プレスリリース
2024年11月21日
国際環境NGO 350.org Japan
350.org Japan、浅尾環境大臣に日本の気候資金貢献を要請
【21日、バクー】国際環境NGO 350.org Japanは、浅尾慶一郎環境大臣に要請文「日本のお金を再エネに〜Yen for Climate〜」を提出しました。これは、COP29が「資金のCOP」として長期的な気候資金目標の合意がめざされている中、日本政府に対して気候資金への貢献の積み増しや、途上国への資金支援のあり方を改善するよう要請するものです。この要請については、これまでに1563筆の署名が集まっていました。
国際環境NGO 350.org Japanのジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は次のようにコメントしました。
「COP29において浅尾環境大臣は気候資金目標(NCQG)の合意の重要性を訴えてきました。日本の、そして世界の人々を気候危機の深刻化から守るためには、世界全体の気候対策の強化が必要です。そのために不可欠な気候資金の拡大のため、国際政治情勢に不透明さが漂う中、世界の経済大国で世界第5位の排出国である日本の役割と期待は大きいものがあります。浅尾環境大臣には、気候資金の合意に貢献するため、そして日本の気候目標の引き上げのため、さらなるリーダーシップを発揮していただきたいと思います」
<要請文>
現在、気候変動に関する国際条約「パリ協定」のもと、世界全体の気候変動対策を進めるために不可欠な資金支援について議論が行われています(*1)。「世界の再生可能エネルギーを3倍にする」、「化石燃料からの脱却を加速させる」という国際目標を実現するためには、化石燃料へのお金の流れを断ち切り、市民主導の再生可能エネルギーの拡大を加速させる必要があります。そうすることで、そしてそうすることによってのみ、パリ協定の1.5℃目標を達成し、フェアでサステナブルな未来が拓けるのです。
残念ながら、日本は、気候危機だけでなく自然破壊や人権侵害を引き起こす化石燃料プロジェクトへの国際的な公的資金の投入が世界トップクラスです(*2)。気候変動の主な原因であるCO2の排出量を減らすどころか、むしろ増やすことになる事業:バングラデシュでの石炭火力発電所建設やエジプトの空港の拡張工事に対して資金支援を行い、これを「気候資金の貢献」として実績報告していたことで強い批判にさらされてきました。日本が資金支援を行った化石燃料事業によって、グローバルサウスの当該地域で人権侵害や自然破壊が発生しています。石炭火力発電へのアンモニア混焼や原子力など、2030年までの脱炭素化に間に合わない非現実的かつ高コストな技術を推進する方針は、むしろ化石燃料への依存を長引かせるグリーンウォッシュとみなされています。
今こそ、日本は、世界の経済大国として、化石燃料でもグリーンウォッシュ技術でもない、公正な再生可能エネルギーや省エネルギーへとその資金支援を全面的に振り向けてください。そのことが、新しい長期的な気候資金目標の世界合意に貢献する力になります。
具体的には、日本政府として、次の対応を要請します。
- 気候資金への新たな貢献目標を表明し、2025年以降の長期的な気候資金目標(NCQG)の合意に貢献してください。
- 気候資金への新たな貢献においては、化石ガスを含む化石燃料事業や、化石燃料を温存させるアンモニア混焼、CCUS、原子力などのグリーンウォッシュ技術への支援をやめ、そのかわりに地域市民主導の再生可能な太陽光発電や風力発電プロジェクトを支援してください。
- 温室効果ガス排出削減のみならず、適応や、損失と被害に関する資金支援も拡充してください。
- 気候資金においては、途上国の債務の負担を増やすローンなどではなく、無償資金援助の形式の支援を増やしてください。
以上
国際環境NGO 350.org Japanへのお問い合わせ
伊与田昌慶(いよだまさよし)
国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナー
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