2022年11月17日

【緊急声明】COP27:パリ協定1.5℃目標を実現するため、全ての化石燃料のフェーズアウトを求めます

緊急声明

2022年11月17日

国際環境NGO 350.org Japan

 

COP27:パリ協定1.5℃目標を実現するため、
全ての化石燃料のフェーズアウトを求めます

 

【エジプト、シャルム・エル・シェイク】国連気候会議COP27が最終局面を迎えたのにあわせ、気候危機の解決に取り組む市民団体の専門家は、合意成果である決定文書に「全ての化石燃料のフェーズアウト(段階的廃止)」の約束を盛り込まれなければならないと訴えました。さもなくば、COP27が成功と呼べなくなる懸念があると警鐘を鳴らしています。

 

*参考:COP27に参加中の各国政府のリーダーに「すべての化石燃料のフェーズアウト」の約束を求める緊急署名はこちら

 

350.org Japanの広報・政策提言担当の伊与田昌慶は次のようにコメントしています。

「科学は明確です。パリ協定1.5℃目標のためには石炭は当然のこと、すべての化石燃料のフェーズアウトが必要です。それは明日からすべての化石燃料の利用を一切やめるという意味ではありません。省エネルギーの徹底を前提とした再生可能エネルギー100%のヴィジョンを掲げ、公正な移行のロードマップを確立し、着実に実施するという意味です。それは日本における省エネ・再エネ産業の成長のチャンスとなり、雇用の増加をもたらすのみならず、大気汚染の改善と健康リスクの低減、化石燃料価格の乱高下から日本の市民と企業を守ることにつながります。

COP27に参加中の西村明宏環境大臣に、シャルム・エル・シェイクを去る前に、気候危機を回避し、気候災害に苦しむ人々を救う決断を要請します。それはすなわち、この会議の決定文書において、化石燃料のフェーズアウトを盛り込み、脱炭素の強い政治的シグナルを発することです。このことは、来年のG7広島サミットで議長国を務めることになる日本が、その用意ができているか否かを占う試金石となることでしょう」

 

350.org事務局長のメイ・ブーヴィは次のようにコメントしています。

「こういった交渉の場ではよくあるように、今回のCOPも一つの瀬戸際を迎えています。COP27での決定が今後何年にもわたって世界に影響を与えることになるでしょう。だからこそ、市民は化石燃料のフェーズアウトを呼びかけているのです。アクション、記者会見、イベントなどを通して、我々は市民ムーブメントとして、政府の責任を追及し、公平で、管理され、公正な、すべての化石燃料のフェーズアウトをCOP27の最終決定に盛り込むよう要請します。グラスゴーで達成したことより劣るものは、世界から失敗とみなされるでしょう」

Stop EACOPキャンペーン、350.orgのオマール・エルマウィは次のようにコメントしています。

「私のメッセージは、明確かつシンプルです。気候変動による壊滅的な影響を避けるために迅速かつ大幅な排出削減が必要なときに、東アフリカ原油パイプライン(EACOP)のような巨大な化石燃料プロジェクトは、検討すら許されるべきではありません。リスクの高いガス開発を含む化石燃料プロジェクトを正当化するために目下のエネルギー危機を口実にすることを、私たちは認めません。このメッセージに耳を傾け、行動し、EACOPのような化石燃料事業の停止を約束する必要があります。お金は、コミュニティ主導の再生可能エネルギーへの公正な移行に対して支払われるべきです。私たちは、アフリカ大陸のために、真の解決策を必要としているのです」

Pacific Climate Warriors、350.orgのジョー・シクルは次の通りコメントしています。

「太平洋からのメッセージは非常に明確です。化石燃料の採掘を続ければ、温暖化は1.5°Cをはるかに超えることになり、より激しいサイクロンや洪水、海面上昇によって海岸線が侵食され、家が破壊されることになるのです。私たちは、気候危機が私たちにどのような影響を及ぼすかを語り続けるのはもうたくさんです。太平洋地域は、気候変動に対するリーダーシップを発揮し続けています。ツバルとバヌアツは、『化石燃料不拡散条約』を推進する最初の国です。太平洋の市民はツバルとバヌアツの意志を支持しています。COP27の決定合意で1.5°Cを維持し、化石燃料のフェーズアウトを要求する必要があります。意思決定を担う人々にも、私たちと同様、化石燃料のフェーズアウトを求めていただきたいです。なぜなら、1.5°Cは単なる目標ではなく、限界だからです」

CAN Internationalのハジート・シンは次のようにコメントしています。

「私たちは、気候正義を求めてCOPに来ましたが、実際には何が起きているでしょうか。630人以上の化石燃料ロビイストがこのCOPを博覧会のようにして、気候危機を悪化させています。化石燃料産業は、私たちが世界中で目にしている死と破壊に直接的な責任があります。化石燃料産業は、この危機から利益を得て、法外な利益を上げているのです。現在、COPの決定文書の骨子案においても化石燃料の段階的廃止については触れられていませんが、これは合意の至る所で、全面的に盛り込む必要があります。今こそ、『化石燃料のフェーズアウト』に抵抗する国々にその姿勢を変えるよう呼びかけるべき時です」

 

Oil Change Internationalのデヴィッド・トンは次のようにコメントしています。

「査読付き研究成果は明らかにしました。2022年より前にすでに生産中、あるいは建設中の油田、ガス田、炭鉱の化石燃料埋蔵量をすべて掘り起こして燃やせば、その莫大なCO2増加によって1.5°Cどころか2°Cをはるかに超える温暖化につながります。それにもかかわらず、石油・ガス業界は、気候危機を悪化させる新たな化石燃料採掘プロジェクトを拡大させています。Oil Change Internationalの新しい報告書によると、2022年までに承認され、今後3年間に承認される恐れのある新たな石油・ガス生産は、累積で700億トンの新たな排出増加を招く可能性があります。それは現在の1.5°Cの炭素予算の17%にも相当します。そしてそれは新たな生産拡大のみの話ではありません。2022年頭の時点ですでに生産中あるいは建設中の石油・ガス生産事業によってその埋蔵量すべてが燃やされた場合、それだけで1.5°C目標の達成が不可能になるような巨大な排出増加につながります。

幸いにも、そのほぼ85%は最終的な承認を受けておらず、最終的な投資決定もまだです。人々や地域社会はその多くに反対し、立ち上がっています。今ならまだ阻止できます。そのために、政府は役割を果たす必要があります。政府は、公正な移行と並行して、公平性に基づいて、化石燃料をフェーズアウトしなければなりません。1回のCOPで1種類の化石燃料に物申していくのでは遅すぎるのです。石油のフェーズアウト、ガスのフェーズアウト、石炭のフェーズアウト、そのすべてが必要です。それをCOP27の決定文書に入れてください」

###

 

※COP27シャルム・エル・シェイク会議

2022年11月6日から18日まで、気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)がエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されています。COP27には、アフリカをはじめ世界各地から国際環境NGO 350.orgのメンバーが多数参加し、交渉をウォッチするとともに、気候危機対策が前進するようアクションを行います。350.org Japanからはスタッフの伊与田昌慶が現地参加中です。

 


国際環境NGO 350.org Japan https://world.350.org/ja/

担当者:伊与田昌慶 E-mail: japan[@]350.org