2025年7月21日

【声明】参議院選挙の結果を受けて、気候危機への対策強化を求めます

声明

2025年7月21日

国際環境NGO 350.org Japan

 

参議院選挙の結果を受けて、気候危機への対策強化を求めます

 

7月20日、猛暑が続く中、参議院選挙の投開票が行われ、与党の議席が過半数に届かず、政治の変動を示す結果となりました。国際環境NGO 350.org Japanは、改めてすべての政党・政治家に対して、気候危機への対策強化に尽力するよう求めます

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の科学は、人間による気候変動についてすでに「疑う余地がない」と結論づけています。日本においても深刻な気候関連災害、山火事、猛暑が発生しており、とりわけ子どもや高齢者、貧困層の健康やお米を含む農林漁業にも深刻な影響を与えています。日本における最新の調査によれば、現在までに気候変動の悪影響を受けていると考える人は8割を超え、次の選挙で候補者を支持する際、<エネルギー・環境・気候変動>に「関心を持つ」と回答した人は71.2%でした。

今回の参院選では、市民の間で、気候変動対策の強化を求めて、これに積極的な候補者を応援する動きが広がりました。気候危機を問題提起し、脱化石燃料、省エネや再エネの必要性に言及した政治家、政党が散見され、メディアの中にも気候変動を重要なテーマのひとつとして取り上げるところがみられました。350.org Japanも、署名キャンペーン「選挙で気候も報道して!」を立ち上げ、反響を得ています。しかし、現実の気候危機の深刻さと緊急性、そして日本の能力と責任に照らせば、議論も取り組みも十分ではありません。

日本の衆参両院は2020年に「気候非常事態宣言」を決議しています。5年後の今、気候危機の影響はさらに深刻に国民の生活に現れています。今回選挙の当選者を含むすべての政党のすべての政治リーダーに対して、「非常事態」にあわせて緊急の対策強化へ本腰を入れて取り組み、それを見える形で市民へ示し、実効性ある政策を早急に立案し行動するよう、私たちは強く求めます。

国際環境NGO 350.orgジャパンチーム・リーダーの荒尾日南子は次のようにコメントしました
「観測史上最高気温を報じるニュースが飛び交う中で行われた参議院選挙は、排外主義、女性蔑視など差別的で過激なメッセージが飛び交う、残酷なものでした。まず、この選挙で傷ついたすべてのマイノリティに心を寄せ、声をあげるすべての市民に連帯します。
気候危機の解決に向けて、今回の選挙結果は安堵よりも危惧を抱かせるものです。しかし、政党や立候補者に対して気候変動対策の公約について尋ねたり、気候変動対策に積極的な候補を応援するため街頭で声をあげたりする市民の姿が目立ったのは希望です。気候危機も、そして排外主義をはじめとする人権侵害の危機もない、すべての人が平和で生きることのできる公正な社会を実現するため、私たちの市民ムーブメントをますます広げていきたいと思います」


国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は次のようにコメントしました。
「今回の参議院選挙は、災害級の猛暑の中、既存の政治のあり方を問い直すよう迫る結果となりました。現政権が取りまとめた日本の温室効果ガス排出削減目標及びエネルギー政策は、パリ協定1.5℃目標に照らして不十分であり、脱化石燃料を進めるためのロードマップも、サステナブルな再エネを拡大させるための政策措置も欠いています。選挙のさなか、LNG火力発電所や東京電力福島第一原子力発電所事故以来初めてとなる原子力発電所の新設を報じるニュースが舞い込んだことは、現政権のエネルギー転換への政治的シグナルの欠如を象徴的に示すものでした。
最新の科学を踏まえれば、深刻化する気候危機に対処するため化石燃料のフェーズアウト(段階的廃止)が急務です。今回の選挙結果を受けて、サステナブルで民主的な再生可能エネルギー100%への公正な移行の政策方針を急ぎ検討するよう、すべての政党と政治家に強く求めます」

 

 


国際環境NGO 350.org Japanへのお問い合わせ

伊与田昌慶(いよだまさよし)

国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナー
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