2019年7月1日

G20大阪サミットは気候危機回避への道筋を示せず

 

2019年7月1日

国際環境NGO 350.org

 

G20大阪サミットは気候危機回避への道筋を示せず

 

 東京 - 日本がはじめて議長国となり、大阪で開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は29日、首脳宣言を採択して閉幕した。米中貿易摩擦など国際貿易のあり方が主要議題として話し合われ、安倍晋三首相は共同宣言の中で「自由貿易の基本原則を明確に確認することができた」と成果を強調した。しかし、喫緊の課題である気候変動問題に関しては、安倍首相は議長国としてのリーダーシップを発揮できず、パリ協定に沿って行動することを確認するにとどまった。

 

 350.org日本支部代表の横山隆美は、「気候変動対策とは、石炭、石油、ガスなどの化石燃料を段階的に廃止すること、そして、気候変動の原因となっている化石燃料関連への投融資を削減することだ。今回のG20サミットでは、世界にとっての喫緊の課題である気候変動問題に関し具体的な対策を示すことができなかった。」と述べ、G20が不調に終わったことを強調した。

 

 首脳宣言は、パリ協定への整合を強調する一方で、化石燃料関連の公的補助金の段階的廃止については10年前の首脳宣言と同様に「中長的合理化」することにとどまった。さらに、今回の首脳宣言には気候変動問題での米国の孤立主義を正当化するかのように、同国の主張を併記するなど大きな課題が残った。また、科学的に実証されていない「二酸化炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)」技術に依存したエネルギー転換に期待を表明するなど、各国首脳は気候危機と正面から向き合っているとは言えない。

 

 G20を目前にした6月26日から28日の間には、国内では横須賀・神戸および大阪、そして国外では7カ国で議長国の日本政府に対して、気候変動問題へのさらなる政策対応を求める抗議活動が行われ、二日間で数百人が参加した。また、日本の政府および金融機関に対し、石炭火力発電所向け投融資からの撤退を求める国際署名に8万人以上が賛同し、安倍首相に提出された。

 

政府に対し気候変動問題に対する野心的な政策対応を求めるために毎週学校をストライキする「Fridays for Future」活動は2018年夏に始まった。彼らは今、2019年9月23日に開催される国連気候サミット目前の9月20日に世界規模の同時ストライキを呼び掛けている。

 


参考:


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