気候ムーブメントの成長+組織づくり

AC Dimatatac

Photo Highlights

Climate Strike Manila | Leo Sabangan

South Asia | 350.org

PCW Matagi Malohi | Fenton Lutunatabua

Indonesia | 350 Indonesia

フロントライン(最前線)基金

map of Us with icons of POC protesting, supported by money

14 資金を提供したBIPOC団体の数

$5万 提供した助成金の額

グローバル気候マーチ開催中、わたしたちは最前線の活動を支援するため、5万米ドル規模の基金を設立しました。基金からは黒人、先住民、および有色人種(BIPOC = Black, Indigenous and People of Color)が牽引する14の団体に資金を提供。支援を受けたBIPOC団体は全米各地で気候マーチやストライキを展開しました。

さらに資金提供を受けたBIPOC団体は、気候マーチ関連のイベントに参加するよう、各地域の黒人、先住民、有色人種の人々に促しました。またこれら団体の多くが別のBIPOC団体との関係を強化、気候マーチ関連イベントを共催したり、気候マーチ開催中にBIPOCの声を伝えたりするため、力を合わせ取り組みました。

こうした取り組みを通じ、気候マーチ開催中は、BIPOCおよび最前線のコミュニティのストーリーに注目を集めることができました。それは化石燃料開発のせいで健康被害を受けているコミュニティや、ハリケーンのせいで移住を余儀なくされたり被害を受けたりしているコミュニティのストーリーです。

350と協力関係にある米国の地域団体

map of US with group, handshake and money icons

175 協力関係にある地域団体の数

15 2019年、新たに発足した団体の数

130 能力開発プログラムに参加した団体の数

$25万 イノベーションおよびアクションに提供された助成金の額

350と協力関係にある地域団体は、わたしたちの米国での活動にとって不可欠な存在です。これら団体は、気候正義を目指す草の根運動を成長させ、またカギを握る州や地域において、さまざまな取り組みを成功させています。

わたしたちは、10の協力団体を「Upping Our Game(さらに上を目指して)研修」に招待、9月の歴史的な気候マーチに向け、組織づくりをめぐる全米規模の計画を立てたり、各地の化石燃料反対運動をつないだりしました。

またわたしたちは、「Heart & Muscle Grassroots Leadership Cohort (ハート&マッスル草の根リーダーシップの同士) 」および「PowerUp(パワーアップ)」をはじめとした、能力開発プログラムを立ち上げ、地域団体のネットワークを支援しました。プログラムでは地域団体のための基礎知識として、オンライン研修やコーチングプログラムを提供、合計30団体67人が参加しました。

組織づくりにおいては、地域団体が公平性と人種正義に焦点を当て活動できるよう、新たなプログラムも開始しました。こうして立ち上がった、「人種正義と公平性を実践するコミュニティ(Racial Justice and Equity Community of Practice )」の加盟団体は、当初の8団体から12団体に増えました。さらにわたしたちは、黒人や有色人種、先住民の人々が引き続きつながり合い、お互いの活動をサポートし合えるスペースを提供しようと、全米BIPOC大会を発足しました。

東欧およびコーカサスで再生可能エネルギー100%を目指す

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160以上 再生可能エネルギー100%を目指す都市の数

1,000以上 参加した人の数

5 キャンペーンを展開した国の数

東ヨーロッパとコーカサス地方で展開した、350のキャンペーン「Cities for Life(命をまもる都市)」では、再生可能エネルギーへの完全移行に向けた取り組みが表明され、大成功を収めました。この地域では昨年、5大都市が再エネへの完全移行を約束しましたが、この成功を土台に、わたしたちは解決重視のアプローチで、引き続きキャンペーンを展開しました。

5月、ウクライナのエコロジー・天然資源省(Ministry of Ecology and Natural Resources)は、350.orgとの協力の覚書に署名 、350.orgと連携し、気候危機について世論の意識を高めていくことを約束しました。

350.orgが支援しウクライナで開催された、第1回「Cities Climate Ambitions Forum(気候対策に意欲的な都市フォーラム) 」では、ウクライナ小規模都市協会(Association of Small Towns of Ukraine )に加盟する160都市が、再エネへの完全移行を誓いました。これに加え、長年にわたりガスに依存してきた同国の都市、ポルタバも再エネへの完全移行に向けた意志を表明。この地域で活動する350.orgのパートナーにとって、大きな成果なったのです。

また2019年、350.orgチームは草の根運動へのトレーニングにも積極的に取り組み、活動強化に向けた下記の支援を提供しました:

