2023年2月23日

【プレスリリース】三井住友銀行等に対する気候アクションを世界19都市で実施:三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対して「東アフリカの巨大化石燃料事業に資金提供しない」との約束を求める

プレスリリース

2023年2月23日

国際環境NGO 350.org Japan
Fridays For Future Japan気候正義プロジェクト

 

三井住友銀行等に対する気候アクションを世界19都市で実施:

三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対して「東アフリカの巨大化石燃料事業に資金提供しない」との約束を求める

 

 

写真:東京・三井住友銀行前で声をあげる若者・市民
(c) Daiki Tateyama, 350.org Japan

 

 

2月22日、気候危機を招くとの批判が高まっている化石燃料事業「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」(※1)を支援する恐れのある銀行に対する市民アクションが、世界4大陸19都市で一斉に実施されました。

これまでに24の大手銀行が自然環境や地域社会に与える悪影響を懸念(※2)してEACOPからの撤退を表明しています。この世界一斉アクションを通じて、参加者たちは三井住友銀行などにも「EACOPには資金提供しない」との約束を求めました。

日本では、2月22日昼、東京の三井住友銀行と三菱UFJ銀行の両行本店前で、「EACOPに資金を提供しない」と約束するよう求める抗議アクションを実施し、約20人の若者や市民の環境活動家が参加しました。その他、仙台、名古屋、福岡でもアクションが行われ、日本では合計約40人がアクションに参加しました。海外では、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ブリュッセル、ゴマ、カンパラ、ナイロビ、バンクーバーなどでアクションが行われました。

 

世界一斉アクションの背景

フランスのトタルエナジーズ社は、今年3月までにEACOP事業を進めるために必要な資金を調達することをめざしていますが、その目処は立っていません。このため、トタルエナジーズ社は、財務アドバイザーを務める三井住友銀行からの資金支援を必要としています。また、三菱UFJ銀行も「EACOPを支援しない」と表明しておらず、市民からの質問に対して沈黙を保っているため、懸念が残されています。他方、日本の3メガバンクのうち、みずほ銀行は、「環境社会問題が解決されない限りEACOPは支援しない」との立場をとっており(※3)、他の2メガバンクとは一線を画しています。

 

アクションに参加したメンバーの声:

国際環境NGO 350.org Japanチームリーダー代理の伊与田昌慶は次のようにコメントしました。

「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)は、カーボンニュートラル及びエクエータ―原則の約束を真に果たす意思があるか否かをはかるリトマス試験紙です。日本の3メガバンクを含む多くの金融機関はカーボンニュートラルを宣言し、エクエーター原則のもと大規模な事業に融資する際には環境・社会への悪影響が出ないようにする責任を負っています。気候と人権を危機にさらすEACOPに対して、みずほ銀行は距離を置いています。他方、三井住友銀行は、EACOPの財務アドバイザーを務めており、この事業に資金を提供する懸念があります。三菱UFJ銀行は、市民からの問い合わせに回答せず、資金を提供するか否かを明らかにしていません。

三井住友銀行及び三菱UFJ銀行がEACOPへの支援を決定すれば、カーボンニュートラル宣言やエクエータ―原則へのコミットメントがグリーンウォッシュ(実質を伴わない見せかけの環境改善アピール)であったことを自ら証明することになるでしょう

 

Fridays For Future Japan 気候正義プロジェクトの山本健太朗は、次のようにコメントしました。

「『先進国』の企業がお金儲けのために、アフリカの『途上国』であるウガンダ・タンザニアの人々の暮らしや自然環境を犠牲にして石油資源を採取する構図があります。パイプラインは現地の人々を豊かにするどころか、すでに貧困に追いやっています。現地の活動家たちはこれを『新しい植民地支配』だと言っています。 この構図は『気候不正義』そのものです。三井住友銀行がEACOPへの関与をやめない限り、これからも私達は抗議の声をあげ続けます。」

 

タンザニアの気候変動活動家であるバラカ・レンガは、次のようにコメントしました。

私たちの土地、水、天然資源を破壊し、生活と未来を脅す、東アフリカ原油パイプラインへの関与を見直すことを三井住友銀行とスタンダード銀行に強く求めます。私たちの愛する故郷に害のみをもたらすプロジェクトの支援ではなく、すべての人のためになる持続可能な選択を共にしましょう」

 

アフリカエネルギーガバナンス研究所(AFIEGO)の現場責任者であるマクスウェル・アトゥフラは、次のようにコメントしました。

三井住友銀行とスタンダード銀行は東アフリカ原油パイプライン事業が気候変動に与える悪影響を十分に理解した上でこのプロジェクトに関与しています。このことは、これらの銀行が、これからを生きる未来世代に対して無関心であることを明らかに示しています。これらの金融機関は、自分たちの気候危機への有害な役割を認識し、今こそ、より持続可能で倫理的な投資へと意識的に移行すべきです」

 

世界各地のアクションの様子:

日本・東京の写真はこちら

海外の写真はこちら

※今回のアクションの写真は上のリンク先よりダウンロード・使用いただけます。フォトクレジットを表記した上でご使用をお願いします。

 

 

注記:

  1. EACOPについて
    石油メジャーであるトタルエナジーズ社は、ウガンダからタンザニアまでを1,443kmで結ぶ世界最大の加熱式原油パイプライン「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」の建設をめざしています。同プロジェクトは、数百万人の水資源と生活を脅かし、世界で最も重要な自然保護区を破壊し、毎年3,400万トンものCO2排出をもたらす恐れがあります。抗議する住民や市民団体への人権侵害も多数報告されており、訴訟も複数提起されています。ウガンダおよびタンザニアにおける人権侵害に関連し、EACOPはEU議会からも非難されています。パイプライン建設と関連するティレンガ油田の開発により、両国において強制移住の対象となる恐れのある住民は、11万8千人に上ると予測されているのです。
  2. エクエータ―原則について
    エクエーター原則は、大規模な開発や建設プロジェクトに関連する融資を行う際、プロジェクトが環境や社会にもたらすリスクを特定・評価し、管理するための金融機関向けガイドラインです。金融機関共通の基準であり、またリスク管理を行うための枠組みでもあります。EACOPは、このエクエータ―原則に反しており、世界的な非難の声が高まっています。
  3. 銀行のEACOPへの関わりについてはこちらを参照ください。https://www.stopeacop.net/banks-checklist

 

問い合わせ先:

国際環境NGO 350.org Japan チームリーダー代行

伊与田昌慶(いよだまさよし)

Email: [email protected]

 

国際環境NGO 350.org Japan 広報担当(Communication Consultant) 

髙橋英江(たかはしはなえ)

Email: [email protected]