジックが正しくても、最終的に人を動かせるのは「頭」ではなく、「心」です。それは重要なポイントと私は強く感じました。
私たち、350Japanはどうやって学ばせて頂いた「ツール」を上手く「レッツ、ダイベスト!」キャンペーンに活かせるのかについて7月14日(土)の下半期作戦会議にてみなさまと共有しますので、参加可能の方は以下のリンクからサインアップしてください!https://goo.gl/forms/Ai4rxqwqi2Ayih6J3
(お問い合わせはスタッフの日南子まで:[email protected])
作者について
ヤッホー!初めまして、私は350.org Japanチームに新しく入ってきたジュニア・キャンペーナーのベサント光太郎と申します。大学で自然科学を勉強していた時に350オーストラリアが展開していたキャンパス・ダイベスト・キャンペーンに参加しました。そのきっかけで350.orgと初めて縁を結びました。オーストラリアの首都キャンベラにあるコミュニティー青少年団体で6年間勤めて、2016年に日本に帰国しました僕は微笑みながらみなさまと一緒に環境を守るために努力をさせて頂きます(^^)!…
西日本豪雨:気候変動の影響か?
西日本各地は記録的な豪雨に見舞われ、河川の氾濫、土砂崩れなどが多くの場所で発生しました。10日までの死者の数は13府県で130人に上っている報道されており、安否不明の人も70人を超すなど、被害者の数が日に日に増え続けています。多くの人々が避難所での生活を強いられています。
また、各地で地盤が緩んでいるため、引き続き土砂災害への警戒および日中、気温が30度以上の真夏日になることから熱中症に注意することへの呼びかけが行われています。気象庁は昨日この豪雨に「平成30年7月豪雨」という名称を与えたことを発表しました。
350.org Japan一同、今回の豪雨で被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。犠牲になられた方々には、謹んで哀悼の意を表します。一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。
異常気象と気候変動
これらの地域においての救助と復興は優先事項です。 しかし、浸水や土砂崩れの直撃を受けた家々、公共施設、道路の再建が進められる中、このような極端な異常気象が起きている原因について考える必要があります。世界気象機関(WMO)は気候変動は異常気象の深刻度および頻度を悪化させていると警告しています。西日本を襲った記録的豪雨が気候変動につながっていることは否めません。今回の災害と気候変動のつながりについてコメントした日本メディアは不自然なほどに見当たりません。
平成30年7月豪雨と定められた今回の一連の大雨では、各地で降水量の記録を塗り替えました。期間中の2日間で降った雨の量は、全国123地点で観測史上1位の値を更新しています。広島や岡山では県内の7割以上の観測点で記録更新となり、いかに異常な雨だったかがよくわかります。 https://t.co/VvqhnCaguQ pic.twitter.com/22JZVfgoxY
— ウェザーニュース (@wni_jp) July 9, 2018
災害対策・適応策の限界
災害対策そして適応策は、気候変動に対して最も脆弱な地域にとって重要ですが、気候変動の加速によって生じる、より強い威力の台風、集中豪雨、干ばつや熱波などの異常気象の深刻化への対応には限界があります。石炭、石油などの化石燃料の燃焼が地球温暖化に大きく影響を与えていることは分かっています。気候変動がもたらすリスクの削減に向けて、最もCO2排出量の多い石炭を始めに、化石燃料への依存を急激に減らし、100%再生可能エネルギー社会へのシフトを呼びかけることが私たちが今取るべき行動です。
残念だけれど、地球温暖化による気候変動で、今回のような豪雨災害が「まさか」から「またか」になる。
今は「これまでに経験したことのない大雨」でも、徐々に頻度が増えて、「このまえ大水害だったのに、また今度も大洪水か…」という悲しい時代に。
逃げられるなら危険から逃げよう。— 沖 大幹 (@TaikanOki) July 7, 2018
最高気温や降水量が年々更新されることは正常だという考え方を捨て、自分たちの命を守るために協力しあう必要があります。国内では、CO2排出量が一番高い石炭を使用する火力発電所が多く建てられようとしています。これでは、気候変動問題は悪化の一途をたどるのみです。
私たちにできること
政府はこれらの災害を異常気象だと片づけず、問題の本質と向き合うべきです。そして気候変動におけるリスクを軽減するために企業や自治体にもより先進的な動きを期待しています。来る気候変動の影響から国民の命を守るために、化石燃料への依存度が高い日本のエネルギー事情を一人ひとりが協力しながら変えていかなければなりません。
その第一歩として、350.org Japanは、気候変動や環境破壊を引き起こす事業にお金を流さない「地球にやさしい銀行」を選ぶことを誰もが参加できるアクションとして紹介しています。
…「化石燃料ダイベストメントの勢いは止まらない」350.org共同創設者、環境ジャーナリスト ビル・マッキベンが来日
米国のトランプ大統領が気候変動に関する「パリ協定」を脱退する方針を表明したのが、1年前の今日です。幸いにその表明は、米国全土そして世界において自治体、企業、市民団体からの気候変動対策に対するコミットメントや行動をむしろ促進する起爆剤となりました。
昨年のトランプ大統領のパリ協定離脱の発表を受け、
在日米国大使館前で行った緊急アクション
今では、ニューヨークやロンドンのような世界の大都市、大学、年金基金や政府系ファンドが、化石燃料からのダイベストメント(投資撤退)をどんどん推し進めています。ニューヨーク市に至っては、5大石油会社に対して気候変動による被害の責任を追求する訴訟を起こしていて、パリ市も同様のことを検討をしています。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が出した最新の報告書では、2020年には再生可能エネルギー発電コストが化石燃料火力発電コストを下回ると示しています。
先月、この脱炭素化の動きを米国で後押ししている350.org共同創設者、環境ジャーナリストのビル・マッキベンが「脱化石燃料」の重要性を訴えるアジア太平洋講演ツアーの一環で来日しました。日本に滞在している間、ビルは世界の脱炭素化の潮流、特に化石燃料ダイベストメントのムーブメントについて様々な場で語りました。
同時に、日本で新規の石炭火力発電所の建設が40基も計画されていることや、日本の3大メガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)が石炭火力発電事業に巨額の融資を行っている現状について知り、メガバンクに対して石炭関連企業への新規融資停止を求める国際署名への参加を呼びかけました。
5月10日に東京で開催されたセミナーの様子
大きな公開イベントは東京と横浜で行われ、その一つは銀行口座をダイベストメントした横浜市戸塚区の善了寺の本堂で開催されました。ビルは、気候変動というどれほど大きな危機に私たちが瀕していて、それを解決するには一人で行動するのではなく、共に行動し最大の変革をもたらすことが大事なのだということを来日中一貫して訴え続けました。
5月11日に横浜市の善了寺で行われたイベント
来日を終えたビルから日本の皆様へのメッセージをご紹介します。
「今回の日本訪問は、私にとって特別な経験でした。世界第3位の経済大国において、どのような活動が展開されていて、それがどのような進歩をもたらしているのかを目の当たりできました。350.org Japanは本当に日本で「ダイベストメント」というアクションを根付かせているのだなと感じました。「ダイベストメント」がどれほど不可欠で理にかなったアクションなのかを証明することが、日本の石炭からの脱却を促す鍵だと私は考えています。私は日本での経験について書いたり話したりすることを通じて、世界に日本に関する情報を届けるという役割を果たすつもりです。 コンセンサスと秩序を大切にする日本社会において、アクションや行動をとるというのはなかなか難しいかもしれません。しかし、コンセンサスが大事であるからこそ、日本が動くときには大規模な変化が急速にもたらされるのではないかと私は信じています。近い将来に、皆さんをもう一度お会いすることを楽しみにしています!」
