2023年9月5日

【声明】350 Japanは、原発処理汚染水の海洋放出に抗議する市民と連帯します

声明

2023年9月5日
国際環境NGO 350.org Japan

350 Japanは、原発処理汚染水の海洋放出に抗議する市民と連帯します

 

8月23日、日本政府は、東京電力福島第一原発のALPS処理汚染水を海洋放出する方針を決め、その後、実際に放出が始まりました。国際環境NGO 350.org Japanは、影響を受ける様々なコミュニティの声を無視してこの方針を決定した日本政府と、原発事故とこれに伴う環境汚染の責任を果たさない東京電力ホールディングスに対して、国内外の市民社会と連帯し、厳重に抗議します。

今回の出来事は、原子力のガバナンスが中央集権的で非民主的であるという構造的な問題を露わにしました。政府と東京電力は、地域コミュニティの権利や、海の向こう側に暮らす人々の懸念を軽視しています。福島をはじめ、日本のみならず、海でつながる世界中で抗議の声があがっていることに、日本政府と東京電力は真摯に向き合わなければなりません。

12年がたっても収束のめどがたたず、原因究明も途上にあるような重大な事故を引き起こす原発については、いかに規制基準を設けようと、絶対の安全はありえません。原発の利用は軍事転用のリスクを孕み、核兵器廃絶と平和への市民の願いにも反します。処分の見通しのない核廃棄物を増やし、次世代に負担を押し付けることにもなります。

日本政府は、GX方針のもと気候危機対策として原発の新増設を打ち出しましたが、計画から稼働までに長い時間を要するため、パリ協定1.5℃目標のために必要な2030年までの大幅削減には間に合いません。再生可能エネルギーのコストは急減しており、化石燃料の火力発電や原発のコストより安価になってきています。

原発事故も気候危機もない未来のための真の解決策は原子力ではなく、省エネルギーと再生可能エネルギーです。近いうちに本格化するとみられる日本のエネルギー政策「エネルギー基本計画」の検討プロセスにおいては、原子力・化石燃料の関連企業の代表者ではなく気候正義を求める市民によって議論が行われる必要があります。

今月9月18日には全国各地で気候危機も原発危機もない再エネ100%の公正な社会をめざす市民プロジェクト「ワタシのミライ」のイベントが開催されます。気候危機を解決し、安全な社会の実現をめざすNGOとして、350 Japanは、原発事故の影響を受けてきたすべての当事者と、脱原発の市民運動と連帯していきます。

 

国際環境NGO 350.orgジャパン・リーダーの荒尾日南子は次のようにコメントしています

「日本政府と東京電力が地元の人の同意がないまま処理汚染水の海洋放出を強行したことに懸念と怒りを表明します。今回のように、実際にその影響を受けて生きていく人々が意思決定に参加できない構造は、日本の気候・エネルギー政策と同じです。現在の日本政府は、気候危機を口実に危険で高コストな原子力を擁護する一方、気候危機の原因である化石燃料をフェーズアウトさせる意思を持ちません。気候危機に取り組むNGOの立場からも、原発などあらゆる不公正と戦う人々との連帯を強め、より公平で公正な再エネ100%社会の実現に向けて行動を続けます」

 

350.orgアジアのファイナンス・キャンペーナーであるチャック・バクラゴンは次のようにコメントしました。

「福島原発の汚染水を放出するという日本政府の決定によって、脱原発と気候正義とが密接に関係しているということを再確認させられました。政府やエネルギー関連企業が団結して持続可能で、安全で、衡平な解決策に取り組むことは不可欠であることを強調したいと思います。そのような解決策には、地域コミュニティの幸福や自然環境の繁栄を守るための措置が同時にとられていなければなりません」

 

350.orgパシフィックの統括ディレクターのジョセフ・シクルは次のようにコメントしました。

1980年代に島嶼国は『非核地帯・太平洋』を宣言しました。これは、太平洋地域に住まう市民の力によって、そして地域レベルの市民運動によって実現したものです。 当時の反核運動と現在の運動のあり方は異なりますが、新植民地主義の問題があるのは今も同じです。太平洋は私たちのふるさとです。日本政府が汚染水を私たちの庭に捨てることを軽く考えているのならそれは間違いです。原発への反対運動は、私たちの太平洋地域の主権のためのたたかいとつながっています。日本政府による今回の対応で、アジアの大国である日本が島嶼国の人々の健康、生計、安全への権利をないがしろにしていることが明らかになってしまいました」

 

 

問い合わせ先:

国際環境NGO 350.org ジャパン キャンペーナー

伊与田昌慶(いよだまさよし)

Email: [email protected]