2023年12月4日

【プレスリリース】COP28にて日本に化石燃料への融資をやめるよう求めるアクション

プレスリリース

2023年12月4日

 

COP28にて日本に化石燃料への融資をやめるよう求めるアクション

日本の化石燃料事業への支援によって影響を受けるコミュニティのメンバーを含む活動家らが抗議の声

 

世界各国の市民社会団体は、アラブ首長国連邦(UAE)で開催中のCOP28気候変動交渉における「ファイナンスデー」に、日本政府に対し新たな化石燃料プロジェクトへの資金提供を停止し、再生可能エネルギーへの支援に移行するよう求めるアクションを行った。アクションにはピカチュウも登場し、「#SayonaraFossilFuels(さよなら化石燃料)」のスローガンを掲げた。

化石燃料を段階的に廃止することが急務であるにもかかわらず、日本は液化天然ガス(LNG)やアンモニア混焼など、化石燃料に基づく技術の拡大をアジア全域および世界的で推進している。これは気候危機を悪化させ、地域社会や生態系に負の影響をもたらす。再生可能エネルギーに基づくシステムへの移行を阻害する日本の取り組みに対して、特にグローバル・サウスで反対の声が増えている

COP28でのスピーチにおいて、岸田首相は「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」をアピールした。これは、各国の脱炭素・エネルギー計画において、LNGやその他の化石燃料を利用した技術への依存度を高めるよう働きかける枠組みとなっている。COP28終了後、岸田首相は東京で日ASEAN友好協力50周年特別首脳会議を開催する予定だ。日本政府はこの機会を利用し、東南アジアの首脳に日本の化石燃料関連技術を支持するよう、さらに後押しするとみられる。

オイル・チェンジ・インターナショナルのレポートによると、日本は海外の化石燃料事業に対する世界第2位の公的資金供与国だ。日本は2020年から2022年まで、毎年平均して少なくとも69億ドルを新規の石油、ガス、石炭プロジェクトに費やした。日本はまた、ガス単体でみれば、世界最大の海外向け公的資金供与国で、アジア全域のみならず世界規模でガスの拡大を推進している。また、日本はLNG輸出能力に対する海外向け公的資金供与においても世界トップであり、2012年から2022年までに建設されたLNGターミナル事業、建設中の事業、および2026年までに建設予定の事業に対し、世界の海外向け公的資金供与額の50%に相当する397億ドルを拠出している。

国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー見通し2023」は、石油、ガス、石炭の需要がこの10年間で頭打ちになることを示しており、パリ協定の1.5℃目標達成のためには、新たな石油とガスへの投資の余地がないと再確認している。

「化石燃料にさよならと伝えるべきなのに、日本はそれを怠ってきた。日本は気候危機の悪化を金銭面で支える世界最大の国であり、国際協力銀行(JBIC)がガス事業に投融資を行っているフィリピンのヴェルデ島海峡やアメリカのメキシコ湾岸などで、地域社会や環境を破壊している。このような化石燃料の押し売りには、COP28の会場であるドバイでのアクションに見られるように、世界中の人々が力強く反発している。日本は今こそ、化石燃料にさよならを言うべきではないか。」とFoE Japanの開発金融と環境キャンペーナーである長田大輝は述べた。

 

Asian Peoples’ Movement on Debt and DevelopmentのコーディネーターであるLidy Nacpilは「日本が、地球やグローバル・サウスのニーズよりも、時代遅れで破壊的なやり方にいまだに固執していることは見下げた行為である。日本は汚れたエネルギー事業をアジア各国で建設しているが、コミュニティは、これらの事業による環境影響が自分たちに押し付けられることを望んでなどいない。日本は化石燃料の最大の支援国であるが、水素・アンモニア混焼のような誤った気候変動対策によって、この地域をさらなる気候崩壊へと進んで導こうとしている。インドネシア、バングラデシュ、ベトナム、フィリピンのような国々は、これ以上化石燃料を望んでおらず、この危機から私たちを救うことができる再生可能エネルギーへの迅速かつ公平で公正な移行に向けて、化石燃料に基づくエネルギーシステムからの完全な脱却を要求している。」とコメントした。

 