ビルが来日している間、大手生命保険会社の第一生命が海外石炭火力発電への新規融資を中止することを宣言しました。そして先日、メガバンクの三井住友と三菱UFJの社長が石炭火力発電に対する融資方針を厳格化していくという発言をしたと報じられています。日本でも少しずつダイベストメントの兆しが見えてきたと言えると思います。しかし、気候変動による深刻な影響を避けるためには、私たちは石炭への支援の「厳格化」だけでなく、完全の撤退を求めてメガバンクへの働きかけを継続的に行う必要があります。
350.org Japanとして皆様の声をメガバンクに届けることで、このような変革を促していきます。
3大メガバンクの株主総会が開催される6月下旬までに1万人の署名を集めています。日本の銀行が石炭の問題に敏感になっている今こそ、一人でも多くの署名を銀行に届けることが重要になってきます。きれいな青空、そして安全な気候を守るために、ぜひ3大メガバンクに石炭火力発電や石炭採掘事業への新規融資停止を求める署名にご協力ください!詳しくは署名ページからご覧ください:http://world.350.org/ja/divest_from_coal_ja/
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「ダイベストメントは、原発の息の根を止める運動」河合弘之弁護士
『パリ協定』採択から2年が経った2017年の暮れ。世界的に自然エネルギーへの転換が叫ばれているなか、日本は環境や未来の世代に配慮をしないエネルギー源の使用を未だに拡大し続けています。
CO2の排出のみならず、地元住民の健康被害も懸念される石炭火力発電所を40基以上新たに増設する計画が進み、2011年の災害を忘れたように5基目の原子力発電所の再稼動も始まってしまいました。
このようにエネルギーの観点で大きな問題を抱える日本の現状、そしてその解決策としてのダイベストメント運動について、自身第三作目となる「日本と再生 光と風のギガワット作戦」を2017年初旬に公開した河合裕行監督に話を伺いました。
自然エネルギー100%へと向かう国際的な流れと逆行する日本の社会の動きの背景にはお金の流れがある、と河合監督は次のように語ります。
「お金というのは経済の血なんです。それで、血液がどこに流れていくかっていうことによって、その国の経済がどういう風に動くかが決まるんですね。」
環境リスクを考慮せずに、短期的には安価な電力を供給できる燃料を選ぶ電力事業主も、使用停止状態の原子力発電所を座礁資産*にはしたくないと原発再稼動へのプレッシャーをかける金融機関も、根本的にはお金を儲けたいという理由で動いていると監督は話します。
*市場環境や社会環境が激変することにより、価値が大きく落ちる資産。
河合監督もかつては、企業弁護士としてマネーゲームの中に身を置いていたうちの一人。大きな案件を次々と勝利し、スポットライトの中で金と名声を手に入れたといいます。
しかしバブルが弾けた後、自分の人生に虚しさを感じた河合監督は、脱原発運動の先頭に立つことを決断。その理由を次のように述べました。
「もっと本質的なことに直接関わりたかったんだ。まずは、美しく安全な地球を後世に残すこと。これが人間にとって一番大事なこと。」
脱原発訴訟をいくつも担当しながら、原発推進派がバラまく様々なデマを否定するためのツールとして映画製作にも取り組みます。3・11後は弁護士170人を集めて、賠償金総額5.5兆円の東京電力株主代表訴訟を起こしました。
そして、河合監督は今月の初めに「間接的ではあるが原発の息の根を止める運動である」とダイベストメント運動への賛同を表明し、城南信用金庫へとその資産を移行しました。
↑「日本と再生」上映会にて登壇する河合監督(室内展示写真 by 樋口健二)
ダイベストメントとは、インベストメント ( 投資 ) の反対の意味で、資金を引き揚げること。地球温暖化を悪化させる石炭・石油・ガスを含む、化石燃料に依存する企業や、リスクの高い原発関連企業へのお金の流れを止めて、 持続可能な社会の実現に取り組む企業へと資金を移動させようというムーブメントです。
米国の大学から始まったこのダイベストメント運動は、国際的な広がりを見せており、世界中で800以上の組織(企業、NGO団体、大学、基金、自治体など)が石炭などの化石燃料からのダイベストメントを表明をしました。その総額は約640兆円にも上ります。
日本では、350 Japan(以下350)によって石炭などの化石燃料、原発関連事業に投融資を行う銀行をターゲットとする運動が展開されており、総勢130人と7団体がそれぞれの口座を地球にやさしい銀行へと変更し、ダイベストメントの達成を宣言しました。(2018年1月時点)その総額は約4億円に達しています。
河合監督「ダイベストメントは銀行に対する不買運動」
ダイベストメント運動の狙いは、地球環境にやさしい事業への投融資を銀行に求めること。この活動を河合監督は「不買運動」のようだと、4文字でまとめてくださいました。地球環境にやさしくない投融資を続ける銀行には預金をしないことで、不買運動のように市民のメッセージを銀行に伝えます。
さらに活動を一歩進めるために、350は「地球にやさしくない銀行ランキング」と題して、ダイベストメントを宣言した市民が、どの銀行の口座から預金を引き揚げたのかランキング形式で発表しました。
また、それとは反対に…
地球にやさしい&やさしくない銀行ランキングを更新!
なんと!ダイベストメントした人が100人を超えましたーーーー!祝
12月12日現在、ダイベストメント報告をした人数119人。総額にして約437,800,000円のお金が地球にやさしい銀行へと移行されました!
国際環境NGO団体350.ORGの日本支部350Japan が行っている、11月6日~12月12日の間に開催されている今回のキャンペーンでは、化石燃料や原発関連企業にお金を流す銀行から預金を引き揚げ、地球にやさしい銀行へと口座を乗り換える100人と5団体の「ダイベストメント」を目指しています。
今回は、ダイベストメントのご報告から集計し、移行先の銀行「地球にやさしい銀行」と移行前の銀行「地球にやさしくない銀行」のランキング最新版を発表します!
「地球にやさしい銀行」ランキング
1位:ソニー銀行
前回同様1位の座は、「ソニー銀行」。報告してくださった方のうち32人がソニー銀行へと口座を乗り換えています。
環境対策への具体的な目標設定が評価されているようす。サービスの面では、ワンタイムパスワードの発行でセキュリティ対策も万全、毎月指定額を自動入金してくれるサービス「おまかせ入金サービス」や外貨対応、ネットバンキングにまつわる機能の充実も人気の理由のようです。
また、新規クレジットカード発行や一定金額利用でPlayStationのVRが当たるキャンペーンなど、…
地球にやさしくない銀行 ランキングを発表!
日本でもいよいよダイベストメントが盛り上がってきました!
12月 8日現在、ダイベストメント報告をした人数は104人。総額にして約345,000,000円のお金が地球にやさしい銀行へと移行されています!
350 Japan が行っている、11月6日~12月12日の間に開催されている今回のキャンペーンでは、化石燃料や原発関連企業にお金を流す銀行から預金を引き揚げ、地球にやさしい銀行へと口座を乗り換える100人と 5団体以上の「ダイベストメント」を目指しています。
今回は、ダイベストメントのご報告をしてくださった方々が、もともと使っていた「地球にやさしくない銀行」のランキングを発表します!
1位:三菱東京UFJ銀行
1位は、「三菱東京UFJ銀行」。今回報告してくださった方のうち42人がUFJ銀行からダイベストしました。
350 Japanが行った調査では、三菱東京UFJ銀行は、2011年 4月〜2016年 1月の間に、化石燃料関連企業に約1,6兆円、原発関連企業に約870億円を融資しています。三菱東京UFJ銀行は、少し前に大問題となった「ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)」の主要な資金提供者でもあります。これはアメリカのネイティブアメリカンの人々の生活圏に石油のパイプラインを建設するプロジェクトで、約560億円を融資していました。
350 Japanが調査した2011年〜2016年の各銀行の融資額
また、最近三菱UFJ銀行がクラスター爆弾へ融資していたニュースが話題となりましたが、こちらもみなさんがダイベストした理由となっているようです。
2位:みずほ銀行
2位は、「みずほ銀行」。今回報告してくださった方のうち17人がみずほ銀行からダイベストしました。
350 Japanが行った調査では、みずほ銀行は2011年 …
地球にやさしい銀行人気ランキングを発表!
