2019年11月1日

【プレスリリース】国内外環境NGO8団体、邦銀4行にベトナムのブンアン2石炭火力発電事業の融資拒否を求める要請書を提出、個人賛同49カ国・2万2000人以上

<報道関係各位>

2019年11月1日
国際環境NGO 350.org Japan

 

国内外環境NGO8団体、邦銀4行にベトナムのブンアン2石炭火力発電事業の融資拒否を求める要請書を提出、個人賛同49カ国・2万2000人以上

 

 

国際環境NGO 350.org Japanを始めとする8つの国内外環境NGOは、ベトナム中部で計画中のブンアン2(Vung Ang 2)石炭火力発電事業を含む新規石炭火力発電事業に邦銀が融資を行わないように求める要請書を、49カ国(注1)の2万2,103名の個人賛同者の署名とともに、本日、日本のメガバンク3行(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)と三井住友信託銀行に提出いたしました。

同事業には、邦銀4行が融資検討を行なっていると言われており(注2)、バンコクで開幕する第35回ASEANサミットおよび関連会合の一環として、「日本・メコンサミット」が本日開催されるのに合わせて、同事業の調印式が行われる可能性が取り沙汰されています。

緊急オンライン署名は76時間で2万2,103名に達し、昨今の台風15号・19号や豪雨などによる甚大な被害を受け、そうした『異常気象』の背景にあると言われている気候危機に対する関心、そして脱炭素化が国際的潮流となっている中、邦銀が気候危機を悪化させる石炭火力発電事業に資金提供を続けることへの懸念が国内でも高まっていることを示していると言えます。

 

パリ協定に基づく1.5度目標達成のため、最も早急に着手すべきなのが、CO2を最も多く排出する石炭火力発電所の段階的廃止です。国連のグテレス事務総長も、2020年以降世界中のどこにも石炭火力発電所を新設出来ないと述べています。(注3)

同事業は、三菱商事の100%子会社と香港のCLP Holdings Limitedのジョイントベンチャーにより、総事業費22億米ドル(約2500億円)で600MWx2基を建設する計画であり(注4)、気候危機を加速することの他にも、現地で深刻な健康被害および人権問題が懸念されています。事業により影響を受けるコミュニティは、近隣にある既存の事業(製鉄工場とブンアン1石炭火力発電所:注5)を原因とする大気、水質、環境の汚染にすでに苦しめられているからです。

 

ブンアン2に融資検討中と言われている4行のうち、三菱UFJと三井住友信託は、それぞれ新規石炭火力発電事業への融資を制限する与信方針を採用して以来、本事業が初めての案件になる可能性があります。また、4行とも9月ニューヨークの国連本部で開催された国連気候行動サミットの前日、国連責任銀行原則(PRB)に署名し、「持続可能な開発目標(SDGs)およびパリ協定に事業戦略を整合させる」ことを約束しています(注6)。ブンアン2に融資を行うことは、銀行が自ら掲げた目標を反故にすることと同じです。

さらに、ベトナムでは再生可能エネルギーの価格が低下しており、ブンアン2を含む2020年以降に稼働となる新規石炭火力発電のコストは、再生可能エネルギーよりも高価になると言われています。これは将来、座礁資産になる可能性が高いことを示唆しており、銀行が責務を負う投資効率や投資家保護の観点からも問題があると考えられます。

 

350.org東アジアファイナンス・シニアキャンペーナーの古野真は「本年の第35回ASEANサミット(11月2日〜4日:於バンコク)のテーマは、『持続可能性のためのパートナーシップの促進(Advancing Partnership for Sustainability)』ですが、気候危機を解決することがサステナビリティにおける最大の挑戦であり、脱炭素経済への速やかな移行が不可欠です。しかし、アジアの中の主要先進国である日本は、いわゆる「クリーンコール」技術(実際にはクリーンではないが)として、東南アジアにおける石炭火力発電事業の促進を継続しており、邦銀がこのビジネス戦略を支援していることは、世界の潮流に逆行しています」と語りました。

 

350.org Japanキャンペーナーの渡辺瑛莉は「温暖化を1.5℃以下に抑え、人類が地球に生存し続けるためには、石炭・石油・天然ガスの発電所の新設はできないと気候科学者たちは明確に述べています。邦銀が世界で石炭火力発電所の新規開発を支援すれば、それは気候危機を支援していることに他なりません。そうではなく、邦銀が国際的なコミットメントや自らの与信方針を遵守し、アジアや世界の持続可能な未来の実現を後押しすることを世界中の人々が望んでいます」と述べました。


 


 

注1:日本、米国、カナダ、英国、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オランダ、ベルギー、フランス、イタリア、マルタ、スイス、スペイン、ポルトガル、チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャ、ラトビア、ロシア、トルコ、イスラエル、インド、中国(香港)、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ミャンマー、バヌアツ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、ペルー、ブラジル、コロンビア、アルゼンチン、ケニア、ザンビア、南アフリカ、バミューダ諸島

注2:日本政府100%出資の国際協力銀行(JBIC)による融資、日本貿易保険(NEXI)および民間保険会社による付保の可能性も取り沙汰されている。

注3:先進国G7の中で唯一、石炭火力発電所を国内外で増設しようと計画しているのが日本。また、日本の銀行は石炭火力発電事業者への融資額が世界トップであることが明らかになっている。

注4:事業の詳細はこちら

注5:2011年、国際協力銀行(JBIC)、三菱UFJ銀行、三井住友銀行が融資を行った。

注6:メガバンクにSDGsとパリ協定迫る「責任銀行原則」

 

【キャンペーンページ】

・350.org署名ページ
https://act.350.org/act/japanese-banks-stop-funding-coa-in-vietnam-jp/

・Change.org署名ページ
http://chng.it/X5gQYkWz

 

【要請書本文】

新規石炭火力発電所およびベトナムのブンアン2石炭火力発電事業への融資拒否を求める要請書

 

【写真ダウンロード】
写真素材はこちらからご利用いただけます。(Credit : 350.org Japan)

 


 

【 連絡先 】

国際環境NGO 350.org Japan
[email protected]
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