3/24 – 35 の週末、350 Japan では気候変動とダイベストメントについてみっちり学ぶ、二日間の合宿トレーニング「ダイベスト道場」を開催しました。
二日間を通して、参加者は気候変動、再生可能エネルギー、社会運動、ESG 投資など、様々な分野の専門家をによるプレゼンを聞くことで新しい知識をふんだんに身につけ、さらにチームワークを軸にしたエクササイズに参加することで、それらの知識をアウトプットする特訓を行いました。
このブログでは、そんな DOJO のハイライトをご紹介させていただきます。
まずは↓の写真をごらんください。こちらが二日間のアジェンダです。プレゼンを聞いて「インプット」する箇所と、エクササイズを通して「アウトプット」を実践する箇所を明確にわけることで、楽しみながら学べる二日間を演出しました。
DAY 1:気候変動とダイベストメントの基礎を知り、伝える練習をしよう!
初日は、一時間かけてアイスブレークと、参加者間でのシェアリングを実施した後に、気候変動学者の江守正多さんによるプレゼンがありました。「気候変動と人類の未来」という壮大なテーマに関する江守さんのお話は、この言葉で括られました、
「石器時代が終わったのは、石がなくなったからではない。」
地球温暖化を 2度未満に抑えるためには、化石燃料の使用を近い将来に「ゼロ」にする必要があり、現代社会は「脱炭素化」という大きなパラダイムシフトを迎える必要がある。このパラダイムシフトはすでに徐々に起きていて、決して化石燃料が無くなった時に訪れるものではない。未来を生きる人が過去を振り返った時に「あの時代は化石燃料を使っていたんだ」と言う日がいつか来る。そういうメッセージを秘めたこの言葉には、大きな力と希望が宿っていました。
そこから分散セッションの時間になり、参加者は「ツバルでの生活と、気候変動による影響」、「東アジアにおける石炭火力発電所の実態」、「日本における気候変動の影響」の中から、自由に選択したセッションに分散し、気候変動に繋がる様々な問題について知識を深めました。
ランチをはさみ、戻ってきてからは第一のエクササイズを実施しました。その名も「気候変動イベントを企画しよう!」。このエクササイズでは、午前中に身についた気候変動に関する知識をイベントという形で「アウトプット」する練習をしていただきました。大切なのは、「知る」ことだけではなく、学んだことを「人に伝えること・広めること」。そういうことをを念頭において企画されたイベントは、「気候変動合コン」から「ものづくりマルシェ」まで、個性豊かなものばかりでした。
エクササイズが終わってからは、プレゼンの部に戻りました。まずは、350 Japan 代表の古野真により「Theory of Change 〜社会の変え方〜」に関するプレゼンが行われました。日本では、「三角形型」の社会モデルの、つまり、人数が最も少ない権力者(例えば政治家など)が社会を先導している、という考え方が主流ですが、実は社会は「逆三角形」的である、つまり最も人口の多い草の根の人々が団結することで変革が起きるとういう、希望に満ちた話がありました。
そこから初日最後の分散セッションに進み、「ダイベストメントの基礎」と「Art x Activism = ARTIVISM」の二つに参加者は分かれました。ダイベストメントの基礎では、運動の歴史から、お金の流れを変えることが気候変動問題に貢献するといった、ダイベストメントの最もベーシックな部分について説明がありました。
ARTIVISM のセッションでは、アートを通して社会的なメッセージを訴える様々な作品を例に、社会変革を目指す上でのアートの重要性について、元 350 南アフリカのアミール・バッゲリから説得力のあるプレゼンがありました。
ここで初日は終了!食事をはさみ、夜の自由参加セッションを開催しました。パタゴニアから寄付をいただいた T シャツに絵の具でデザインを加える「DOJO T シャツ作り」とオランダやドイツのダイベストメントキャンペーンを追った「ドキュメンタリー上映会」を実施しました。
DAY 2:政治や経済の壁を乗り換えて、ダイベストメントを社会に発信していこう!
