オーストラリアやバングラデシュ、ケニア、トルコをはじめとした国々において、石炭と気候変動は、世界有数の美しい自然や文化遺産に差し迫った脅威をもたらしています。
にもかかわらず、これらの遺産を守るべき立場にあるはずのユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は沈黙したままです。
そのため私たちは、各国政府に「パリ協定」を順守するよう促し、また気候変動を加速させ、世界遺産を破壊する石炭をはじめとする化石燃料開発の中止を求めていくよう、ユネスコ世界遺産委員会に訴えかけます。
トルコ
トルコ

トルコでは、多数の文化遺産が石炭開発によって脅かされています。 例えば、ムーラ県ヤタアン(Yatağan)にあるラギナ(Lagina)遺跡のヘカテ(Hecate)神殿や、古代の港湾都市であったキュメ(Kyme)、ビザンチン帝国のペガエ(Pegae)の要塞、内陸部の主要都市コンヤ(Konya)のイルギン(Ilgin)にあるチャブーシュルギョル(Çavuşlugöl)自然保護区などがあります。 今後トルコがさらに石炭発電所の建設を進めれば、もっと多くの遺産に脅威がもたらされる恐れがあります。
オーストラリア
オーストラリア

世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)」では、海水温の上昇により、その半分以上がすでに死滅している恐れがあります。これについては、ユネスコもサンゴ礁に関する衝撃的なレポートを発表するに至りました。 ところがユネスコは、オーストラリア政府の異議申し立てを受けレポートを撤回したのです。科学界の総意にもかかわらず、石炭中毒の同国政府の声がまかり通ってしまったことの証です。
バングラデシュ
バングラデシュ

バングラデシュでは、絶滅が危惧されるベンガルトラやガンジスカワイルカの生息地で、ユネスコの世界遺産にも登録されている「シュンドルボン(Sundarbans)国立公園」で、1320メガワットの石炭火力発電所の建設プロジェクトが政府主導で進められています。
ケニア
ケニア

ケニア政府は、同国の沖合に浮かぶラム(Lamu)島に、港湾施設と輸送水路(エチオピア、ウガンダ、ケニア、南スーダンをつなぐ)を併設した、20億ドル規模の石炭火力発電所建設計画を提案しています。
ラム島は、非常に豊かな生態系や文化の多様性を理由に、ユネスコの世界遺産に登録されています。 多種多様な生物が確認されているラム島本土は、貴重な生き物たちが生息する、西アフリカ有数の豊かな海洋生態系のひとつです。それらを目当てに、毎年多数の観光客がこの地を訪れています。