みなさんいかがお過ごしでしょうか?
寒さが増していよいよクリスマスも近づいてきました。そんななかソワソワしている人も多いのではないでしょうか?!パーティ好きの350 Japanスタッフは、忘年会で美味しいお酒が飲みたい!ということで、絶賛開催中の「レッツ・ダイベスト!」キャンペーンを頑張って広めています!(もちろん地球のために、が一番の目的です笑)
11月6日~12月12日の間に開催されている今回のキャンペーンでは、化石燃料や原発関連企業にお金を流す銀行から預金を引き揚げ、地球のやさしい銀行へと口座を乗り換える100人と5団体の「ダイベストメント」を目指しています。
12月1日現在、ダイベストメント報告をした人数は64人。総額にして150,000,000円以上のお金が地球にやさしい銀行へと移行されました!
今回は、ダイベストメントのご報告をしてくださった方の中で人気だった銀行ランキングを発表します!まだ「ダイベスト」していない方は、ぜひこちらをご参考に地球にやさしい銀行に口座を乗り換えて、キャンペーン最終日の12月12日までにご報告ください!
1位:ソニー銀行
ダントツ1位は、350 Japanスタッフの中でも一番人気の「ソニー銀行」。今回報告してくださった方のうち31人が口座を利用しています。
ソニー銀行の特徴は、定期預金金利は1年/0.05%。今回調査した銀行の平均金利が0.01なので、割と高めの金利となっています。また、全国約9.000台のATMで使用可能、無料で利用できるATMも比較的多いので、利便性も高いと言えます。
また、オンラインサービスも充実し、預金も投資信託もFXも住宅ローンもカードローンも、一つで済んでしまいます◎キャッシュカードと世界中で使えるVisaデビットカードが一枚になった「Sony bank WALLET…
「しあわせの経済」世界フォーラム2017分科会レポート ローカリゼーション、小さな経済圏が世界を変える
本イベントは、社会問題における国際的な議論と実践を紹介し、それと同時に日本各地で起こるローカル経済のモデルを日本や世界に発信するために開催された。会場内では、ローカリゼーション運動のオピニオンリーダーや、しあわせの経済実践者など、32人のスピーカーによる14のセッションが行われ、オーガニックやフェアトレード商品を紹介する30の団体が出展した。
二日目の分科会では、350 Japanが企画した「ローカル×エシカル×地球に優しい金融とは?」をテーマにしたトークセッションが行われ、およそ100人の参加者が集まった。
ゲストは、末吉里花氏(エシカル協会代表理事)、吉原 毅氏(城南信用金庫顧問)、新井和宏氏(鎌倉投信ファンドマネージャー)、ジョージ・ファーガソン氏(建築家、元ブリストル市長)が登壇し、350 Japan代表の古野が司会を務めた。
本や世界においても、環境問題や格差問題が深刻化し、さまざまな局面で資本主義とグローバルマネーの限界を感じざるをえない状況になってきた。これらの解決策として世界で注目されているのが、ローカリゼーション、エシカル消費、社会的責任投資だ。より持続可能な社会の実現に向けて、これまでの日本の発展を支えてきた金融機関の役割は、今後どのようなものになっていくのか。そして一般消費者として、どのような選択をすれば良いのか。それぞれの専門家たちの意見を聞いた。
グローバル経済の問題点とは?
まず吉原氏は、グローバル経済の悪影響として、お金によって人々が“自分さえよければ”“今さえよければ”という、視野狭窄であり近視眼的になってしまったことをあげた。「明治以降の日本では、イギリスやアメリカの影響から、損得勘定であるマネーマーケットやグローバルマネーが正しいと思い込んできました。テレビやコマーシャルがそれをうたうことで、今の日本にもある全体性がつくり出されたのです。ただ、そういう人たちが悪いのではなく、社会がそういう状況をほったらかしにすることがいけないのだと思います」
そういった状況をつくらないために、昔ながらの穏やかな生活を守っていくことや、イベントのテーマとなった“ローカリゼーション”が大切だと吉原氏は話す。お金中心の経済では、大量生産・大量消費が推し進められ、ものの価値が見えづらくなってしまう。
他者を思う、ものを大切にする。そういった心ある経済にするには
こういったお金優先の社会から脱却するには、物々交換があった時代に価値観を戻す必要があるとファーガソン氏は話した。
ファーガソン氏が市長を務めていたイギリスにあるブリストル市では、薄利多売ではなく、ものの価値と適正な価格が生み出せるような小さな経済圏をつくるため、2012年から地域独自の通貨「ブリスタル・ポンド」を発行していた。これは、地元のお店や企業、交通で使うことができ、チェーン店などの大型店や市外では使えない。登録した中小企業は1,000社に及ぶ。
ファーガソン氏は、市長を務めていた当時、地域通貨で自治体職員の給料を一部受けていた。これは、通貨の使用先を地元企業に限定し、市外への紙幣流通を防ぐとともに、地元企業への流通を増加させることで、市内経済を活性化させることを目的としている。また、地域通貨を使用することで、消費者側の立場でお金の流れを見ること、自分たちが何にお金を使うかを考えること、この二つを促すことができる。それによって、自分のお金から社会がつくられているという自覚を生み出すことが大事だとファーガソン氏は語った。
こういった背景や本来ものが持つ価値を知ったうえで購入するといった、社会や環境に配慮した消費行動をとることを広めているのが「エシカル協会」だ。代表理事の末吉氏は、人とものづくりの間に大きな壁があり、ものづくりの背景が見えないことがさまざまな問題を引き起こし、知らない間に問題の加担者になってしまっていることがあると話す。
「環境破壊や大気汚染、気候変動、人権侵害、児童労働、貧困問題。たくさんの問題が起きているにもかかわらず、私たちが裏側を見ようとしなければ、問題を知ることさえできません。問題は知られた時に初めて問題になります。だからこそ、私たちはもっと問題を知る必要があります」
エシカル消費は、地球環境、地域社会に配慮したものを買うことを指す。フェアトレード、オーガニック、地産地消、応援消費などもこれに含まれる。また協会では、お金を使って何かを買うだけではなく、社会や環境に配慮した銀行口座を選ぶ“エシカル金融”についても扱う。協会は、今回のイベントに合わせ、350 Japanが紹介する「地球にやさしい銀行」で口座を開設し、「ダイベストメント」を実行した。
また、個人投資の観点では、消費行動同様どういう社会にしたいかということにお金を投じることが真の投資であると新井氏は話す。「投資は投機と違い、投じて資すると書きます。自分ではなく相手に資するということを考えること。自分のお金を社会のために役立たせることで意味が出てきます」
信用金庫の立場では、地域で起業する人々を応援し、地元の困り事を手伝うことが金融機関の社会的な役割だと吉原氏は話す。ブリストル市でも、地域通貨の実現をサポートし、小さなローカル経済をつくる起業家を支援したのは、地元の信用金庫だ。
自然エネルギーへの転換こそがローカリゼーションの鍵
そして、ローカリゼーションで重要となってくるのが自然エネルギーへの転換だ。エシカル消費にはもちろん自然エネルギーも含まれる。日本が自然エネルギーに舵を切れば、経済が大発展すると吉原氏は話す。
日本は他国から…
[My Bank My Future宣言] 銀行からの回答を公開
先日銀行に提出した「My Bank My Future宣言」署名に関するアップデートです!環境に配慮した銀行業務を求めて1000人以上の署名を9月22
- 三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、
農林中央金庫は書面にて要請書への回答を提供 - 三井住友信託銀行は350 Japanとの会合を了承
- ゆうちょ銀行は10月6日の期限を越してからの回答、りそな銀行は回答は無し
結論として、7行中6行より何等かの回答は得られましたが、
3大メガバンクからの回答には、
しかし、一方で350 Japanが昨年行った調査より提出先の7行は気候変動を加速さ
インドネシアで小エビが取れなくなってしまっている!?
