2024年11月19日

【プレスリリース】G20サミット、野心的な気候資金の合意を求める〜日本もCOP29合意に貢献を〜

プレスリリース

2024年11月19日
国際環境NGO 350.org Japan

G20サミット、野心的な気候資金の合意を求める
〜日本もCOP29合意に貢献を〜

 

【11月19日、バクー・リオデジャネイロ】G20首脳サミットは18日夜にコミュニケを発表し、アゼルバイジャンのCOP29における気候資金目標が「何十億ドル(billions)から何兆ドル(trillions)」という単位に引き上げられるべきだとするなど、合意の成功を後押しするメッセージを発信しました。他方、その気候資金が公的資金によるものである必要性や、ローンではなく無償資金援助の形であるべきとの途上国の要請は反映されませんでした。コミュニケではCOP28ドバイ会議で合意されたエネルギー転換の必要性や、2030年までに再生可能エネルギーを3倍にすること、省エネルギー改善率を2倍にする努力についても触れています。

さらに各国首脳は、今年7月のG20財務大臣会合の議論を踏まえ、超富裕層への課税を幅広く支持することに合意しました。G20が署名した宣言は、国際財政制度改革の必要性を認め、途上国の再生可能エネルギーへの移行を資金面で支援する富裕国の責任を強調しています。

今回のG20合意からも明らかになったように、社会的・経済的公正を実現する手段として超富裕層への課税強化を支持する声は高まっています。超富裕層への課税は、化石燃料から再生可能エネルギーへの公正な移行に必要な資金を調達するため、そして気候変動による損失や被害への対応のために必要な資金を提供するための公正な手段となります。

 

国際環境NGO 350.orgラテンアメリカのマネジング・ディレクターであるイラン・ズグマンは、次のようにコメントしました。
「ブラジルがG20議長国として発揮したリーダーシップは、『少なくとも年間1兆米ドルの気候資金を動員する』との目標にCOP29で合意するための道を拓く可能性があります。『年間1兆ドル』は、各国政府がすでに支払っている金額や、気候変動による大災害のために世界中の人々がすでに苦しんでいる金額に比べれば、大海の一滴に過ぎないでしょう。しかし、その1兆ドルが民間資金ではなく公的資金であること、そしてローンではなく無償資金援助の形で提供されることは、重要な意味を持ちます。民間資金の流れの本質は、人間の真のニーズを満たすよりも利益をあげることにあるため、公的資金が重要なのです」

 

国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は、次のようにコメントしました。
「G20サミット合意は、この不透明な国際政治状況にあっても、気候対策の王道が再エネ・省エネにあることを示しました。同時に、世界がより野心的な気候目標を打ち出すため、そして世界で気候災害の被害を受ける人々を救うために必要な気候資金の規模が、少なくとも『何兆ドル』という単位であることを改めて示しました。
日本は、気候資金への新たな貢献目標を表明し、2025年以降の長期的な気候資金目標(NCQG)の合意に貢献しなければなりません。気候資金への新たな貢献においては、化石ガスを含む化石燃料事業や、化石燃料を温存させるアンモニア混焼、CCUS、原子力などのグリーンウォッシュ技術への支援をやめ、そのかわりに地域市民主導の再生可能な太陽光発電や風力発電プロジェクトを支援すべきです」

 

以上

 


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伊与田昌慶(いよだまさよし)

国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナー
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