2022年12月23日

【プレスリリース】G7広島サミットにおける気候危機・エネルギー対策の野心的な合意を求めます

プレスリリース

2022年12月23日

国際環境NGO 350.org Japan

 

G7広島サミットにおける
気候危機・エネルギー対策の野心的な合意を求めます

G7広島サミット サブシェルパに要望書を提出

 

23日、国際環境NGO 350.org Japanは、外務省の中村和彦・G7/G20サミットサブシェルパとG7市民社会コアリション2023との面会に参加し、「G7広島サミットにおける気候危機・エネルギー対策の野心的な合意を求める要望書」を日本政府に提出しました。面会においては、要望書に沿って、気候変動・エネルギーをG7サミットの重要議題に位置づけること等、要請を伝えました。

 

 

350 Japanは今後もG7広島サミットのプロセスを注視し、G7市民社会コアリション2023のメンバーとして、多様な市民社会と連携しながら、気候危機への対応を強化するよう、日本をはじめとするG7諸国に求めていきます。

 

要望書

 

G7広島サミットにおける気候危機・エネルギー対策の野心的な合意を求める要望書

 

2022年12月23日

国際環境NGO 350.org Japan

 

2023年5月19〜21日、日本において、G7広島サミットが開催されます。世界の主要7カ国は、最新の科学的知見と深刻化する気候危機に向き合い、2022年のG7エルマウサミットよりも大幅に対策を強化する合意を実現させ、世界中の国にリーダーシップを示す必要があります。

今年、国土の3分の1が水没と伝えられたパキスタンの水害など、気候危機が深刻化しています。日本国内でも記録破りの猛暑や豪雨による被害が跡を絶ちません。気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)では、気候災害に苦しむ途上国や世界の市民社会の声をうけて損失と被害に関するファンドの設立が合意されました。またロシアによるウクライナ侵攻は、人道的に許されないばかりか、大量の温室効果ガス排出を招き、化石燃料エネルギーに依存し続けることの脆弱性を浮き彫りにしました。

 

以上を踏まえ、350 Japanは、次の事項を日本政府に要請します。

 

  1. 気候危機・エネルギー問題をG7広島サミットの重要議題に位置づけること。ドイツのG7エルマウサミットを引き継ぐだけでなく、従来のコミットメントよりさらに踏み込んだ合意とするためには、重要議題としての位置づけが不可欠です。
  2. G7広島サミットにおいて「誤った解決策(False Solution)」の推進をやめ、本質的な脱化石燃料に舵をきること。日本政府は「GX」として次世代原子力、炭素回収利用貯留(CCS/CCUS)、化石燃料の火力発電へのアンモニア・水素混焼といった技術を推進し、化石燃料からの脱却を遅らせています。COP27合意でも決定的に重要な10年の対応策として明記されたのは再生可能エネルギーです。技術的不確実性をはらみ、決定的に重要な2030年までの排出削減に間に合わず、省エネや再エネに比してもコストの高い「誤った解決策(False Solution)」ではなく、省エネの徹底と再エネの拡充という「真の解決策」へと舵をきるべきです。
  3. G7広島サミットにおいては、化石燃料からの脱却について、G7エルマウサミットよりも進んだ強い政治的メッセージを発信すること。日本を含むG7諸国は、すべての化石燃料からの脱却を進め、再生可能エネルギーへと公正な移行を進める政治的メッセージを打ち出す必要があります。とりわけロシアの化石燃料への依存を続けることは、プーチンの戦争の資金確保につながるものであり、平和の観点からも許容できません。
  4. G7広島サミットに向けて、パリ協定1.5℃目標に整合するように日本の気候変動目標・対策を大幅に引き上げる意思をただちに表明すること。国内政策の強化なしに、国際的なリーダーシップの準備は整いません。科学者によれば、日本の2030年温室効果ガス排出削減目標は、パリ協定1.5℃目標には不十分であり、62%削減へと引き上げる必要があります。そのために、化石燃料への規制強化、カーボンプライシング、省エネ・再エネ策の抜本的拡充は欠かせません。また、気候変動・エネルギーをめぐる外交戦略の見直しも急務です。G7エルマウサミットのプロセスにおいては、脱石炭・脱化石燃料や電気自動車の脱炭素化について、日本が合意を弱化させたと報じられています。Oil Change Internationalのレポートによれば、2019〜2021年にかけて、日本の化石燃料への公的資金提供が世界第1位でした。
  5. G7広島サミットの準備プロセス及び一連の会合において、市民社会の参画を確保すること。G7広島サミットのプロセスにおいては、民主主義の観点からも市民社会の参画が不可欠です。G7伊勢志摩サミットやG20大阪サミットといった過去のサミットよりも、市民社会がこの準備プロセスに関与できる機会を増やすことが必要です。

 

以上

 

 

 


国際環境NGO 350.org Japan https://world.350.org/ja/

担当者:伊与田昌慶 E-mail: japan[@]350.org