既設の石炭火力発電所の影響で、住民は漁業や農業など生計手段への影響、および健康被害に直面しています。
私たちの税金や預貯金を活用し日本政府や民間銀行がこのような問題を及ぼしている事業に巨額な支援を行っているケースはインドネシアに多数あります。
チレボン石炭火力発電所を覆う黒い雲。西ジャワ州チレボン県アスタナジャプラ郡カンチ村から。
撮影:アルディレス・ランテ(Ardiles Rante)
今年の2月に350.org事務局長メイ・ブーヴィは西ジャワ州インドラマユ県にある石炭火力発電所、そして日本の民間銀行も巨額な支援を行っているチレボン県の石炭火力発電事業を視察し、付近で生活をする住民と対話するためにインドネシアを訪れました。その時の体験談を取材形式でご紹介します。
Q:インドネシアのどの石炭力発電所に隣接するコミュニティを訪れましたか?
メイ・ブーヴィ(以下、メイ):旅路はまず、インドネシア西ジャワ州チレボン(Cirebon)から始まりました。現地の住民たちは、稼働中の石炭火力発電所の停止と、発電所増設計画の撤回を目指して闘っていました。 丸一日、彼らと語り合い、親交を深めました。反石炭プロジェクト運動を率いる彼らこそ、チレボンを特別な場所にしているのです。 さらに、チレボンでは新たな発電所を建設するために、日本の国際開発銀行とメガバンクを始め、約21億米ドル(約2366億円)の融資を決めているという話も伺いました。翌日は、同じ西ジャワ州のインドラマユ(Indramayu)にある別のコミュニティを訪れました。現地の住民たちは、中国が支援し建設されたの石炭火力発電所のせいで、深刻な健康被害を受けています。 日本のJICAもそこで、新たな石炭火力発電所への融資を検討しています。
Q:住民との対話を通じてどのようなことを学びましたか?
メイ:チレボンやインドラマユ、そしてインドネシア全土で、漁業やそれを生業としてきた人々に具体的に何が起きたのかについて知りました。魚がいなくなってしまったのです。 チレボンの名物は、テラシとよばれる小エビのペーストです。 ウィキペディアのチレボンのページにも、テラシについての記載を見つけました。 チレボンにとってのテラシは、米国人にとってはパン、日本人にとってはお米のようなものかもしれません。 問題は、この小エビの棲息地に発電所が建設されて以来、網いっぱいの小エビが採れなくなってしまったのです。今日出会ったドゥスマッドという漁師も、その影響を受けた一人です。 そこでドゥスマッド、塩づくりで生計を立てようとしたのですが、塩田は石炭灰が混じり、塩づくりには適さなくなっていたのです。ドゥスマッドと同じ村の住民たちは、インドネシア全土で活動中のNGO「インドネシア環境フォーラム(WALHI)」や「Jatam」、「グリーンピース」といった、350のパートナー団体による支援を受けています。 今週開催したこれらの団体とのミーティングで、チレボンの発電所2基を含め、インドネシアでは計109基、発電量にして3万5千メガワットの発電所の建設計画が進行中であることを知りました。 同国政府は、脆弱な環境影響調査基準などで、石炭プロジェクトを積極的にサポートしています。その上、これらのプロジェクトは、主に日本政府や民間銀行などからの多額の投融資を受けています。だからこそ、日本の預金者が自分の銀行どのようなお金の使い方をしているのかについて考え、アクションをとることが大事になってくると思います。
西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電所近くの自宅で、自分のX線写真を見せてくれたアイニちゃん(8歳)。肺の部分に小さな影が見える。
撮影:アンディレス・ランテ(Ardiles Rante)
Q:最後に、この体験を受けて感じたことを教えてください。
メイ:チレボンやインドラマユのように、最前線で闘う住民たちが日々味わうであろう挫折を思うと、打ちのめされそうになります。生業を奪われた上、文化の土台そのものまでが壊されているのです。 でも、別れ際のドゥスマッドのことを、私は決して忘れません。彼は、笑顔で私たちに祝福の言葉を伝え、私たちのために祈り続けると言ってくれました。気を落とさずに闘い続けるよう、励ましてくれたのです。滞在中は、私は米国から、キーストーンおよびダコタ・アクセス両パイプラインの建設をトランプ政権が承認したという非常に残念な知らせが届き、落ち込んでいました。しかし、世界を見渡せば、大切な土地や愛する人を守るため、至る所でこのような闘いが繰り広げられています。あるいは、それは水や汚染、気候への影響といった、地域の未来の安全に関わる闘いでもあるのですが、結局のところ、これらの問題は私たち皆に影響を及ぼします。
終
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自らお金の流れを考える
350.org Japanは、化石燃料や原発にお金を流していない、地球にやさしい銀行選びを促すMY …
連帯を強める:日本からDAPLに対する立場を明確にすること
2月17日金曜日、ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)建設プロジェクトの投融資に関わる日本の三大銀行(みずほ銀行、東京三菱UFJ銀行、住友三井ファイナンシャルグループ)に対し、同プロジェクトからのダイベストメント(投資撤退)を求める11300人の署名を提出するため、この問題に関心のある市民によるグループが、日本のアイヌ民族の方やニュージーランドのマオリの人とともに、 東京に集まった。
東京での署名提出は 、DAPLに関わる17の米国や国際的な銀行に対し、同プロジェクトからの投融資撤退(ダイベストメント)を求める書簡を提出するという草の根レベルの多数の団体による国際的な連帯運動と同時に行われた。
DAPLをめぐる戦いの最前線にいる、建設ルート近くの居留地に住むアメリカ先住民スタンディングロック・スー族は、一連の緊迫した状況に立たされている。2月初旬、トランプ政権下で発出されたダコタ・アクセス・パイプラインとキーストーンXLパイプラインの建設を進めることを求める大統領令のもと、アメリカ陸軍工兵部隊が、プロジェクトに関する環境調査を中止し、建設を完了させる許可を与えると発表した。2月22日には、石油パイプラインの建設に反対し、現地にキャンプを設営して抗議運動を続けてきた人々に対して行政側による強制的な取り締りが始まった。
状況は過酷になる一方ですが、スタンディングロックの人々と彼らの清潔な水への権利を支持することを表明する投資家も現れている。特筆すべきは、アメリカで最も大きな公的年金基金の一つであるカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)が、主要なアメリカの銀行と国際的な銀行に対し、その他100以上の機関投資家とともに、DAPLのルート変更の努力を支持するよう呼びかけたのだ。この呼びかけを行った、機関投資家の運用資産総額は6,530億米ドル(約74兆円)で、決して少額ではない。CalPERSなどの機関投資家がこういった重要な市民運動を積極的に受け入れているということは、現在も運動に関わっている人々へ希望をもたらしたであろう。
上:みずほ銀行の前で(井口康弘)
アイヌ民族とマオリ民族の交流を推進するアオテアロア・アイヌモシリ交流プログラムの代表である、シマダ・アケミさんは、東京での署名提出に参加した。署名提出にあたり、シマダさんは水の重要性について強調し、「水はアイヌにとっても、すべての生き物が生きていく上で必要なものです。だからこそ、私たちアイヌは、日本の銀行にダコタ・アクセス・パイプラインから撤退するように申し入れているのです。」
