2024年6月14日

【プレスリリース】G7プーリアサミット、気候危機への責任を果たせず: 岸田首相は気候・エネルギー政策の転換を

プレスリリース

2024年6月15日
国際環境NGO 350.org Japan

 

G7プーリアサミット、気候危機への責任を果たせず:
岸田首相は気候・エネルギー政策の転換を

 

現地時間14日、イタリアで開催されているG7プーリアサミットから、コミュニケが発表されました。コミュニケでは、COP28ドバイ会議やG7気候・エネルギー・環境大臣会合における合意をほぼ繰り返すにとどまっており、G7首脳として指導力を発揮し、気候危機への責任を果たすことに失敗しました。

今年11月にアゼルバイジャンで開催されるCOP29バクー会議においては、途上国の気候変動対策支援のための長期的な資金目標が合意される予定です。気候危機解決のために不可欠な途上国支援の資金貢献についてG7サミットでめざましい進展がなかったのは、極めて残念です。

G7首脳たちはCOP28における再生可能エネルギーや省エネルギー目標を再確認しました。しかし、現在のG7各国政府の政策では、「2030年までに再エネ3倍」との目標を達成できる見通しはたっておらず、化石燃料からの脱却を加速するには不十分です。とりわけ、最もCO2排出量の大きな石炭火力発電からの脱却や再生可能エネルギーの拡大について、日本がG7でも遅れている国であることは、恥ずべき事態と言わざるを得ません。岸田首相は、気候危機に向き合い、気候・エネルギー政策の転換を急がなければなりません。

 

国際環境NGO 350.org国際政策・キャンペーン担当のアソシエイト・ディレクターであるアンドレアス・シーバーは次のようにコメントしています。

「G7首脳たちが追加的な気候資金への貢献やCOP29に向けた野心的な気候資金目標の前進に向けて何ら進展を示せなかったことは極めて残念です。今回も彼らは実行を伴わない美辞麗句に終始しました。『自分たちはリーダーだ』と語るだけでは不十分です。G7首脳は、意味ある資金貢献の約束を示す責任がありましたが、それに失敗したのです。グローバル・ノースのG7諸国には、グローバル・サウスが再生可能エネルギーの導入や適応、損失と被害に対処するために必要な資金を支援する責任があります。限られた時間の中で、資金貢献の積み増しは不可欠です。世界はG7首脳の行動を注視しています」

 

国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナーである伊与田昌慶は次のようにコメントしています。

「G7広島サミットでの気候危機に対するリーダーシップの欠如から1年、岸田首相は今年も名誉挽回に失敗しました。プーリアサミットにおいて、岸田首相は、アフリカにおける気候災害の深刻さに言及したと伝えられています。しかし、岸田首相は、アフリカ・モザンビークにおける化石燃料LNG事業を支援すると約束した張本人であり、むしろアフリカの気候危機の悪化に加担する側にいます。いまだに海外の化石燃料関連事業を支援していること、融資による重い債務負担を課すこと、日本企業との契約を求めるといった搾取的な慣行があることで、日本の国際的な資金支援は悪名高い状況が続いています。今こそ日本は、公正で、安全で、安価な再生可能エネルギーと省エネルギーに全面的な財政支援を振り向けるべき時です。ガスを含む化石燃料事業や、石炭火力発電へのアンモニア混焼などのグリーンウォッシュ技術に資金を提供してはなりません。岸田首相は、日本の気候資金への貢献のあり方を改め、新たな気候資金へのコミットメントを急いで準備する必要があります。また、新たなエネルギー基本計画で脱石炭と脱ガスへの道筋を明らかにするために、化石燃料と原発への依存を改め、公正な再エネを3倍にすることにこそ指導力を発揮せねばなりません」

 

 


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伊与田昌慶(いよだまさよし)

国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナー
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