2020年8月24日

【プレスリリース】三井住友銀行のGCF(緑の気候基金)認証申請を取り下げ

プレスリリース

2020年8月24日
国際環境NGO 350.org Japan

 

三井住友銀行のGCF(緑の気候基金)認証申請を取り下げ

三井住友銀行の申請却下を求める要請書に、約70か国から293団体が賛同

 

三井住友銀行(SMBC)は、開発途上国が温室効果ガス排出の抑制・削減・吸収と気候変動による影響への対処を実施するための努力を支援する基金である緑の気候基金(GCF)の認証を申請していましたが、気候変動問題に取り組む市民社会からの反発の声が高まり、この度正式に2021年の次回GCF理事会まで申請を見送るとして今回の認証申請を取り下げました。

この決定の背景には、GCF理事への認証反対を要求する公開書簡に対し、8月21日時点で69カ国の293団体と1200人を超える個人が賛同したことがあります。公開書簡では、高効率であっても石炭火力には融資を行なわないと宣言するとともに、国内外で進行中のあらゆる石炭事業から完全に撤退することで、ビジネス戦略をパリ協定と整合させることも、SMBCに求めています。

今回の認証認定に抗議するキャンペーンを主導した、Asian People’s Movement on Debt and Development(APMDD)のコーディネーターLidy Nacpilは「私たちはSMBCの認証に強く反対し続けます。公開書簡で述べたとおり、SMBCの過去の経歴、大きな議論を呼んでいる石炭火力発電所への継続的な関与、そして不十分な石炭方針を鑑みれば、SMBCがパリ協定の貢献に強くコミットしているとしたGCF認証パネルの調査結果に私たちは賛成できません。」と述べています。

350.org Japan代表の横山隆美は、以下のように述べました。

「この認証機関からは日本からすでにJICA(国際協力機構)と三菱UFJ銀行が2017年に認証を取得しています。しかし、気候危機が異常気象などで身近に迫っている状況で、この認証に伴う適切な投融資が気候変動対策に資するとしても、気候危機を加速させる石炭火力発電等への支援を続けている限り、公的基金を利用した事業は正当化されないとの、アジアをはじめ世界中からの声を反映する形となりました。」

「私たちはSMBCが市民の声を反映した決断をしたことを歓迎すると同時に、今回のキャンペーンに賛同の意を表した団体および個人とともに、市民の声が脱炭素社会への動きを加速できることを共有したいと考えます。」

私たち350 Japanは他の環境NGOとともに、世界第3位の石炭火力発電開発企業に対する融資者でもあるSMBCが、今年、新規石炭火力発電への融資を原則禁止することを発表したものの、その方針には抜け穴があり、高効率な案件や国内外で計画中の案件には融資可能であり脱石炭に関する姿勢が不十分であることを指摘してきました。

今回の認証申請取り下げを機に、SMBCが真にパリ協定に整合する戦略の構築と実行を進め、世界経済の将来に対し責任ある金融機関として脱炭素社会への移行をリードすることを期待します。

 


 

<参考サイト>
・『脱炭素競争〜後手に回る日本と邦銀〜』 https://350jp.org/jpbank/

 

本件に関するお問い合わせ

国際環境NGO 350.org Japan
代表 横山隆美
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