プレスリリース
2020年5月14日
国際環境NGO 350.org Japan
三菱UFJフィナンシャルグループの「環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定について
〜気候危機への対応の遅さに強い懸念〜
三菱UFJフィナンシャルグループ(以下、MUFG)が5月13日「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワークの改定について」(注1)を発表したことを受け、国際環境NGO 350.org Japanは以下の声明を発表しました。
350.org Japan代表の横山隆美は、以下のようにコメントしました。
「昨年、3メガバンクとして最初に脱石炭方針を掲げたMUFGのさらなる方針強化に期待が高まっていましたが、今回の漸進的な改定には失望を禁じえません。石炭に関する投融資の記述は去年から変わることはなく、例外規定が設けられているために、依然としてベトナム・ブンアン 2石炭火力発電事業など、国際的に批判が高まっている事業への融資が懸念されます(注2)。MUFGのポリシーでは、当該国のエネルギー政策・事情や国際的ガイドラインを参照の上、他の実行可能な代替技術等を個別に検討した上で、ファイナンスを取り組む場合があるとしています。近年、世界中で再生可能エネルギーの価格が下がり、東南アジア諸国でも太陽光や風力などの再生可能エネルギーが経済優位性を持ちつつある中(注3)、気候危機を加速する石炭火力への支援は国際協調を乱す行為に他なりません。パリ協定の1.5度目標達成のためには、先進国で2030年までに、世界では2040年までに石炭火力の全廃が必要であり、新設の余地はなく、MUFGが署名している国連責任銀行原則にも整合しません。コロナ危機ともう一つの危機である気候危機への対応には、科学の声に裏打ちされた国際協調という共通項を持って対応しなければなりません。」
350.org Japanキャンペーナーの渡辺瑛莉は、以下のように述べました。
「MUFGの新方針は、パリ協定との整合性の観点から不十分ながらも、2050年までに石炭火力発電所向け与信残高をゼロにするいう定量目標を掲げたみずほフィナンシャルグループの新方針(注4)よりも劣っています。また、今回新たに、石油・ガスセクター(オイルサンド、北極開発)を加えましたが、環境社会アセスメントの実行に留まり、温室効果ガスの削減効果に疑問が残ります。また、対象範囲としている石油・ガスセクターは三井住友フィナンシャルグループの新方針と比べても狭い範囲となっています(注5)。MUFGは世界第6位の化石燃料産業への融資・引受を行なっていますが(注6)、コーポレートファイナンスにも方針を適用し、また石油・ガスセクターにも規制を拡大している他国の銀行の方針と比べても全く不十分だと言わざるを得ません。MUFGが国連責任銀行原則などの自らの公約を果たし、気候危機解決に向けたリーダーシップを発揮するためには、パリ協定の1.5度目標に整合的な脱石炭・脱化石燃料の明確な目標設定と実行が求められます。」