注目のアクション+キャンペーン

Photo: 350.org

若者のリーダーシップを応援

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2019年、グローバル気候マーチ・気候ストライキを皮切りに、若者たちによる気候運動が、瞬く間に世界中に広がりました。2020年、新型コロナは「どうしたらこの勢いを持続させることができるのか?」という点について、新たな方法を模索するよう迫りました。「リモート」や「ディスタンス」といった言葉は、それまでのアクションのあり方を変え、私たち自身、以前にもまして安全性を重視するようになりました。各国でロックダウンや行動規制が始まる中、350は新型コロナからの再建に焦点を当てたキャンペーンを開始。速やかに様々なアクションを展開してきました。350チームは3月18日、感染防止対策の一環として、オンラインでアクションを起こすのに必要な戦略やオーガナイジングのためのツールを紹介する感染症対策ガイド を発表。多数の国々において、直接人と会ったり、集まったりすることができない中、オンライン・トレーニングなど、アクセシビリティに配慮した遠隔でも使えるリソースやツールを、複数言語で提供しました。 さらに350は、無料でダウンロードできるクライメート・レジスタンス・ハンドブックを公開。ハンドブックの序文は、グレタ・トゥーンベリが執筆しています。英語、日本語、スペイン語、オランダ語、ポルトガル語、フランス語、ロシア語で入手可能なハンドブックは、この1年で1万5,000回ダウンロードされています。

世界各地の化石燃料プロジェクトをストップ

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パンデミック当初の数ヶ月間、世界各地の化石燃料企業や投資家から未曾有の変化が生まれるのを目の当たりにしました。その一例を下記にご紹介します:

2020年後半、韓国と日本に続き、世界最大の排出国である中国がカーボンニュートラルを表明。一方、フィリピンは新規石炭火力発電所の建設中止を表明しています。350は前向きな動きを歓迎するものの、こうしたネットゼロ表明は、未検証の技術に基づいたものや、目標設定があまりにも遠い未来に設定されているものが、数多く見受けられます。350が常に求めてきたこと、そしてこれからも求めていくことは、化石燃料は採掘せず、そのまま地中に残しておくこと、その代わりに太陽光や風力をはじめとした、公正で持続可能な自然エネルギーに投資することです。

北米

石油パイプライン「キーストーンXL」の建設を阻止

バイデン大統領は就任初日、大統領令により石油パイプライン「キーストーンXL」の建設認可を取り消しました。この10年、建設反対運動を繰り広げてきた350とパートナー団体にとっての大勝利です。またキーストーンXLパイプラインは河川などの水路を横断し建設される予定でしたが、2020年7月、そのうちのひとつの重要水路の横断を認めないとした連邦裁判所の判断を、米最高裁判所も支持 しました。さらに350は、同パイプラインの環境影響評価の改訂版策定のため、米国務省がパブリックコメントの募集を開始した際、2万件のコメントを集め提出しました。一方、ダコタ・アクセス・パイプラインをめぐる訴訟において、連邦裁判所は、先住民スタンディング・ロック・スー族側の言い分を認め、同石油パイプラインの操業停止を命じました。そのほか、天然ガスを輸送するアトランティック・ガス・パイプラインをめぐり、エネルギー会社2社が建設中止を表明しました。

中南米

ブラジル・ガイーバ(Guaíba)の石炭露天掘り計画を打ち切りに

ブラジルの石炭露天掘り計画は、新たな障壁に直面しました。開発に必要な環境許可を、ブラジルの連邦裁判所が取り消す 決定を下したからです。これは、ポルト・アルグレ地域に暮らす450万人の住民にとって巨大な勝利です。開発が停止されたおかげで、1億6,600万トンの石炭、排出量に換算すると4.5ギガトン分のCO2(世界の年間排出量の10%に相当)が、そのまま地中に残されることになったのです。これで現地の職人や漁師、農家、先住民コミュニティは、安心して暮らせるようになりました。350は、パートナー団体の皆と力を合わせマーチを開催したり、署名を集めたり、パブリックコメントを提出したりしました。再び人々の力で、巨大な石炭権力という怪物を打ち負かし勝利を手に入れたのです。

アフリカ

8年間 意欲的にキャンペーンを展開

981.5メガワット の石炭火力発電所を阻止!

