2019年6月27日

【プレスリリース】G20大阪サミット議長国日本の脱石炭を求める国際アクションが8か国で開催

プレスリリース

 

2019/6/27

G20大阪サミット議長国日本の脱石炭を求める国際アクションが8か国で開催

石炭火力発電への資金提供中止を求める国際署名に8万人以上が賛同

 

2019年6月28日、29日に大阪で開催される主要20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)を目前にした6月26日と27日、国内では横須賀および神戸、そして国外では7カ国で議長国の日本政府に対して、気候変動問題への政策対応を求める抗議活動が行われ、二日間で140人が参加した。また、日本の政府および金融機関に対し、石炭火力発電所向け投融資からの撤退を求める国際署名が実施され、8万人以上が賛同した。

 

国際環境NGO 350.org Japanが共催した国内でのアクションは、横須賀と神戸で新規石炭火力発電所の建設計画に反対して訴訟を起こしている市民団体を支援する形で行われ、日本政府に石炭火力発電所の建設計画の中止を求めた。

写真:神戸で計画中の石炭火力発電所前でのアクション(提供:No Coal Japan)

 

日本および海外での抗議活動は、国際的なNO COAL JAPAN(*1)キャンペーンの一環として行われた。日本以外では、日本政府および民間企業に対し、石炭火力発電への投融資停止と、実効性のある気候変動対策を行うように求めるアクションが、日本政府や企業が支援中の石炭火力発電所計画を抱えるインドネシア、フィリピン、バングラデシュ、パキスタン、インドなどで実施された。オーストラリアの首都キャンベラと米国のワシントンDCでも抗議アクションが行われた。

写真:フィリピンの日本大使館前でのアクション(提供:350.org)

また、G20議長国でありながら、温暖化を加速する石炭火力発電を国内外で支援している日本に対して、新規の石炭火力への支援を停止し、再生可能エネルギー社会への公正な移行を実現するよう求める国際署名 (SumOfUs、Oil Change Internationalと共催)には、世界中から8万人以上が賛同した。「日本:ストップ石炭投資」のバナーを掲げたポートレートを投稿するフォトアクションも同時に行われ、大阪城前で200人以上の参加者の写真が投影された。

写真:大阪城前でのデジタルバナーによるフォトアクション(350.org)

 

350.org Japanキャンペーナーの渡辺瑛莉は、「今週大阪でG20大阪サミットが開催され、世界的な重要課題である気候変動問題についても議論される。政府は今月11日、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定したが、その内容は石炭火力の継続など、気温上昇を1.5度未満に抑えるという目標達成には全く不十分だ。さらにG20首脳宣言の内容が、『署名国は、パリ協定の完全な実施を約束する』とした去年の宣言から大きく後退する可能性があると報道されている。仮に事実だとしたら非常に遺憾であり、安部首相の気候温暖化問題に対するリーダーシップが厳しい国際的な批判に晒されることになるだろう」とコメントした。

 

「日本が議長国を努める今回のサミットに向けて、日本が支援する石炭火力発電の計画があるアジアの国々の市民が反対の意向を表明しているのは、石炭火力が温暖化を加速するだけでなく、公害や人権侵害などを助長している現実があるからだ。日本は環境的・社会的に有害な石炭火力ではなく、コミュニティをエンパワーする分散型の再生可能エネルギーの普及を支援すべき」と350.org アジア・ディレクターのノリー・メルカードはコメントした。

 

世界中から脱炭素社会の実現に向け政策対応を求める声が日増しに大きくなっているにも関わらず、福岡で開催されたG20蔵相・中央銀行総裁会議で議長を努めた麻生太郎蔵相や軽井沢で開催されたG20エネルギー・環境大臣会合で共同議長を務めた原田義昭環境大臣、世耕弘成経済産業大臣は、リーダーシップを発揮することができず、有効な対策を打ち出すことができなかった。

 

安倍晋三首相は、大阪サミットに先立つ6月24日、ジャパンタイムス紙に寄稿し(*2)、IPCC1.5度報告書の目標達成のためには「ネガティブなものをポジティブに変えるイノベーションが鍵となる」とし「CO2が非常に安い価格でふんだんに利用可能な資源になるとしたら、なんてすばらしいことだろう」と述べている。このことは、1.5度目標達成のため、OECD諸国は2030年までに、他の国々は2050年までに石炭火力から撤退すべきであり、すでに脱石炭へと舵を切ったカナダ、イギリス、フランス、ドイツなどから大きく後れを取ることになる。

 

350.org 東アジア・ファイナンス・シニアキャンペーナーの古野真は、「脱炭素社会に向けた世界の大きな流れの中で、日本が石炭火力発電への投融資停止を発表することこそが、日本が初めてG20議長国となる本サミットで、気候変動対策においてリーダーシップを示すこととなる。しかし、非現実的なイノベーション頼みで、このままでは日本が再生可能エネルギーを推進するリーダーになるチャンスを逃してしまうだろう」とコメントした。

 

実際、日本はいまだに国内外で石炭火力発電所の建設を進め、国際社会から厳しい批判が集まっている。26日に発表された最新の報告書(*3)によれば、日本は海外での石炭採掘・石炭火力発電に対し、2016年〜2017年の間、年平均5900億円(52億米ドル)もの公的資金を投じており、G7諸国の中でも唯一、多くの石炭火力発電所の新設計画を抱えている。このような背景から、国内外のNGOなど51団体が日本政府、金融機関、企業に対し、気候変動対策を強化し、石炭火力から脱却するよう求めるNO COAL JAPANキャンペーンを今年立ち上げた。

 

日本政府は、今回国内外で行われたアクションに参加した一般市民の声を真摯に受けて止め、気候変動問題に関する国際的な取り組みが後退することがないよう、改めて安倍首相のリーダーシップを期待したい。


(*1) NO COAL JAPANとは、日本の政府、金融機関および企業が世界各国で新規石炭火力発電事業への支援を停止することを求めて活動している、日本および世界各国50以上の市民団体の連合体です。http://www.nocoaljapan.org/ja/
(*2)https://www.japantimes.co.jp/opinion/2019/06/24/commentary/japan-commentary/goals-group-20-summit-osaka/
(*3) https://www.odi.org/publications/11356-g20-coal-subsidies-japan

問い合わせ

国際環境NGO 350.org Japan

関 Tel: 090-4752-7020 Email: [email protected] 

渡辺 Tel: 080-5496-4954  Email: [email protected]

日本および国外から発せられる脱石炭を切望するメッセージおよびアクションの動向は、NO COAL JAPANのウェブサイト(http://www.nocoaljapan.org/ja/)でご覧いただけます。