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第6次エネルギー基本計画案パブコメにて海外新規石炭火力への公的支援の全面的な停止を要請
本日、日本の環境NGO5団体は海外の新規石炭火力発電事業への公的支援の全面的な停止等を求めて、日本政府が実施中の第6次エネルギー基本計画(案)に対するパブリックコメント募集に際して、以下の意見を提出した。
意見1:海外の新規石炭火力発電への公的支援については、「既に実施に向けた手続を行っている案件」を含めて停止することを表明すること。
該当箇所:P100、3387~3410行目
理由:日本政府はG7コーンウォール・サミットの首脳宣言を受けて石炭火力発電の輸出支援方針を6月17日に改訂し、「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を2021年末までに終了する」と表明した。しかし、インドラマユ石炭火力発電事業(インドネシア)及びマタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(バングラデシュ)の本体工事に対する国際協力機構(JICA)を通じた新規円借款については、「既に実施に向けた手続を行っている案件」だとして、支援に向けた準備を継続している。G7首脳宣言では、国際的な公的資金を2050年ネットゼロ目標と整合させることにコミットしており、石炭火力発電の新設支援を行うことはこの合意に反している。中国政府が海外の新規石炭火力発電への支援停止に踏み切った今、上述のような矛盾した論理は国際社会では到底通用せず、日本が世界的な脱炭素の取組みを弱体化させているとして、国際的舞台で再び非難の的になることは避けるべきである。
意見2:「国際的な公的資金を、2050年より前の温室効果ガス排出ネット・ゼロ及び2020年代に排出量を大幅に削減することの世界的な達成と整合性の取れたものとするようコミットする」とのコミットメントを追加すること。
該当箇所:P100、3387~3410行目
理由:同コミットメントはG7コーンウォール・サミットの首脳宣言において約束されており、近年、エネルギー国際協力における中心的な原則となっていることから、エネルギー基本計画で明記することが重要である。
意見3:海外への公的支援を2050年ネット・ゼロ目標と整合させるために、化石燃料事業への公的支援フェーズアウトに向けたロードマップを策定することをエネルギー基本計画に書き込むこと。
該当箇所:P100、3387~3410行目
理由:G7コーンウォール・サミットの首脳宣言において約束された「国際的な公的資金を、2050年より前の温室効果ガス排出ネット・ゼロ及び2020年代に排出量を大幅に削減することの世界的な達成と整合性の取れたものとするようコミットする」とのコミットメントを確実なものにするために、化石燃料事業への公的支援のフェーズアウトに向けたロードマップを策定することを、エネルギー基本計画で明記するべきである。
意見4:アジアの現実的なトランジションへの支援には、化石燃料依存からの脱却を前提に、LNGを含む新規化石燃料事業への公的支援を停止する方針を掲げること。
該当箇所:P101、3436~3458行目
理由:LNGがカーボンニュートラル実現後も重要な位置を占めると位置付け、LNG市場の創設・拡大によるアジアの現実的なトランジションで主導権を発揮するとあるが、化石燃料であるLNGは支援を止め削減すべき対象であり、ここへの支援強化はアジアのトランジションを遅らせるものである。方針を改め、LNGを含む新規化石燃料事業の公的支援を停止する方針を書き込むべきである。
本件に関する問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝
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