ユネスコ世界遺産を石炭から保護

25億ドル以上 の投資が化石燃料から引き上げられる

中国工商銀行(ICBC)、ケニア・ラム島の石炭事業計画から撤退

旧市街地がユネスコの世界遺産に登録されているケニア東部のラム島には、微妙なバランスで成り立つ生態系が広がっています。この島で計画中の石炭事業に対し、350 Africaや、セーブ・ラム(Save Lamu)を含む多数のパートナー団体は、長年にわたり反対運動を繰り広げてきました。私たちは昨年、この事業を妨げる新たな障壁について報告しましたが、11月、重要な2つの勝利がもたらされることになりました。当初、この事業に20%出資していた米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、not 石炭火力発電所の建設中止を宣言、続いて80%出資していた中国工商銀行(ICBC)が事業からの撤退を決定したのです。完成した場合、自然エネルギー源が豊富なケニアで初めての、そして東アフリカ最大の1,050メガワットの発電所になるはずでした。

トルコ

撮影:サーベット・ディルバー(トルコ)

ケニア・ラム島でのキャンペーン成功を追い風に

350 Turkeyは、キャンペーン「アダナにきれいな空気を(Clean Air for Adana) campaign」を開始、イスケンデルン湾のフヌトル(Hunutlu)石炭火力発電所の建設計画撤回に向け取り組んでいます。ケニアのラム島と同様、このプロジェクトにも中国工商銀行(ICBC)が出資、そのほか中国国家開発銀行(China Development Bank)や中国銀行(Bank of China)も出資しています。350チームは、すでに脆弱なこの地域の住民の健康や地元農業、絶滅危惧種のウミガメにとって、事業がもたらす危険な影響を調査したうえ、報告書を公表しました。石炭事業計画の数という点で、トルコは世界第2位、欧州では第1位です。ケニアのラム島の石炭事業と同じ道を、フヌトル発電所がたどることになるまで、そしてICBCがCO2を大量排出する石炭から自然エネルギーへと投資先を変えるまで、私たちはオーガナイジングとキャンペーンを続けます。

portrait of Chibeze with map of Ghana

チャイビーズ・エゼキエル(Chibeze Ezekiel)

2013年、トルコのイスタンブールで350が主催した、気候リーダーシップ集中養成トレーニング「グローバル・パワー・シフト」には、50名の若手気候リーダーたちが集まりました。参加者のひとり、ガーナ出身のチャイビーズ・エゼキエルは、トレーニングに奮起し、スキルを強化、故郷に戻ると石炭火力発電所に対する抵抗運動を開始しました。パートナー団体やボランティアと共に、チャイビーズは1万ドルの少額助成金を獲得、さらに350 Africaチームからのサポートを受けながら、4年間にわたるキャンペーンを成功させたのです!チャイビーズは、その後草の根団体「ガーナは二酸化炭素を減らす(Ghana-Reducing our Carbon: G-ROC)」を設立、自然エネルギー100%の実現を同国政府に求めています。2020年、チャイビーズは350の理事会に参加、名誉ある賞も受賞しました!

一方、太平洋地域では、意欲的な気候活動を続けてきた、パシフィック・クライメート・ウォリアーズ(太平洋気候戦士)たちが、2020年パックス・クリスティ国際平和賞を受賞。1988年に設立されたこの賞は、平和、正義、非暴力をテーマとした活動に貢献した個人や団体を称えるものです。太平洋気候戦士は太平洋地域17ヵ国にネットワークを広げ、強靭な地域づくりや、多面的な戦略で仲間達と連帯し抵抗運動を展開してきました。今回はそのネットワークにおいて気候活動を牽引する若者たちのリーダーシップを称え、パックス・クリスティより賞が贈られました。

化石燃料への投資をストップ

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graph showing great growth in divestment over the years

世界中の多数の団体と連携し、350は化石燃料投資を引き上げる「ダイベストメント表明」を確保しました。数字で見ると、引き上げが約束された投資額は、運用資産で総額$14兆5,600億ドル 。また引き上げを約束したのは、1,313の団体と、およそ6万人の個人です。2019年9月、この数字は11兆億ドルだったことを踏まえると、わずか1年強で32%増加したことになります。