  • 300人の若い気候活動家たちを対象とした、キルギスタンでの第1回気候フォーラム・トレーニング開催を支援
  • モスクワで「Renewable Energy Without A State(国家抜きの再生可能エネルギー)」を共催、活動家や実業家、科学者、ジャーナリストと共に再エネへの完全移行をいかに進めるべきかについて協議
  • パワーシフト2019の一環として、ウクライナの若いリーダーたちを対象に、キャンペーン戦略などについてのトレーニングを提供

アジア気候リーダシップ・キャンプ

map of asia with teacher and person at computer icons

29 トレーニングを受けたリーダーの数

10  リーダーたちが代表する国の数

350.orgチームは東アジアにおいて過去5年間、毎年、若い活動家たちのスキルアップを目指し、リーダーシップ・キャンプを開催してきました。今年のキャンプでは、10か国を代表する29人の若い活動家と連携、化石燃料開発において重要な役割をもつ金融機関に対し、どう働きかけるべきか、その戦略を学ぶためのトレーニングを実施しました。その際、350.orgチームはスキル共有やチームづくりの実践トレーニングを提供、化石燃料事業に流れる資金を食い止める活動において実行できる、綿密な戦略について話し合いました。

キャンプ終盤、参加者たちは、今後もこの活動を継続させていきたいと考える人たちのため、金融とダイベストメントについて学べる、学習プラットフォーム、「350 Asia Finance Group(350アジア・ファイナンス・グループ)」を設置しました。

太平洋のMatagi Mālohi

map of pacific islands with icons of protestors, a speach bubble with a cloud, rain and lightning in it, and a teacher pointing to a screen

1 発令された気候緊急事態宣言の数

14 気候対策を求めた国の数

3 新しいトレーニングの数

3,700 参加した人の数

「Matagi Mālohi(マタギ・マロヒ)」は、「強い風」という意味です。350.orgのキャンペーン、「太平洋パワーシフト(Pacific Pawa Shift)」で訪れた、トケラウ諸島の太平洋気候戦士(Pacific Climate Warriors)が教えてくれた言葉です。この言葉は、太平洋気候戦士、そしてわたしたちが世界規模の気候ムーブメントにおいてどう動くかについて話していた際、それを表す比喩として紹介されました。

そこでわたしたちは、パワフルなストーリー・テリングプロジェクトを、「Matagi Mālohi 」と命名。太平洋の人々のアイデンティティと、文化がもつ力に焦点を当てたストーリーは、多数の新規トレーニングにおいて、語り継がれました。例えば、マーシャル諸島共和国で開催されたデジタル・ストーリーテリングに関するワークショップや、バヌアツ共和国で開催された若者による第1回気候アドボカシー・トレーニング、350.org太平洋ディアスポラチームを対象とした第1回目の指導員訓練などです。

一方、「気候緊急事態宣言」が世界規模で発令されていることを踏まえ、第5回太平洋諸島開発フォーラム首脳会議が開催された際には、特別会合において「気候緊急事態宣言」が発令され たうえ、化石燃料廃止が要請されました。この首脳会議には、太平洋地域の機関やNGOなどに加え、フィジー、ソロモン諸島、東ティモールをはじめとした、気候崩壊によるリスクがもっとも深刻な国々の代表者が参加していました。

会議閉幕からわずか1週間以内に、太平洋諸島17チームを代表する気候戦士40人が、「太平洋パワーシフト2019」のため集結、気候活動家たちによる取り組み強化を目指し、戦略を策定しました。グローバル気候マーチ開催中、「太平洋パワーシフト2019 」は29のイベントを開催、3,700人が参加するに至りました。

アジア各地の気候ムーブメントを拡大

map of asia with teacher, no-coal, and protestor icons

8,000 インドネシアの石炭反対運動への支援を掲げ行動を起こした人の数

5,800 南アジアでトレーニングを受けた学生の数

30 国連の地域気候サミットに招待した気候リーダーの数

1 石炭に関する画期的なレポートの数

わたしたちは、インドネシアの若い活動家たちとの関わりをいっそう深め、より強力なムーブメントを築き上げてきました。同国12都市で組織づくりに関わる60人を対象に、2回にわたり集中トレーニング講座を開催したうえ、既存の現地団体と連携してもらいました。新たにトレーニングを受け、スキルアップした人たちのおかげで、グローバル気候マーチ開催期間中、24都市で開催された街頭アクションには、計8,000人が参加することになりました。インドネシアにおいて、気候運動にこれほど大勢の人々が参加したのは初めてのことです。

フィリピンのグローバル気候マーチでは、9月20日マニラで3つの大規模イベントが開催されたほか、それ以外の地域でも少なくとも20のイベントが開催されました。なお、もっとも規模の大きいイベントには、600人が参加しました。