署名提出者の一人、オカザキ・タカさんは、銀行が説明責任を果たし続ける上でメディアが果たす役割について強調した。メディアは「みずほ、三井住友、三菱東京UFJの広報部と連絡を取り、この署名についてどのように対応するのかといった簡単な質問を聞くべき」であると話した。
上:みずほ銀行前で(井口康弘)
パイプライン建設の人道的・環境的な影響に深い懸念を表明するために、異なった背景を持つ人々が集まることはとても美しく、素晴らしいことだ。情報を持つ市民の力が変化を生み出すということを強く信じさせる出来事である。
これらの銀行やその他の金融機関が投融資を行っている問題のあるプロジェクトを取り上げ、そのプロジェクトの持つ影響を自分ごととして捉え、 気候変動に起因する戦いに対して向き合うことが、世界中に広がる問題の解決へと一歩近づく一つの方法と言える。これらのプロジェクトは私たち一人一人に、個人的にも集合的にも影響を与えるものでもある。環境、人道、社会問題などが加速する中で、気候変動の問題に対してまったく関与がない人はいないだろう。点と点をつなぎ、私たちの生きる権利を脅かす問題に対して何ができるのか考えることを促すのが、私たちの社会的義務だ。
スタンディングロック・スー族への人権侵害は、直接日本の銀行の投資活動に関係があある。DAPLに投資している全ての日本の民間銀行が、金融機関にプロジェクトファイナンスの環境社会リスクの特定・評価・対処を求めるフレームワークである赤道原則に署名している。先住民族の生活への深刻なダメージの可能性や地元の抗議者への暴力的な取り締まりは、赤道原則に反する行為だ。
東京でのアクションをスタンディングロックでの運動につなげることは、私たちが本当の変革を求めて声を上げることを後押しする力と情熱を与えてくれる。
個人としてできることもある。これらの銀行へダコタ・アクセス・パイプラインへの投融資を止めるようにインターネットより簡単にメッセージを送ることができる。もちろん直接電話をしたり、手紙を書くことも可能だ。ぜひ銀行にあなたの一声を。
みずほ銀行本店
〒100–8176
東京都千代田区大手町1–5–5(大手町タワー)
03–3214–1111
意見・苦情専用ダイヤル 0120-324-221
意見フォーム https://www.mizuhobank.co.jp/info/goiken/index.html
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三菱東京UFJ銀行本店
〒100-8388
東京都千代田区丸の内2-7-1
03-3240-1111(本店)
意見・苦情専用ダイヤル 0120-309-333
意見フォーム http://www.bk.mufg.jp/voice/
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三井住友銀行本店
東京都千代田区丸の内1-1-2…
#DeFund DAPL
トランプ米大統領は1月24日、米国のノース・ダコタ州に敷設予定の「ダコタ・アクセス・パイプライン」石油パイプライン建設事業(DAPL)とカナダから米国に原油を輸送する「キーストーンXL・パイプライン」を推進する大統領令に署名しました。DAPLの建設ルート上に水源と居留区のある先住民「スタンディングロック・スー族」が中心となって抗議活動を盛り上げ、オバマ前大統領によって案件が事実上保留されてから約6週間。このプロジェクトには、日本の三代メガバンクを含む大手銀行17行が融資しています。
#DeFundDAPLキャンペーンは、スタンディング・ロック・スー先住民族の権利を尊重し、ダコタ・アクセス・パイプラインへの投融資を中止することを17行に求めています。25以上の草の根団体が主催団体となり、これまでにアメリカ国内国外から50万以上ものオンライン署名を集めました。日本では「日本の大手銀行:人権侵害と環境破壊に配慮し、DAPLへの資金提供を打ち切ってください!」と訴える署名運動には1万人以上が署名しています。すでに数千もの人々が DAPL を支援する銀行から預金を引き出し、口座を閉鎖しています。自己報告によると、合計で46,314,727.18ドルに上がると言われています。
2016年12月13日に、スタンディング・ロック・スー族と他の先住民族の指導部は、これらの銀行に対して、先住民族の懸念を聞いてほしいと会合を要請しました。その中には、日本のみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、そして三井住友銀行も含まれています。(スタンディング・ロック・スー族代表から日本の民間銀行への要請書全文)
ところが、2017年1月10日の銀行側の回答期限が過ぎても、銀行10行が会合を辞退してます。みずほ銀行は会合を拒否し、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行は返答さえしていません。
トランプ大統領が石油パイプライン建設を促進する方針を取り、いよいよ緊急性を増すDAPLへの抗議活動。スタンディングロック・スー族の土地と権利を守り、貴重な水源と環境を守るためには、銀行によるDAPLへの投融資を中止に追い込むしかありません。2017年1月30日〜2月3日の間は「#DeFundDAPLグローバルアクションウィーク」です。スタンディングロック・スー族と連帯し同事業への反対を示すため、8ヵ国で抗議アクションが企画されています。ニューヨークでは2月1日にみずほ銀行ニューヨーク支店前でデモが予定されています。日本では、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行に対して、先住民族の指導部らと協議に応じダコタ・アクセス・パイプラインへの投融資を中止することを求め、皆様にもこれらの銀行への抗議活動への参加をSNSなどを通じて呼びかけていきます。
日本のサポーターへのメッセージ:
預金者として、一般市民として、銀行を変えるのは私たちです。このキャンペーンについて、現地のノースダコタ州で活躍するセイクレッド・ストーン・キャンプ(Sacred Stone Camp)のラドンナ・ブレーブブル・アラード(Ladonna Bravebull Allard)氏は、次のように述べています。: 「銀行の投資力は人々に由来するということを銀行には知ってもらいたいと思います。また、私たちには安全な水にアクセスする権利があり、その水を守るのために戦います。 地球を破壊する投資は止めてください。」
また、先住民族の権利を守るオナー・ジ・アース(Honor the Earth)のナショナル・キャンペーンズ・ディレクターのタラ・ホウスカ(Tara Houska)氏は次のように述べています。: …
トランプ-安倍時代の日米関係はどのように進展するか? アジア太平洋地域における地球温暖化対策とパリ協定への意味
日本の内閣総理大臣安倍晋三氏は、11月19日から20日にかけてペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)の首脳会談への参加にあわせて、11月17日木曜日、アメリカ大統領に選出されたトランプ氏を訪問します。
現職の日本の総理大臣がそのように早いタイミングでアメリカの大統領に選出された人物を訪問した前例はありません。なぜ安倍首相は次期大統領トランプとその閣僚らとの友好関係を築く事にこんなにも熱心なのでしょうか?
