2023年5月16日

【プレスリリース】三井住友FG、東アフリカ原油パイプラインに「現在関与なし」と初めて表明 〜市民社会は歓迎。脱化石燃料のためのさらなる約束を求める〜

プレスリリース

2023年5月16日

国際環境NGO 350.org Japan

三井住友FG、東アフリカ原油パイプラインに「現在関与なし」と初めて表明

〜市民社会は歓迎。脱化石燃料のためのさらなる約束を求める〜

 

本日16日、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は、気候危機を招くとの批判が高まっている大規模な化石燃料事業「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」(※1)について、「現在は関与していない」と発言したと報じられました。SMBCグループがEACOPと距離を置く発言がなされたのはこれが初めてのことであり、歓迎します。

日本の3メガバンクの1つであるSMBCグループ関連企業の三井住友銀行は、EACOPを進めるトタル社に対して巨額の資金を提供してきただけでなく、EACOPについて財務アドバイザーを務めているとされていました。これまで、アフリカを含む世界の市民社会は、繰り返し、三井住友銀行がEACOPに関与しているか否かを問い合わせるとともに、「EACOPに関与しない」との言明を求めて、国際的な署名運動世界一斉アクションを実施してきました。

350 Japanは、様々な市民団体・若者グループと連携して、昨年5月25日の「アフリカの日」にEACOP事業に反対する声明を発表したり、銀行本店前で抗議アクションを行うなど、一貫して抗議の声をあげてきました。昨年のSMBCグループの株主総会においては、EACOPの問題について質問も行い、このような巨大化石事業から撤退するよう要請しました。本日のSMBCグループによる発言は、世界の市民社会が声をあげ続けた成果であると言えます。

しかし、長期間にわたる抗議にもかかわらず、本日まで、SMBCグループ及び三井住友銀行側から、EACOPと距離を置く回答はありませんでした。本日の報道においても、「現在はEACOPに関与していない」と述べるにとどまり、これまでのEACOPにどのような関与があったのか、今後三井住友銀行がEACOPに関与する可能性があるのか、財務アドバイザーをやめたのか等については不透明なままです。

350 Japanは、改めて、SMBCグループ及び三井住友銀行に対して、EACOP事業について、将来にわたって関与しないとの言明を求めます。同時に、EACOPを含むあらゆる化石燃料ビジネスへの資金の流れを断ち切り、省エネルギー及び再生可能エネルギーこそ支援するよう、SMBCグループを含むすべての金融機関に改めて要請します。

 

国際環境NGO 350.org Japanチームリーダー代理の伊与田昌慶は、次のようにコメントしています。

「三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)による『現在は東アフリカ原油パイプライン(EACOP)に関与していない』との発言は、気候危機に苦しむアフリカ及び世界の市民にささやかな安堵をもたらしました。SMBCグループ及び三井住友銀行は、将来に渡ってEACOPから撤退し、巨大な化石燃料ビジネスと訣別することを明確にすべきです。

このニュースにより、日本の3メガバンクのうち、EACOPへの関与について説明を行っていないのは、三菱UFJ銀行のみとなりました。三菱UFJ銀行も『EACOPに関与しない』との説明を行うべきです。

EACOPのような化石燃料ビジネスへの支援をやめ、パリ協定の1.5℃目標に整合するように気候対策方針を強化することが必要です。それこそ、世界中の投資家から注目が集まる6月の株主総会を前に、3メガバンクがなすべきことです。」

 

350.orgアフリカ・キャンペーナーのチャリティ・ミグウィは次のように述べています。

「EACOPは、地域コミュニティ、野生生物、脆弱な生態系、気候に影響を与えます。このことを認め、三井住友フィナンシャルグループを含む多くの金融機関がEACOPから距離を置くことを選びました。これは心強いことです。今回の発言にあらわれた変化は、EACOPに粘り強く抵抗してきた活動家の力を証明しています。気候危機を煽り、計り知れない荒廃をもたらす化石燃料プロジェクトへの資金支援を断つこと、そして、安全で信頼できる、持続可能で地域コミュニティを中心とした再生可能エネルギーに投資することが今、私たちに求められています。」

 

※1 東アフリカ原油パイプライン(EACOP)の概要

石油メジャーであるトタルエナジーズ社は、ウガンダからタンザニアまでを1,443kmで結ぶ世界最大の加熱式原油パイプライン「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」の建設をめざしています。同プロジェクトは、数百万人の水資源と生活を脅かし、世界で最も重要な自然保護区を破壊し、年間最大で3,400万トンものCO2排出をもたらす恐れがあります。抗議する住民や市民団体への人権侵害も多数報告されており、訴訟も複数提起されています。ウガンダおよびタンザニアにおける人権侵害に関連し、EACOPはEU議会からも非難されています。パイプライン建設と関連するティレンガ油田の開発により、両国において強制移住の対象となる恐れのある住民は、11万8千人に上ると予測されています。

このため、アフリカの地域コミュニティや、350 Japanを含む世界の市民社会は、「EACOPを支援しない」と表明するよう主要な金融機関や機関投資家に働きかけてきました。

問い合わせ先:

国際環境NGO 350.org Japan チームリーダー代行

伊与田昌慶(いよだまさよし)

Email: [email protected]

 

国際環境NGO 350.org Japan 広報担当(Communication Consultant) 

髙橋英江(たかはしはなえ)

Email: [email protected]