プレスリリース
2020年4月16日
国際環境NGO 350.org Japan
三井住友フィナンシャルグループ、脱石炭方針を改定
2年ぶりの改訂も実効性に懸念
三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBC)が本日「ESGに関するリスクの考え方について」(注1)を発表したことを受け、国際環境NGO 350.org Japanは以下の声明を発表しました。
350.org Japan代表の横山隆美は、以下のようにコメントしました。
「SMBCが、パリ協定の採択以降、世界的に脱炭素への動きが進んでいることを背景に、『新設の石炭火力発電所への支援は、原則として実行しません』と表明したこと自体は、従来の方針から一歩前進していると言うことができます。
しかし、超々臨界圧などの技術を有する案件への支援を可能としている点では、一昨年の方針改定から変化がなく、昨日発表されたみずほフィナンシャルグループの方針(注2)や昨年改訂された三菱UFJフィナンシャルグループの方針よりも劣っていると言わざるを得ません。また、他メガと同様に、方針の改定以前から支援している案件は例外とされており、国際的に批判を浴びているベトナムのブンアン2石炭火力発電事業(総事業費22億米ドル)などへの融資の実行が懸念されます。パリ協定の1.5度目標達成のためには、先進国で2030年までに、世界で2040年までに石炭火力の全廃が必要であり、新設の余地はなく、SMBCが署名している国連責任銀行原則にも整合しません。
さらに、欧米の銀行がプロジェクトファイナンスだけでなく、石炭関連企業へのコーポレートファイナンス(融資、引受、債券および株式保有)にも方針を適用し、石炭からの包括的なフェードアウトを目指していることと比較すると対策の遅れが一層際立ちます。」
350.org Japanキャンペーナーの渡辺瑛莉は、以下のように述べました。
「石炭火力発電以外には炭鉱採掘を、また、石油・ガス(オイルサンド、シェールオイル・シェールガス、北極圏での石油・ガス採掘、石油・ガスパイプライン)にもセクター方針の対象範囲を広げたことは一定の評価ができるものの、いずれも環境社会リスク評価の上、慎重に検討するという表現に留まり、ファイナンスの停止時期や与信残高の削減を規定しておらず、温室効果ガス削減効果に疑問が残ります。石炭火力発電開発企業への融資者として世界第3位と言われるSMBC(注3)は、自らの公約を果たすためにも、まずは石炭火力関連事業を拡大している企業へのコーポレートファイナンスの規制を皮切りに、今後さらに方針を強化し、石炭を含む化石燃料事業からの段階的かつ迅速な撤退を行うことが求められます。」