2018年4月20日

【プレスリリース】350.org Japan: 3大金融グループへ石炭関連企業への新規融資停止を求める国際署名を開始

プレスリリース

2018年4月21日

350.org Japan: 3大金融グループへ石炭関連企業への新規融資停止を求める国際署名を開始

本日、国際環境NGO 350.orgの日本支部(350.org Japan)は賛同団体とともに、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)および三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)に対して石炭火力発電事業及び石炭採掘事業への新規融資の停止および「パリ協定」に整合した事業戦略や明確な指標や目標を公表することを求める国際署名を開始しました。350.org共同創設者および著者であるビル・マッキベンがアースデー東京2018のオープニングスピーチで署名開始について発表しました。

「パリ協定」に掲げられている世界の平均気温上昇を1.5~2℃未満に抑えるという目標を達成するには、石炭火力発電所の新規建設をやめ、既存施設も早期に閉鎖することが極めて重要だという分析が国連環境計画が公表した「排出ギャップ報告書2017年版」に含まれています。しかし、日本の大手金融グループは国内外における石炭火力発電事業に莫大な資金を投入しており、その行為は「パリ協定」の「1.5~2℃目標」の達成を脅かしています。

ドイツのNGOウルゲバルト(Urgewald)などがまとめた報告書「銀行vs.パリ協定」により、2014年1月~2017年9月の間、新たに石炭火力発電所の建設計画を進めている大手企業120社への融資額において、金融グループ3社は順に、みずほフィナンシャルグループは世界で1位(115.25億米ドル・約1兆2千億円)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(101.89億米ドル・約1兆1千億円)は2位、三井住友フィナンシャルグループ(35.37億米ドル・約3750億円)は5位であることが判明しました。さらに、世界主要銀行の気候変動対応を評価した報告書『化石燃料ファイナンス成績表2018』では、メガバンク3行は石炭火力および採掘事業に対する方針においてはほぼ最下の評価を受けています

またこれらの金融グループは、土地接収などの人権侵害が報告されているインドネシアのバタン石炭火力発電所やチレボン石炭火力発電所、地域産業へ大きな被害を与えているベトナムのビンタンやブンアン石炭火力発電所をはじめとする、問題のある個別案件にも融資をしていることが浮き彫りになっています。

350.org共同創設者および著者のビル・マッキベンはアースデー東京2018でのスピーチにおいて「米国と欧州の銀行は、石炭を中心に最も二酸化炭素排出量の高い化石燃料への融資を制限し始めています。「パリ協定」の目標を達成するためには、世界の金融機関は石炭火力発電所の新設や石炭資源開発に対する投融資を直ちに停止し、すべての化石燃料への投融資を急激に減らさなければなりません。石炭への投融資を続ける邦銀はこの潮流に逆行しています。日本の金融界は、まず石炭から投資撤退(ダイベストメント)し、引き揚げた資金を再生可能エネルギーへとシフトすることでより良い方向へ一歩踏み出すことができます」とコメントしました。

350.org Japan代表の古野真は「住みよい地球環境を守るためには、石炭をはじめとする化石燃料を地中に埋めておく必要があります。私たちがお金を預けるている銀行は、気候変動問題を最も悪化させる石炭火力発電所のような化石燃料関連事業へと巨額のお金を流しています。 預金者はそのお金の流れを変える力を持っています。今日開始した署名キャンペーンに参加することで、日本の預金者は3大金融グループに対して石炭関連事業への新規融資を止めるよう声を届けることができます。 日本は時代遅れの石炭の代わりに持続可能なエネルギー技術へと投融資先を移行することで、100%再生可能エネルギーの未来へとアジアを導く可能性を秘めています」と述べました。

MUFG、みずほFG、SMFGはG20 財務大臣・中央銀行総裁会議の要請から発足された金融セクターに対する気候変動リスクの管理を求める「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への支持を表明しています。また、3社は大規模なプロジェクトに融資を実施する際に、そのプロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響に十分配慮されていることを確認する自主的ガイドライン「赤道原則」の署名機関でもあります。

MUFG、みずほFG、SMFGの金融グループ3社の石炭関連事業への投融資は各社が賛同している気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」や「赤道原則」などの国際的枠組みへのコミットメントないし「パリ協定」にも反しています。

署名はMUFG、みずほFG、SMFGに対して、要請文に掲げられている具体的な要求に対して明確な姿勢を2018年9月12−14日に米国のカリフォルニア州で行われる世界気候行動サミット(Global Climate Action Summit)及び国連責任投資原則(PRI)年次総会前に公表することを求めています。

350.org Japanと賛同団体は3大金融グループが年次株主総会を開催する6月下旬までに、1万人の署名を集めることを目指しています。

ダウンロード:
1.(要請文)石炭火力発電事業及び石炭採掘事業への新規融資に関する要請
https://dbqvwi2zcv14h.cloudfront.net/images/Petition_Text_Lets_Divest_from_Coal.pdf
2.署名ページ
http://act.350.org/act/divest_from_coal/

環境ジャーナリスト・350.org 共同創設者 ビル・マッキベン略歴:
1960年12月8日、カリフォルニア州パロアルト生まれ。1982年マサチューセッツ州ハーバード 大学卒業。卒業と同時に、ニューヨーカー誌でスタッフライターの地位を得る。環境破壊の現 在と未来を論じた「自然の終焉(The End of Nature)」(1990年、河出書房新社)で地球温暖化 問題にいち早く警鐘を鳴らし、その名を全米・全世界に知らしめる。その後も「小さな経済」 の可能性を追求する「ディープエコノミー : 生命を育む経済へ(Deep Economy: The Wealth of Communities and the Durable Future)」(2008年、英治出版)を出版し、多数の言語に翻訳さ れ、世界的なベストセラーとなった。
2008年に、メイ・ブーヴィ(現 350.org 事務局長)が率いるチームとともに 350.org を設立。 2010 年には、「世界高の環境ジャーナリスト」として米タイム誌(2010年4月26日掲載)に 紹介された。(注1)2012年に、市民が取り組む気候変動対策として「化石燃料からのダイベ ストメント(投資撤退)」キャンペーンを全米ツアー「Do the Math(化石燃料の温暖化影響を 計算する)」に合わせて発表し、講演から一ヶ月以内に100 以上の大学でダイベストメントに 取り組む学生団体が立ち上がり、その後同キャンペーンは世界中へと飛び火していく。現在、 ダイべスメントを表明している機関の運用資産総額は6兆米ドル以上に達している。(注2)
他の主な著書には、「情報喪失の時代(The Age of Missing Information)」、「人間の終焉( Enough: Staying Human in an Engineered Age)」(以上、邦訳はすべて河出書房新社)など がある。  現在は、地球温暖化、代替エネルギー、遺伝子工学等について、ニューヨークタイムズなどの 多数の媒体で幅広く執筆活動を行っている。ミドルベリー大学研究員。
注1:​http://content.time.com/time/magazine/article/0,9171,1982309,00.html
注2:​https://gofossilfree.org/divestment/commitments/   

 

▶︎350.org Japanについて  

350.org Japanは、米国ニューヨークを拠点にもつ国際環境NGO350.orgの日本支部です。当団体は、化石燃料ダイベストメントを日本で広めるために、2015年4月に設立されました。温暖化を加速させている化石燃料関連企業や、国民の安全や健康を危険にさらす原発関連企業へ投融資をしていない「地球にやさしい銀行」選びを消費者に促すキャンペーンを現在展開しています。

 

▶︎本件に関するお問合せ
棚尾真理絵 350.org Japan 広報
TEL:090-2183-2113
MAIL:[email protected]