2025年1月21日

【声明】米国トランプ大統領によるパリ協定の離脱手続きに厳重に抗議します

声明

2025年1月21日
国際環境NGO 350.org Japan

米国トランプ大統領によるパリ協定の離脱手続きに抗議します

 

米国ドナルド・トランプ大統領によるパリ協定の離脱手続きについて、国際環境NGO 350.org Japanは厳重に抗議します

ロサンゼルスでの記録的な森林火災が気候危機の脅威を示す新たな一例となる中、トランプ大統領によるパリ協定の離脱手続きは、許しがたいものです。歴史的な排出量から、気候危機への責任が最も重く、また経済的に最も豊かな国の一つである米国が、気候科学と解決への義務に背を向けることは受けいれられません。

トランプ大統領は、COP29で合意された気候資金目標への米国の貢献を放棄し、米国の連邦レベルの環境政策を退化させる懸念があります。しかし、トランプ大統領が世界の気候変動解決に逆行しても、パリ協定のもとで脱化石をめざす国際体制は揺らぐことはありません。気候危機や大気汚染を加速させるだけでなく価格が不安定な化石燃料から、よりクリーンな雇用を数多く生み、安価な再生可能エネルギーへの転換は続いています。米国内でも省エネや再エネによる気候変動対策に取り組む州政府や企業などが多くあり、これをリードする市民団体も数多くあります。

350 Japanは、今後も米国を含む世界中の市民と連帯し、気候危機の主な原因である化石燃料から再生可能エネルギーへの公正な移行を後押しするための市民ムーブメントの構築に取り組み続けます。

 

国際環境NGO 350.orgのジェフ・オードワー北米ディレクターは次のようにコメントしました。

「今日に至るまで、私たちはトランプ大統領の政策が気候や社会から疎外されたコミュニティに対する直接的な脅威となることを知っていました。しかし、私たちは決して絶望せず、屈しません。市民がこういった困難を乗り越えられることは、歴史が示しています。気候危機のない安全な未来のために闘うときは、あらゆるレベルでの努力が重要です。私たちは公正とレジリエンスを中心とした解決策を守り続けます。地域レベルあるいは地球規模レベルでコミュニティを育てることによって、決意を新たにする世界中の気候アクティビストとともに、私たちも強くあることができます」

国際環境NGO 350.orgの伊与田昌慶ジャパン・キャンペーナーは次のようにコメントしました。

「トランプ大統領によるパリ協定離脱手続きは、極めて残念です。しかし、トランプ大統領以外の世界のリーダーは、今後もパリ協定のもとで再生可能エネルギーへの転換を進め、化石燃料コストの高騰リスクから自由になり、クリーンな雇用を増やし、大気汚染を改善して人々の健康をまもる道を選び続けるはずです。
米国が脱炭素をめざす国際競争を自ら棄権した今、日本が存在感を示すチャンスがやってきたともいえます。安全で健やかな未来のため、汚い化石燃料でも危ない原子力でもない、クリーンで公正な再生可能エネルギーによって、パリ協定1.5℃目標のために必要な『2035年までに2013年比81%削減*』を民主的なプロセスでめざすべきです。現在、パブリックコメントにかけられているエネルギー基本計画及び地球温暖化対策計画に対して、野心的な目標と対策強化を求める市民の声を、石破総理は聞くべきです」

 

 

 

*Climate Action Trackerは、パリ協定の1.5℃目標のためには、日本は『2035年までに2013年比81%削減』という温室効果ガス排出削減目標を掲げる必要があると分析しています。

 

 

以上

 


国際環境NGO 350.org Japanへのお問い合わせ

伊与田昌慶(いよだまさよし)

国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナー
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