プレスリリース
2024年11月12日
国際環境NGO 350.org Japan
英国、「2035年81%削減」の温室効果ガス目標を発表:
日本は少なくとも「75%削減」を
【12日、バクー、アゼルバイジャン】COP29が始まって2日目の本日、英国政府は、同国の新たな温室効果ガス削減目標として、「2035年までに1990年比で81%削減」を発表しました。これは、英国の気候変動委員会の勧告に基づくもので、パリ協定の1.5℃目標に整合する費用対効果の高い水準と評価されています。気候危機をめぐる国際政治が不透明な中、英国政府が1.5℃目標に向けて、来年2月の提出期限より3ヶ月前もって目標を示したことを歓迎します。
他方、日本政府においては、2035年に向けた新たな温室効果ガス削減目標と、これに関連するエネルギー基本計画の検討が大詰めを迎えています。パリ協定の1.5℃目標の達成のためには、日本は、少なくとも2019年比で2035年までに75%以上の排出削減が必要です。
国際環境NGO 350.orgのジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は次のようにコメントしています。
「英スターマー首相による新たな温室効果ガス削減目標の発表は、動揺する国際政治において、気候危機を止めるための行動が今も前進し続けていることを再確認させるものです。石炭火力発電のフェーズアウトを約束し、そして実際に今年に国内最後の石炭火力発電所を閉鎖した英国は、1990年から2022年にかけて50%削減を達成しています。
他方、日本は1990年から2022年にかけて11%削減しかできていません。今回の英国の動きや、世界における気候危機や、化石燃料からの脱却や再エネ3倍、2035年までに石炭火力発電全廃という国際合意を踏まえ、大規模な排出源である石炭火力発電のフェーズアウトを進め、省エネ対策を強化し、世界の再エネ3倍目標に貢献する政策を進める必要があります。自民党総裁選の前に再生可能エネルギーの拡大を訴えていた石破首相は、『2035年までに2019年比で少なくとも75%削減』との目標策定のため、今こそ強いリーダーシップを発揮する必要があります」
<参考情報> 日本と英国の排出量の推移
- 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が最初の評価報告書を発表し、京都議定書でCO2の基準年となった1990年以降、英国は温室効果ガスの削減傾向をほぼ維持しており、2022年までに50%の削減を達成しました。他方、日本は、排出量がピークを迎えた2013年以降は削減傾向が続いていますが、1990年から2022年にかけての削減率は11%にとどまっています。基準年と削減率の関係は、このような経緯を踏まえて考えることが必要です。
出典:日本のグラフは環境省のデータ、英国のグラフは英国政府のデータをもとに350.org Japan作成
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伊与田昌慶(いよだまさよし)
国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナー
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