安倍首相のウィッシュリストには、二つの主要課題が挙げられるとみられます。それらは日米関係への転換点と、アジア太平洋地域が真に持続可能な開発路線を歩むための可能性をもたらす物です。
- 環太平洋経済連携協定(TPP)
安倍首相の地政学上の野心と、アジア太平洋地域の経済政策の鍵を握るのは、TPPの早期締結です。安倍政権は、アメリカの選挙期間、パリ協定の批准をおしのけてまでも、衆議院でのTPP関連法案の審議を強行しました。結果、パリ協定の批准はずいぶん遅れてしまいました。オバマ大統領が強力なTPPの支持者であり、スポンサーであった一方、トランプ氏は、彼の政権下で迅速にTPPをゴミ箱に放り込むと明確に発言しています。アメリカの批准なしには、発効の条件である少なくとも6カ国の批准と、すべての交渉参加国のGDPの85%が満たされません。日本の自由民主党の大物議員ですら、協定は死んだと発言しています。このことは、中国の台頭に応えるための、安倍首相のアジア太平洋における経済貿易戦略の信頼性を失わせる結果となっています。
では、経済面において、安倍首相にできることは果たしてなんでしょうか。
まず、TPPを諦める事です。多国籍企業にさらなる自由を与える事は、政府による温室効果ガス排出削減の役割を低減させ、最下層への競争を早め、そして、格差の拡大を招くでしょう。さらに、中国をそういった経済のフレームワークから除外する事は、東アジアの緊張を高める結果になるだけでなく、中国が自分たちによるルール作りを追求する事に対して、さらに大きな理由を与えてしまいます。南シナ海をみただけでもわかりますし、また中国がスポンサーの機関(例えばAIIBなど)の設立につながります。
そのかわり、安倍首相はこの機会を、アメリカやトップダウンの少人数の利益のためのルール作りに依拠しない、すべての人に幅広い利益をもたらす代替の地域経済モデルを作り上げるために活用すべきです。そういった経済モデルは中国との協力も含め、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定と整合性のあるものでなくてはいけません。持続可能な未来にむかって地域協力や技術移転を生み出し、さらに2050年までに温室効果ガス排出ゼロ経済への変革を加速させるような、新たな経済の課題設定が必要です。
これを実行するためには、安倍首相にはクリーンコールと呼ばれる石炭利用技術の推進をあきらめ、再生可能エネルギーへの重点的投資が必要です。安倍首相はトランプの意向に引き込まれ、石炭と化石燃料の拡大をおこなう可能性もありますが、世界の大多数の意見に対抗して気候変動対策を怠れば、日本とアメリカのより一層の孤立化を招き、パリ協定の成功と皆が安心して暮らせる地球を台無しにします。
アメリカの場合、オバマ政権下で採択されたクリーンパワープランによる温室効果ガスへの排出規制を引き下げ、多くの汚い石炭火力発電所に影響を与え、国有地のリースに関する規制を緩和する可能性がありますが、これは石炭に対する需要の縮小とコストの拡大、対、再生可能エネルギー投資への需要の拡大とコストの縮小という、より大きな枠組みで見た石炭の経済性に大きな影響を与える事はないでしょう。日本の場合、海外における石炭開発の巨額の補助金を継続していることが、過去の電源としての石炭の延命につながるかもしれませんが、東南アジアの成長を続ける経済は、よりクリーンで、健康的な代替を求めるようになるでしょう。国内的には、48基の石炭火力新設計画がありますが、これはパリ協定を批准した日本の義務にまったくもって整合性を欠くものであり、日本の石炭への執着に対する国際的な批判をさらに増やすことになるでしょう。
トランプの化石燃料支持路線に従う事は、気候災害、経済の衰退、そして座礁資産化への確実な道を意味します。さらに、日本の化石燃料依存を深化させることで、再生可能エネルギーにおける中国の世界的なリーダーシップをさらに強化することになり、中国にさらなるソフトパワーと、この地域における持続可能な開発のための市場をゆずることになります。
石炭火力を推進するかわりに、アジア太平洋でさらに需要が拡大する再生可能エネルギーの分野で、日本の信頼性や価値ある技術で評判の日本の企業を活用し、日本の再生可能エネルギー市場、そして輸出を拡大していくことが出来ます。これはカリフォルニアなどのアメリカの先進的な州や、トランプが政権につこうとも気にせずに再生可能エネルギーの発展と確信を積極的に支援し続ける世界の技術を牽引するリーダー達との協力の元でおこなっていけます。日本を再び世界のリーダーとしての地位に就かせることにもなり、地域内での再生可能エネルギーの需要が成長するにしたがい、日本の経済面も強化するでしょう。
これは安倍首相のチェックリストの二番目の項目につながります。
2.中国と日米同盟
トランプが大統領選を勝利した事で、確実にアメリカはトランプ流の「アメリカ第一」の保護主義に向かっていくでしょう。これは中国を敵に回すことになり、もしも貿易規制が加速すれば中国が応酬にでざるを得ない事で、日本を含む市場がマイナスの影響を受ける可能性があります。アジアにおけるアメリカの役割に対するトランプの見方は曖昧です。そして安倍首相の主な懸念は、トランプによる、日本を護衛するためにアメリカが支払っているコストを全額負担すべきという要求と、北朝鮮の脅威に対抗するために日本と韓国は核武装すべきだという思いつきの発言です。
この発言が日本との二国間関係において何か実質的な変化をもたらすかどうかは疑わしいところですが、安倍政権は日米安保条約の重要性を強調し、中国の拡大するパワーと影響力に対して対抗するためアメリカの存在を東アジアにつなぎ止めたいと強く望んでいます。アジアでの防衛協力に対するトランプの冷遇は、安倍首相に独立した外交政策にむけた戦略的関係性を再考させるでしょう。
では、中国に対して何をすべきでしょうか?
封じ込め政策については忘れて、気候変動を止めるための協力を通じた地位安全保障の形成をおこなうべきです。中国はゼロサムゲームの中で、既に強い力を持っています。貿易を武器として使ったり、軍拡を通じて敵対関係を維持するのではなく、お互いのための経済的反映と、地域の安全保障のために中国とのさらなる協力に日本は向かうべきです。日本の繁栄は今や中国の繁栄と表裏一体であると認めるべきです。中国の参加なしで貿易ルールをコントロールしようとするよりも、レジリエントな炭素ゼロのインフラへの国際的な投資のための透明性の強化と、社会・環境へのセーフガードを強化していく事で、豊かで、持続可能でそして平和なアジア太平洋地域を中国とともに達成するべきです。それは国内的にも、二国間関係的にも、そして国際的にもウィンーウィンーウィンな解決策です。
パリ協定の発効を潤滑油として活用し、安倍首相は100%再生可能エネルギーベースのアジア太平洋地域を達成することに日本の企業が参加する新たな機会として、AIIB への参加を再考することもできます。化石燃料拡大への道を歩み続ける事は、単に危険な温暖化の未来に自分たちを閉じ込めることにしかなりません。地球規模の安全保障と経済的福祉に対してもっとも大きな脅威です。
日本のアジア地域での役割を再考する
ドナルド・トランプの第45代アメリカ合衆国大統領選出は、日米同盟を越えた地政学的、また、地域経済におけるオルタナティブを設定する機会と、経済的優位を誇る中国を、アジア太平洋地域の持続可能で協力的な未来に巻き込む機会を、安倍首相に与えました。つまりTPPを断念し、石炭技術の輸出をやめ、そしてパリ協定のもとで、未来の再生可能エネルギー技術に基づいた、持続可能、平和、そして豊かなアジア太平洋地域というゴールを中国とともに達成してくということを意味します。…
「ACT FOR 1.5℃」〜 日本のパリ協定批准、そして私たちのやるべきこと 〜
昨年パリで合意された地球温暖化対策を進める新たな国際的枠組み「パリ協定」への日本による批准が、昨日ついに衆議院の本会議で承認されました。これによって、日本は世界に大きく遅れをとるかたちで、11月4日に発効した「パリ協定」の103番目の締約国となりました。しかし、批准が遅れた日本は、7日よりモロッコの首都マラケシュで開催されている COP 22で行われるパリ協定のルールを作る第1回パリ協定締約国会合には残念ながら「オブザーバー」という形での参加となってしまいました。
そんな中、パリ協定が発効した11月4日に、350.org Japan は国連大学サステナビリティ高等研究所(UNU-IAS)および地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)との共催で「ACT FOR 1.5℃」アクションを国連大学前で行いました。「ACT FOR 1.5℃」は、パリ協定の中で定められている産業革命前と比べ世界の平均気温の上昇を「1.5度未満に抑える」という目標を達成するために、世界各国が迅速な行動を取るよう呼びかけるメッセージです。
アクションのために集まってくれた参加者にはハートや矢印の形をしたメッセージカードを渡し、「未来への想い」そして「気温上昇を1.5℃未満に抑えるために必要なアクション」を自分達で書き、掲げてもらいました。
アクションには、みんなが大好きなアースマンも駆けつけてくれました!
