共同声明
2021年07月01日
国際協力銀行・三井住友銀行による豪州ウェイトシア2ガス採掘への融資決定に抗議
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ
6月29日、日本の公的金融機関である国際協力銀行(JBIC)がオーストラリアのウェイトシアガス田のステージ2採掘事業(以下、ウェイトシア2)に対して1億9,900万米ドルの融資を決定したと発表しました(※1)。民間金融機関からは三井住友銀行が協調融資に参加しています。気候変動の影響が深刻化する中で、JBIC及び三井住友銀行が同事業への支援を決定したことに強く抗議の意を示すとともに、事業者である三井物産及びBeach Energyと、融資機関であるJBIC及び三井住友銀行に対し、本事業から撤退することを求めます。
気候変動には喫緊の対策が求められています。現在計画されている化石燃料事業がすでにパリ協定の1.5度目標と整合しないことが指摘されており(※2)、また今年5月に国際エネルギー機関(IEA)が発表した報告書「Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector」(※3)でも、2050年までにネットゼロを達成するには新規の化石燃料採掘事業へのファイナンスを即時に停止する必要があるとしています。つまり、新規の事業を新たに開発する余地はありません。
6月11日〜13日に英国コーンウォールで開催されたG7サミットの結果として発表されたG7首脳宣言では、国際的な公的資金を2050年ネットゼロ目標と整合させることにコミットしており、JBICが新規の化石燃料事業への支援を行うことはこの合意に反しています。また、三井住友フィナンシャルグループも、日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言を支持していることから(※4)、本事業への融資を決定したことは同行のコミットメントに反しています。
JBICは現在、他にも2つの化石燃料事業、LNGカナダ事業(カナダ)及びバロッサ洋上天然ガス開発事業(オーストラリア)への融資を検討中です。これらの事業を支援することは、すでに気候変動による甚大な影響を受けてきた世界に、さらに膨大な量の温室効果ガスをもたらし、気候危機に取り組む国際社会の努力を弱体化させます。下表で示すように、3事業から合計で年間5917万トンもの温室効果ガス排出が見込まれ、これは日本の温室効果ガス排出量の約4.9%に相当します(※5)。
私たちはウェイトシア2事業の事業者である三井物産及びBeach Energyと、融資機関であるJBIC及び三井住友銀行に対し、同事業からの撤退を求めるとともに、現在JBICが融資検討中である上述の2事業に関しても支援を行わないよう要請します。
脚注
※1:https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2021/0629-014941.html
※2:https://productiongap.org/
※3:https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
※4:https://www.smfg.co.jp/news/j110309_01.html
※5:2019年度の排出量は12億1,200万トン(CO2換算)https://www.nies.go.jp/gio/archive/nir/jqjm1000000x4g42-att/NIR-JPN-2021-v3.0_J_GIOweb.pdf
※6:2006年IPCCガイドラインに基づくと、燃料としてLNGを使用した場合LNG1トンあたり2.693トンのCO2を排出する。
※7: LNGカナダ:https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/projects/page.html?ID=62412&lang=ja
バロッサ: https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/projects/pdf/62018_1.pdf
ウェイトシア2: https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/projects/pdf/62572_1.pdf
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本件に関する問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
田辺有輝、[email protected]