インドとネパールでは、マーチやストライキを企画する若者たちを支援しました。各地域において大勢の人々に参加を促すことができるよう、わたしたちは学生5,800人および教師180人に気候のための組織づくりトレーニングを多数開催。一方、パートナー団体と連携し、バングラデシュの石炭業界に関する新たな調査レポート「Choked by Coal: The Carbon Catastrophe in Bangladesh(石炭で息ができない:バングラデシュの石炭大災害)」を公表しました。このレポートでは、バングラデシュの石炭火力発電所29基の建設計画の背後にある、外国資本の存在を明らかにしています。これらの発電所が建設された場合、バングラデシュの石炭発電容量は、現在の525メガワットから33,200メガワットへと、63倍に増加することになるのです。

国連による「アジア太平洋気候ウィーク」開催中、350.orgはアジア10か国で先頭に立ちキャンペーンを展開する若者たち30人を招待、フィリピンのバターン島で、3日間にわたる盛り沢山の気候リーダーシップ養成トレーニングを実施しました。さらに気候ウィーク開催中、大胆な行動とは化石燃料時代に終止符を打つことだと言って、皆で声を大にして代表団に直接訴えかけ ました。

トレーニング

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15万 ダウンロードされたオンライン・トレーニングの数

7万2,000 トレーニングの回数

1 気候レジスタンスハンドブックの数

12以上 新規オンライン・トレーニングの数

350.orgのトレーニング担当チームは、2019年のムーブメントに向け、新たなリソースを開発しました。

こうして立ち上げられた、トレーニング専門のウェブサイトtrainings.350.org へのアクセス数は激増しました。活動家たちは、さまざまなページに合計72,000回アクセス、ダウロードされた資料の数は11言語15万件に上ります。また、人気のオンライン・スキルアップは、トルコ語、インドネシア語、ロシア語の3言語でも無事発信されました。

350.orgのグローバル・トレーニング担当ダニエル・ハンター事務局長は、気候レジスタンス・ハンドブック を執筆。前書きは、グレタ ・トゥンベリさんが担当しました。わたしたちは、このハンドブック2万冊以上(電子書籍および印刷版)を多数の国々に無料で配布、さらに直接注文も受け付けるなどして、年齢を問わず、あらゆる活動家の人々を支援しています。

最後になりましたが、わたしたちは気候ムーブメントのさらなるスキルアップを目指し、ウェブサイトに多数の新しいトレーニング・ツールを追加しました。最新ツールは、 Parata: a climate justice exploration(パラタ:気候正義を求めて)です。

画期的なオンラインでの組織づくり

icon of a computer with protestors on the screen

110万 グローバル気候マーチ開催中、ウェブサイトを訪れた人の数

25万 オンライン上で気候マーチに参加した人の数

1 気候マーチ&ストライキのため開設された、オープンソースのサイトの数

いかにテクノロジーを駆使し、スタッフを配置すれば、成功に向けムーブメントの可能性を広げていくことができるのか。これは、わたしたちが情熱を注ぎ取り組んでいることの一つです。こうしたツールにアクセスできない人にもツールを利用してもらえるよう、間にある溝を埋めることも、わたしたちの使命なのです。例えば南半球には、化石燃料産業による開発拡大が進んでいるにもかかわらず、この種の支援をすぐに入手できない途上国があります。わたしたちは、ムーブメントを熟知した技術こそ、地域キャンペーンの参加率を高め、成功させる突破口になると考えます。

そこで、非常に柔軟にムーブメントを築き上げられるよう、オンラインツール「GlobalClimateStrike.net」や、地域団体およびパートナー団体を対象とした組織づくりとメール送信ツール、そしてオープンソースのデザイン素材をはじめとした、さまざまなツールを用意しました。

これらツールのおかげで、気候マーチ&ストライキは、史上最大規模の気候ムーブメントへと成長したのです。初めてムーブメントに参加した人、少なくとも25万人にとって、参加のきっかけは350.orgのサイトでした。

これに加え、グローバル気候マーチの1週間(9月20日から27日)、サイトのアクセス数は1,170,334に上り、そのうち943,774は新規のユーザーでした。

350.orgによる技術インフラの再構築は、非営利(NPO)セクターに波紋を広げました。350が既存のデジタル部門を廃止し、新たにプロダクトチームを発足したことを取り上げる記事が紹介されると、 MobLab, やChronicle of Philanthropy、Action Network, ならびにWhole Whale をはじめとした、非営利団体が関心を寄せてくれました。
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