パリ協定は合意から、1年未満という異例の速さで発効しました。それは、米国や中国をはじめ、多くの国々がどれほど地球温暖化問題を危惧しているかを表しています。イギリスは2025年までに石炭火力発電所を全て閉鎖することを発表していて、スウェーデン政府は25年以内に電力を全て再生可能エネルギーで賄うことを方針として立てています。
10月に発表された Oil Change International による調査でも明らかになったように、パリ協定により定められた「1.5℃」目標を実現するには、世界は直ちに石炭や石油などの化石燃料への依存を断ち切り、クリーンエネルギー社会への迅速な移行を進めなければなりません。
日本政府は国内での石炭火力発電所建設および海外での石炭開発そして石炭火力発電技術の輸出に巨額な資金提供をしています。石炭は化石燃料の中でも、温室効果ガスの排出量が極めて高く、かつ粉塵やPM 2.5 の原因となることから、「最も汚いエネルギー源」だと言われています。「パリ協定」の締約国として、「1.5℃」目標への責務を果たすためには、日本政府は石炭技術の推進を見直す必要があります。
「パリ協定」を実現するのは各国政府だけではありません。一人の消費者としてこの問題に貢献する方法があります。それは、持続可能なお金の流れを構築することです。
地球温暖化問題への対策が大きく遅れているのは日本の政府だけではありません。私たちがお金を預けている銀行などの民間金融機関が地球温暖化の主な要因である化石燃料や持続可能でない原発関連企業へ多額な投資・融資を行っていることが350.org Japan による調査で明らかになりました。
そこで、地球環境を守るお金の流れをつくりあげるためのツールとして350.org Japanが提案するのがMY BANK MY FUTUREキャンペーンです。MY BANK MY FUTUREキャンペーンは、パリ協定の実現を支援するような環境に配慮した投資・融資を行っている金融機関を探し出し、応援するものです。一人の消費者にもできるのは、化石燃料および原発関連企業への投資・融資を行っている銀行から、そのような投融資を行っていない銀行へ預金口座を切り替えることです。社会と環境に配慮したお金の使い方を行う銀行を選ぶことで、地球温暖化問題に取り組む新たな方法として参加することができます。
…
【アクション案内】11月4日・パリ協定発効記念アクション「ACT FOR 1.5℃」
昨年の国連気候変動枠組条約締約国会議において成立した、地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定」が11月4日をもって発効します。気温上昇を産業革命前と比べ1.5度未満に抑えるに向けて、今世紀後半(早ければ 2050 年頃)までに温室効果ガス排出量実質ゼロの実現を目指す、と世界の国々が合意した法的拘束力を持つパリ協定が発行される日は、地球の未来にとって歴史的な1日として記憶されるでしょう。
一方、日本は国内での批准への準備が整わず、11月7日よりモロッコのマラケシュで開催される第1回のパリ協定締約国会合の締約国としてではなく、残念ながら「オブザーバー」としての参加となってしまいました。
パリ協定の発効が脱炭素化、つまり100%自然エネルギー社会を目指して国際社会が全員参加で正式に動きだす日だということを祝い、かつ日本での温暖化対策を進める気運を盛り上げるために、パリ協定発効記念アクション「ACT FOR 1.5℃」を11月4日に国連大学にて行います。ぜひ奮ってご参加ください!
パリ協定発効記念アクション「ACT FOR 1.5℃」
~国際社会が全員参加で温暖化対策に動きだす日~
- 日時:11月4日 18:00~18:30(荒天中止)
- 場所:国際連合大学前公開空地
- 対象:垣根なく気候変動問題に関心を寄せる市民
- 参加費:無料
- 参加方法:350.org JapanのFacebookイベントページにて「参加予定」をクリックしてください!Facebookイベントページ>>www.facebook.com/events/1783101101945704/
- アクション内容:詳細:「ACT FOR 1.5℃」というフレーズをかたどるようにLEDライト(*1)を段ボール(*2)に貼り付けて、文字をつなげ、参加者とそれを持ち写真撮影を行います。
*1)LEDライトの電源は太陽光バッテリーを使用します。
*2)段ボール文字の一つ大きさはおよそ75cm x 50cm です。
(イメージ図)
企画主催:
350.org Japan
共催:
地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)・国連大学高等研究所(UNU-IAS)
協力団体:
気候ネットワーク・グリーンピースジャパン・FoE Japan…
【イベントレポート】10月はイベントの秋!
食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋と「~の秋」とよく表現されますが、350 Japanチームにとって10月はイベントの秋です!350 JapanはMy Bank My Future キャンペーンのサポーターを募るために、10月はエンゲージメントを中心にチームとして活動しました。今まで行ってきたイベントの様子を少しご紹介します!
グローバルフェスタ2016(10月1~2日)
外務省主催のグローバルフェスタでの初ブース出展でした。太陽光発電で携帯をチャージできるステーションも備え付けました!
新しい仲間で集合写真。
350 Japanボランティアの方と楽しい、新たな地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」への批准レースを表したアクションもできました。
POWER SHIFT-Energy Democracy-(10月5日)
「デンキを選べば社会が変わる!」というモットーで電力の再生可能エネルギーへの移行を推進している パワーシフト・キャンペーンさんのイベントに清水イアンが登壇&DJしました!元SEALDsの奥田愛基さんなどの豪華メンバーと共に、トークに参加しました!
土と平和の祭典(10月15~16日)
地球を祝う祭典で5代目のアースマンが登場しました!アースマンが司会するトークセッションが開かれるなど、色々と盛り上がりました!