2日目は、バディ(二日間を通して色々なことを共有するパートナー)とのチェックインを済ませ、早速プレゼンに進んでいきました。1日目で気候変動の「影響」について学んだため、2日目は「政治」のプロセスに注目し、まず気候ネットワーク東京事務所長の桃井貴子さんから「気候変動の政策的側面」に関するプレゼンをいただきました。
その中で、日本が気候変動の政策面で世界にいかに遅れをとっているかが明らかになりました。日本は2017年の12月に開催された国連気候変動会議で、不名誉な賞として知られる「化石賞」を受賞しており、その背景には CO2 の排出が最も多い石炭を使った発電所を 44基日本で増設している計画があることなどについて説明をいただきました。
そこからは分散セッションに入り、DOJO 開催の前にボランティアを対象に募ったアンケートで「最も学びたい」という結果が出た「ダイベストメントの経済的側面」と「再生可能エネルギー100% に向けての障害と希望」に関するプレゼンが行われました。石炭は投資・融資分野としてリスクが高いため、世界の銀行が石炭からの投資撤退(ダイベストメント)に走っていること、そして再生可能エネルギー100%社会は、原発や化石燃料よりも再生可能エネルギーを優先した政策が打ち出されることで実現可能であることについて話がありました。
ランチの後、エクササイズに進みました。今回のエクササイズは「ダイベストメントピッチ」。気候変動のことから、ダイベストメントのこと、再生可能エネルギーのことまで知識を身につけたところで、その知識を使ってダイベストメントするよう90秒で説得する「ピッチコンテスト」を行いました。参加者は4人一組まずは話す内容の要点を絞ってから、ピッチの練習を行い、最後には全員の前で各チームからの代表がピッチを行いました。全てのピッチが、主催側も驚くほど素晴らしいものばかりでした。
いよいよ2日目も後半戦。ここで、350 Japan が行っている銀行に焦点を当てた Let’s Divest キャンペーンについて古野真からプレゼンがありました。日本の銀行が石炭に巨額な融資を行っていて、この状況を変えるためには預金者が「地球にやさしい銀行」を選び、銀行に向けて声を上げていく必要があると説明がありました。
あらゆる知識も身につき、キャンペーンについて詳しく知ったところで、最後のエクササイズに入りました。このエクササイズでは、350 Japan がキャンペーンの一環として今後進めていく4つの分野に関するアイデアを参加者から募集しました。
大手銀行に石炭関連事業への貸し出しの中止を呼びかける「署名集め」、「個人のダイベストメントを増やす企画」、ダイベストメントの啓発を行う「アウトリーチ・イベント」、そして石炭とお金の流れに焦点を当てる「ビデオプロジェクト」に分かれた4つの紙に、ポストイットに書いたアイデアを貼っていく形式をとりましたが、あっという間にアイデアで壁一面が溢れました。集まったアイデアは今後のキャンペーンに活かしていきたいと思います!
また、今後のタイムラインも参加者とともに振り返りを行いました。向こう3ヶ月だけでも、4月21-22日にアースデイ、5月に 350.org 共同創設者ビル・マッキベンの来日、6月には署名 10,000人達成など、様々な重要な瞬間やターゲットがあることを確認しました。(ちなみに現在アースデイのボランティアを募集中です!ご興味のある方はこちらからボランティア登録お願いします!)
ここで全てのセッションが終わり、最後の最後にはみんなで腕を組み円を作り今後個人として実施する「コミットメント」を発表しました。「個人で銀行口座をダイベストメントする!」から「キャンペーンに関するウェブサイトを作る!」まで、幅広いコミットメントが飛び交い、活気に満ちた形で道場二日間の最後を迎えることができました。
今後、道場をきっかけに新たに集まったメンバーたちと一緒に活動を進めていくことがとても楽しみです!
道場は2019年にまた開催を予定しています。こうご期待ください!
350 Japan では随時ボランティアを募集しております。ボランティアの活動に興味がある方は、こちらからご登録ください!