2023年9月11日

【プレスリリース】G20サミット閉幕: 「2030年までに再生可能エネルギー3倍」に合意 日本も「3倍」への対策強化が急務

プレスリリース

2023年9月11日
国際環境NGO 350.org Japan

 

G20サミット閉幕:

「2030年までに再生可能エネルギー3倍」に合意
日本も「3倍」への対策強化が急務

 

9月9日から10日にかけて、世界のCO2排出量の約8割の責任を有するG20の代表がインドのニューデリーに集い、G20サミットが開催されました。採択されたG20コミュニケにある「再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にする」という新しいコミットメントや、金融システムの改革、再エネへの大規模な投資拡大の必要性についての表明を歓迎します。しかし、気候危機の対処に不可欠な化石燃料対策については「石炭火力発電の縮小を加速」との内容を踏襲し、成果に乏しい結果に終わりました。

今月20日に開催される国連気候野心サミット、そして11月末から12月にかけて開催される国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)を前に、今回のG20合意は無視できない意味を持ちます。これらの会議に向けて、日本を含む各国政府は、少なくともG20合意以上の再エネ目標や化石燃料の段階的廃止、温室効果ガス排出削減目標の強化を約束することが不可欠です。最も豊かな先進国は、世界の再エネ拡大に必要な資金のニーズを満たすため、そして適応や損失と被害の途上国支援をさらに強化する責任があります。

 

350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は次のようにコメントしています。
「G7広島の記憶が新しい中で開催されたG20サミットでの『2030年までに再エネ設備容量を3倍にする』との合意は、再エネこそが気候危機の解決策の中心であることを示しています。同時に、日本が原発依存を続けながら石炭・ガス火力発電所の新増設を許し、グリーンウォッシュの革新的技術で化石燃料インフラを延命させる方針に対して、見直しを迫るものです。
近いうちにエネルギー基本計画の見直しが始まる見込みです。G20の『再エネ3倍』、G7の『発電部門の脱炭素化』などの合意を日本の国内政策に野心的な形で反映させる準備を急ぐ必要があります」

 

350.orgフィールド・オーガナイザーの飯塚里沙は次のようにコメントしています。
「今年5月のG7広島サミットなどを通じて、石炭を含む化石燃料からの脱却と再生可能エネルギー100%への移行を求めて世界各地の市民が連帯し、声をあげました。そのような市民が、今回のG20合意のように、10年前には考えられなかったような合意を首脳たちにさせました。しかし、気候危機を止めるにはスピードが足りません。今年9月18日の『ワタシのミライ』11月3-4日の『パワーアップ!気候危機は止められる』といった機会に、私たち市民は、日本政府や化石燃料・原子力関連企業など、気候危機や環境汚染の責任者に対して、連帯して声をあげ続けます」

 

350.org国際政策担当のアソシエイト・ディレクターであるアンドレアス・シーバーは、次のようにコメントしています。
「『再生可能エネルギーを3倍にする』というG20の約束は歴史的な一歩であり、気候危機との戦いにおける希望です。2030年までに再エネを3倍にできれば、世界平均気温上昇を1.5℃以下に抑える道筋が再び見えてくるかもしれません。しかし、喜ぶには早すぎます。緊急に化石燃料の段階的廃止を主導的に進めることが必要なのです。特に、気候変動に最大の責任を負う富裕国は、2030年までに再生可能エネルギー設備容量を世界全体で3倍にするために必要な資金を提供しなければなりません」

 

以上

 

問い合わせ先:

国際環境NGO 350.org ジャパン キャンペーナー

伊与田昌慶(いよだまさよし)

Email: [email protected]