イベントの写真はすべてこちらのFacebookアルバムでご覧になれます!…
350との出会い
このブログは350.org Japanのイベントに参加した、ICUの学生小南菜月さんによって書かれたものです。
ICUには環境系のサークルや団体が企画を催し、学生が環境について考える機会を持つE-weeksと呼ばれる週間があります。
私はその期間中に、環境研究の授業のレポートを書くため350.org Japanのみなさんによる特別企画に参加しました。「『ダイベストメント』って何?」というタイトルで、参加する前の私はまさにダイベストメントとはいったい何だろうという気持ちでした。ダイベストメントとは、気候変動への懸念から化石燃料に関わる企業への投資をやめることです。日本ではほとんど知られていませんが、世界では40か国約500団体が取り組んでおり、その中には大学も多く含まれるのですが、その理由は企画の最後にわかりました。
はじめに気候変動を緩和させるために個人ができる取り組みを出し合いました。CO2を減らす、リデュース・リユース・リサイクルをする、節電する、自然エネルギーを利用する、植林する、地産地消などが挙げられました。
ダイベストメント運動が世界的にかつてないほどの盛り上がりを見せている背景には、2015年パリで行われたCOP21で産業革命前からの気温上昇を2℃より十分に低く抑える目標を掲げた上、さらに1.5℃以内と、より厳しい水準へ努力するという採択がされたことがあります。現在その1.5℃を守るために「あとこれだけ炭素を排出できる」という炭素予算はCO2換算で243ギガトンだそうです。そして現在地中に埋蔵が確認されている石炭などの化石燃料からの換算量は3670ギガトン、現在世界の年間排出量は40ギガトンです。つまり埋蔵量の90%以上は使えず、今のペースで排出を続けると6年で気温が1.5℃上昇してしまいます。
このように地球温暖化は急速に進んでおり、現在もカナダのフォートマクマレーでは山火事の時期が2か月早まり、5月10日にはソロモン諸島の島が5つ沈没したという報道があったそうです。そこで個人がそれぞれで行動しているだけでは足りない、もっと大きな組織を動かそうと立ち上がったのが350.orgです。
日本の大手銀行は石炭を含むに関わる企業へ莫大な投資をしていて、私達も知らず知らずのうちに地球温暖化に加担していること、同じように投資を行っている大学があることを初めて知り、驚きました。しかし、大学では情報を開示してくれないところもあるらしく、実際には状況がわからないそうです。
この企画で最も刺激を受けたのが、アメリカのスタンフォード大学でダイベストメント運動をしている二人の学生JosephとEmily、現在オーストラリア350.org職員で自分の母校にダイベストメントを行っているRayとSkypeで話したことです。スタンフォード大学では生徒の投票で75%の賛成を得て石炭関連企業への投資をやめることを大学が決め、今は次のステップに向けて模索しているそうです。
ICUの学生が、大学が投資先の情報を開示してくれない場合はどうしたらいいか尋ねたとき、「私達も同じ状況だったけれど、化石燃料に関わる企業をすべてリストアップしてそこへ投資しないよう大学に言ったよ。」と答えてくれて、なんてパワフルな学生達なのだろうと思いました。
アメリカやオーストラリアでは学生達が大学でデモをしたり、学長室の前に張り込んだりしてダイベストメント運動を展開しているようです。日本では考えられませんが、彼らはそのような日本でこそデモなんて起こったらインパクトが大きいのではないか、と話していました。なぜダイベストメント運動に関わるようになったのか聞くと、節電やリサイクル、研究なども大事だと思うけれど、そういったことはもう何十年もやっているのに状況は変わらない、市民が一体となってトップの決断に直接影響を与えたいと思ったからだそうです。
Rayの話にはさらに感銘を受けました。彼は学生時代、気候変動について調べるため奨学金を受けてモルディブから来ていたAdamと友達になったそうです。大学1年生のころRayは自分の大学が気候変動などについての勉強を教えているにもかかわらず石炭、化石燃料の会社に投資をしていて憤りを覚えました。水没の危機にさらされているモルディブから来たAdamもがっかりしてしまいました。親友が祖国を失ってしまう、彼の子どもは住むところもなく難民になってしまう、と思ったRayは自分が立ち上がるしかないと考え、ダイベストメントを始めたそうです。オーストラリアでは政府の情報開示法によって大学が情報開示を拒否できないようになっているそうです。E-weeksで参加した他の企画では個人個人が環境のことを考えてできることに焦点が当てられていましたが、その一方で、権力を持つ組織にはたらきかけるくらいしないと地球温暖化の状況は変わらないのかもしれないと危機感を覚えました。
大学でダイベストメントが行われる理由は、大学の求める学生像とダイベストメントの目的に重なる部分があるからだという話が出ました。正直、大学の教育理念や目指す学生像は文面で読むだけで深く考えたこともありませんでしたが、ICUが掲げる「信頼される地球市民を育むリベラルアーツのグローバルな展開」を考えてみると、自分もICUの学生として海外に目を向け、地球に目を向け、行動を起こさなければならないと思いました。デモをしたり実際に投資をやめさせたりすることだけではなく、今回のようなイベントを通じてもっとたくさんの人にダイベストメントについて知ってもらいたいとのことだったので、今回の体験を周りの人にどんどん話したいと思っています。
E-weeksのイベントで刺激を受けて自分も今後ダイベストメントに関わりたいと思うようになり、先日初めて350.orgのミーティングに参加させていただきました。一方的に話を聞くだけでなくグループごとに質問を考えるなど、とても参加しやすい雰囲気で居心地が良かったです。また、海外の方も参加していたので、本当に地球規模のことについて考えているのだ、という実感がありました。議題の一つに、新しいキャンペーン”My Bank My Future”が出てきました。2017年9月までに信用金庫・地方銀行・労働金庫を中心に3つの銀行にダイベストメントを表明、もしくは化石燃料・原発投資を行っていないことを宣言してもらうことを目指すキャンペーンです。E-weeksで聞いた話の中で最も衝撃だったことの一つが、自分の預金が化石燃料・原発関連企業へ投資されていたことなので、このキャンペーンを通して、私のように自分が銀行に預けたお金の行方など深く考えたことがない方に現状を知ってもらいたいです。
…アジア地域を襲う台風が激化、研究により判明
2015年7月7日、衛星写真には太平洋上の台風が2つと熱帯低気圧が1つ、また台風発生警戒区域が1カ所、および広範囲で増加中の対流が映っている 写真:JMA MTSAT-2/NOAA
中国や日本、朝鮮半島、フィリピンで猛威を振るっている複数の台風の破壊力は、海水温の上昇の影響で過去40年間で50%も強力になっていることが研究により分かりました。
研究者達は、将来的にも地球温暖化が大規模な暴風雨をさらに巨大化させる恐れがあり、これらの国々で増加中の沿岸地域の住民達にとって、脅威となると警告しています。
「この増加は極めて現実的なものです」と、ノースカロライナ大学チャペルヒル校で新研究を牽引するウェイ・メイ教授は話します。 「この結果は沿岸地域に多くの人口を抱えている東アジアの国々にとって、非常に重要だと我々は考えています。 住民たちは、こうした台風の強大化に注意を払わなくてはなりません。台風上陸によって、より大きな被害を受ける恐れがあるからです。」
台風は、東アジアで壊滅的な影響をもたらす恐れがあります。 2013年には、台風「ハイヤン」がフィリピンを直撃し、少なくとも6,300人が死亡、1,100万人に影響を及ぼしました。 1975年に中国を襲った台風「ニーナ」により、1日に100cmもの雨が降り、22万9千人の死者を出し、600万もの建物が破壊されました。 先週は台風「ライオンロック」が北日本で11人の死者を出し、停電や物理的損害をもたらしました。一方、7月には台風「ネパルタック」が台湾と中国を襲い、少なくとも9人が死亡し、破壊の爪痕を残していきました。
この新研究(ネイチャージオサイエンスに掲載)によると、研究者達が日本とハワイでそれぞれで独自に収集したデータを元に、収集過程での差異を考慮すると、太平洋北西部の台風は1977年から平均して12~15%も強力になっているという調査結果が導きだされました。 その間、強さが4や5クラスに分類される最も苛烈な台風は、2〜3倍の強さになった地域もあり、陸地を直撃する暴風雨の強度が最も強く観測されています。
台風の強度は最大瞬間風速により計測されますが、台風の強度そのものが15%上がるだけで、強風や高潮、豪雨、洪水などの破壊力は50%も上昇してしまうのです。
台風「ラマスン(現地ではグレンダと呼称)」の強風から逃れるために木の下に避難する人々、2014年7月、被害を受けたフィリピンの首都マニラにて 写真: ロメオ・ラノコ/ロイター
台風が上陸する際に強大化する原因は、勢力を増す嵐に対して温暖化した沿岸海域がさらに多くのエネルギーを与え、風速が増す勢いがを強めてしまうことにあると、研究者達は指摘しています。
このような現象を検証するには、40年という期間は比較的短いため、東アジアでの海の温暖化が人為的か自然サイクルによるものなのか、判断は難しいところです。 しかしウェイ教授は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測した将来の世界規模の温暖化が、東アジア地域の海の温度を上げ、より強力な台風を引き起こす恐れさえあると、言い切っています。
「台風が強さを増してきており、温暖化によりこれからも威力を増し続けるでしょう。」 また、教授は将来の台風への備えだけでなく、温暖化を抑制するためのCO2排出削減の両方の必要性を訴えています。 「台風の強度の変化を理解することは、防災対策として非常に重要なことです。」
マサチューセッツ工科大学の熱帯低気圧の専門家であるケリー・エマヌエル教授(新研究には不参加)は、次のように述べています。 「この結果には、東南アジアや中国…