宗教団体による過去最大の共同ダイベストメント宣言

5月、世界14ヵ国の47宗教団体が化石燃料から共同でダイベスト することを表明。過去最大の共同ダイベストメント宣言となりました。宣言に参加したのは、グローバルカトリック気候運動(GCCM)、世界教会協議会(WCC)、グリーン・アングリカンズ、オペレーション・ノア・アンド・カトリック、プロテスタント、ユダヤ教協会をはじめとした、21ヵ国の団体です。

5年間 意欲的なキャンペーンを展開

世代 と人種を超えたニューヨークのダイベスト同盟

1,100+ 研究者たちが意見書を送付

過去最大のダイベストメント を、年金基金が宣言

資産規模2,260億ドルのニューヨーク州年金基金、石油・ガスからのダイベストメントを表明

12月、世界最大の年金基金が過去最高額となる化石燃料ダイベストメントを表明、350はこの動きを歓迎しました。遡ること2016年、350はニューヨークでダイベストメントに取り組む団体ネットワーク、ダイベスト・ニューヨーク(DivestNY)と連携。ニューヨークを代表する年金基金がダイベストすれば、その影響は世界規模になると考えたからです。私たちは、世代や人種を超えたDivestNYを目指し、ムーブメントを拡大、要請に応じないニューヨーク州に対する働きかけを続けました。2018年、ニューヨーク市の年金基金が5年以内を目標に化石燃料投資を引き上げることを表明、DivestNYにとって初勝利となりました。

そこから私たちは、ニューヨーク州で予定されていた、ウィリアムズ社によるガスパイプライン(ガスはフラッキングで採掘)の建設計画中止を後押しし、さらにニューヨーク市での化石燃料インフラの新規建設禁止を勝ち取りました。これらの成功は、化石燃料産業に衝撃を与えました。ニューヨーク市年金基金の規模や高い評価を踏まえると、この成功事例は、世界中の他の基金や銀行、金融機関にも影響を与えるはずです。

日本のメガバンク、慎重に前進

350 Japanとそのパートナー団体は、常にクリエイティブなオーガナイジング戦略を展開、日本の3メガバンク(三井住友・三菱UFJ・みずほ)および国際協力銀行(JIBC)に対し、特に石炭を中心に、化石燃料投資を引き上げるよう働きかけてきました。インドネシア、ベトナム、バングラデシュなど世界各地の石炭プロジェクトへの出資という点において、日本は世界最悪です。11月末時点で、決定的な意思表明は出されていないものの、これらメガバンクが化石燃料融資打ち切りに向け、動き始めている兆しは確かに感じられます。このほか、化石燃料への出資額が最も多い銀行のひとつ、三井住友は、大々的なオンライン抗議を受け、国連「緑の気候基金(GCF)」の認証申請を取り下げました。.

7月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議に対する、350の働きかけ

各国の中央銀行は、パンデミックとそれに伴う不況で苦しむ人々や地域を支援するためではなく、化石燃料やCO2を大量排出する産業に資金を注ぎ込んでいました。その潤沢な資金を追求することは、2020年の350の主な取り組みのひとつとなりました。そこで7月18日と19日に開催の20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)に合わせ、不平等なこの現状に注目を集めようと、世界各地で連携しアクションを繰り広げました。その一部を下記にご紹介します:

  • バングラデシュの洪水被害を受けた地域で抗議アクションを展開
  • ドイツで、アクティビスト集団「Ende Gelande(地の終わり)」が、フランクフルトの欧州中央銀行入り口を封鎖
  • 南アフリカの複数の都市で、多数の横断幕を掲揚
  • フィリピンで、複数の団体が連携しピクセルスティックとフェアリーライト(豆電球)を使用した抗議アクションを披露
  • ブラジルで、同国南部の銀行最大手に対し「気候犯罪者を救済するため、国民のお金を使うのはもうやめて」という反石炭のメッセージを投影。

 

 

世界初「ファイナンス・イン・コモン・サミット」に350も参加

国連事務総長とエマニュエル・マクロン仏大統領の支援を受け、フランス開発庁(AFD)が開催したこのサミットには、世界中の公的開発銀行、輸出信用機関、多国間銀行(世界の年間投資額の10%に相当)が初めて一堂に会し、新型コロナと気候変動という2つの危機に、いかに連携して取り組むべきか話し合いました。350も他の市民団体と共にこのサミットに参加、化石燃料事業への融資を打ち切り、その分を公正な再建のための融資に回すよう要請しました。

アクション+キャンペーン

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Photo: ©Forest Woodward
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