2023年12月13日

【声明】COP28合意、化石燃料からの脱却と再生可能エネルギー3倍を求める

声明

2023年12月13日
国際環境NGO 350.org

 

COP28合意、化石燃料からの脱却と再生可能エネルギー3倍を求める

 

国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において、世界の気候変動対策の進捗状況を評価する「グローバル・ストックテイク」の決定が採択されました。この決定では、化石燃料からの脱却が謳われています。しかし、気候変動影響に脆弱な国々や気候変動ムーブメントが必要としてきた成果にはほど遠いものです。化石燃料からの脱却が、どのような資金支援をもとに、どのように公平に進められるかについて不明確であるためです。

 

国際環境NGO 350.org事務局長のメイ・ブーヴィは次のようにコメントしています。
「過去30年にわたる市民の働きかけによって、とうとう『化石燃料からの脱却』をCOP合意に盛り込むことができました。しかし、抜け穴もあり、実効性も十分ではありません。化石燃料の段階的廃止(フェーズアウト)と再生可能エネルギーが重要なテーマとなったものの、それを実現するための道筋は依然明確でなく、石油や化石ガスの拡大につながる『目くらまし』を含んでいます。そして、そのような大転換を実現するために必要な資金がどのように調達されるべきか、不透明なままです。
過去数週間にわたって世界各地〜ジャカルタからニューオーリンズまで、リオ・デ・ジャネイロからラムまで〜で声をあげた市民の要請に、交渉官たちはささやかながら応えたと言えるでしょう。350.orgが広げてきたムーブメントは、私たち市民が、私たち自身の未来のため、エネルギー革命のために『パワーアップ』する用意ができていることを示しているのです。
このCOPを受けて、豊かな国々は、それぞれの能力と責任に応じて、気候変動影響に脆弱な国々が再生可能エネルギー100%に転換できるよう、相当の支援をすることが求められます。それこそが、気候危機に脆弱な小さな島国や、そこで活動する気候アクティビスト、そしてユースのムーブメントが示した大きなリーダーシップに追いつくために必要です」

2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍にするための『パワーアップ』は、COP28開幕当初から重要な目標です。持続可能な未来を確保するためには、再エネ目標と化石燃料の段階的廃止の両方が不可欠です。COP28は、再エネのコストが急落していることを認識し、2030年までに再エネを3倍にし、エネルギー効率を倍増させることを支持しました。これは正しい方向への前進です。今、具体的なタイムラインの設定と、特に途上国のための公平な資金支援によって、これらの目標実現への道筋を確保する必要があります。

太平洋諸国と小島嶼国は、『化石燃料からの脱却』というCOP28の合意に少なからず貢献しました。小島嶼国は、完全かつ迅速で公正な化石燃料の段階的廃止を訴え、中南米、欧州、オーストラリア、アフリカなどの国から多数の支持を取り付けました。さらに、120カ国以上が再エネ3倍に関する合意を支持したのです。しかし、実現に向けた法的枠組みとタイムライン、明確な道筋は、最終的な成果には含まれませんでした。気候変動に脆弱な国々の懸念に配慮するよりもむしろ、温室効果ガスを大量に排出している国々の意向を汲んだ内容に偏っているのは残念です。

 

 

COP28に現地で参加した国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は次のようにコメントしています。
「再生可能エネルギー3倍、エネルギー効率2倍を含むCOP28合意は、日本の気候アクティビストに勇気を与える一方、日本のように化石燃料に依存する政府には、2030年までにすべての化石燃料からの脱却を公正かつ迅速に加速させるという宿題を与えました。COP決定は、原子力や、化石燃料インフラの寿命を延ばすCCSといった危険な目くらましの余地を残してはいます。しかし、気候正義のために声をあげる市民の力は、このような遅延戦術に負けることはありません。 科学は十分に明確です。日本は、今後見直される『エネルギー基本計画』においてすべての化石燃料の段階的廃止を約束し、日本、アジア地域および世界のあらゆる場所で地域主導の再生可能エネルギーを支援することによって、パリ協定1.5℃目標の達成に貢献しなければなりません」

 

 


*350.orgジャパン・キャンペーナーの伊与田昌慶は、COP28開催中、ドバイに滞在し、会議をフォローしています。ご取材のご要望がありましたら、お気軽にご連絡ください。

伊与田昌慶(いよだまさよし)

国際環境NGO 350.orgジャパン・キャンペーナー
メールアドレス:[email protected]