フィリピンのYouth for Climate Hopeの呼びかけ人であるKrishna Ariolaは

「日本は1,000万ドルを損失と被害基金に拠出すると約束したが、化石燃料に執着しフィリピンのような国が危険にさらされることに費やした数十億ドルに比べれば取るに足らない。日本の金融機関は、ガスブームに乗じてそれを支援することで東南アジアのエネルギー移行を阻止している。フィリピンでは、日本は公的資金を活用して、私たちの海のアマゾンであるヴェルデ島海峡をLNGで破壊している。たとえ再生可能エネルギーへの100%移行がすでに始まっているとしても、日本が誤った解決策を推し進めていることは、私たちをさらに何十年も化石燃料に縛り付ける危険性もある。日本は脆弱な国々に対して気候変動のリーダーシップを発揮する義務があるにも関わらず、その代わり将来世代から住みやすい未来への希望を奪うことを選択している」とコメントした。

 

米国、Oil Change InternationalのアジアプログラムマネージャーSusanne Wongは

「日本はコミュニティの健康や幸福、地球よりも、企業利益を優先している。日本は、LNG、アンモニア混焼、CCSなどの危険な目眩しをアジア全域、そして世界中で推進している。これらの技術は化石燃料の使用を拡大、長期化させ、気候危機を緩和するための貴重な時間と資源を無駄にしてしまう。日本は最終的に化石燃料にさよならを言うまで、ますます国際的な監視と圧力にさらされるだろう」とコメントした。

 

バングラデシュのWaterkeepers BangladeshのコーディネーターであるSharif Jamilは

1971年の独立以来、バングラデシュの最大の開発パートナーである日本が、気候危機に対する誤った対策と実証されていない技術を用い、輸入に依存することになる化石燃料を軸としたエネルギー基本計画を作成することで、この国に最も重大な害を及ぼすことになるのは、非常に残念なことだ。一方で、再生可能エネルギーの可能性という点では、バングラデシュの国全体が未開発のエネルギー鉱山といえる。

統合エネルギー・電力マスタープラン(IEPMP)とバングラデシュ南東部地域の戦略的環境評価(SEA)の形成過程においては、我々の科学に基づいた議論と勧告が、彼らが開発中の計画や事業によってもたらされる重大な環境社会影響をたくみに隠すために無視された。私たちはIEPMPとSEAの完全な改訂を要求する」とコメントした。

 

米国・テキサスの住民で、Port Arthur Community Action Networkの創設者であるJohn Beard, Jr.は

「アメリカ合衆国は、フラッキングで採掘されたLNGを輸出するのはその他のエネルギーに比べてクリーンであると主張している。しかし、このひどい燃料を安全もしくはクリーンに生産、加工、輸出する方法などない。私が住むコミュニティは、世界でも最もがん罹患率が高い地域の一つであり、有害なフラッキングガスによる影響に苦しんでいる。日本が気候を破壊し、世界がパリ協定の目標達成を妨げている。日本の投資は、南西部の先住民族からテキサス、ルイジアナ、メキシコの港近くに住む人々に至るまで、米国の人々にさらなる打撃を与えるだけだ。」とコメントした。

 

Solutions for Climate Australiaの上級国際キャンペーナー、Erin Ryanは

「私たちが必要とするエネルギー移行に資金を提供するどころか、日本の投資はオーストラリアの化石ガス輸出産業を支えている。加えて、日本はオーストラリアのエネルギー政策を弱体化し、新規ガス田に対するネットゼロエミッション規則の抜け穴を突くことに外交資源をつぎ込んでいる。私たちへの影響は 2 つある。海洋保護区やティウィ族の神聖な土地と水路の破壊、そして化石燃料によって激化する山火事だ。日本の化石燃料中毒に別れを告げる時が来た」とコメントした。

 

350.orgのジャパン・キャンペーナー、伊与田昌慶は

「COP28演説において岸田首相は『2030年までに世界で再生可能エネルギーを3倍にする』との宣言を支持したが、日本はアジアを含む世界で、汚い石炭とのアンモニア混焼、危険な原子力、CCS/CCUSといったまやかしの解決策を売り込む商人の役割を果たしてきた。今年岸田首相が主催したG7広島サミットで合意された『化石燃料フェーズアウト』に、なぜ演説で言及しなかったのかも理解に苦しむ。科学は、化石インフラを延命させる余地がないことを明らかにし、今、アジアの人々は地域の市民主導の再エネに声を上げ、行動を起こしている。日本がその責任を果たすためにすべきは、市民主導の再エネへの資金支援の抜本的拡大である」とコメントした。

 

アクションの写真はこちらからご覧いただけます

 

お問い合わせ:

FoE Japan 長田大輝

Email: [email protected]

 

Susanne Wong, Oil Change International

Email: [email protected]

 

参考資料: 

 


*350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は、COP28開催中、ドバイに滞在し、会議をフォローしています。ご取材のご要望がありましたら、お気軽にご連絡ください。メールアドレス:[email protected]