350アフリカチーム  201623

 

南アフリカ共和国ハウテン州イーストランドのスプリングズ地区では新たな4つの炭鉱の開発計画により、小川および地下水の水源が深刻な危機に直面しています。

これらの炭鉱に関する情報を得るのは難しいと考えられ、地域社会の間では懸念が広がっています。 鉱物資源省が鉱業に関する情報は公開すると発表したにも関わらずです。

採掘事業は南アフリカの経済的・政治的な観点において不可欠な役割を果たしてきました。 しかし、その採掘事業は大規模な環境破壊や社会的損害と引き換えに少数のエリート層に莫大な富をもたらしています。

スプリングズでの採掘事業は1888年から実施されています。 時が経つにつれ、有限な鉱物資源の枯渇により閉鎖される鉱山も出てきました。 採掘活動が途切れると、これらの地下鉱脈内の水位が以前の水準より上昇して硫化鉱物と接触することで水質が強酸性になる生態学的過程が始まりました。

適切な緩和戦略を取らない限り、この強酸性の汚染水はスプリングズの地域社会の主要水源に到達しています。そして今まさに周辺の景観や環境に悪影響を及ぼしています。 化学物質の流出による汚染は環境破壊を引き起こすだけではなく、地域住民の健康にも影響します。 クワテマの子供たちは水遊びをしています。その水が子供たちの腎臓や肺に致命的な損傷をもたらす可能性があるのです。

現在、鉱物資源省(DMR)により認可または検討されている最大4つの炭鉱ライセンスがあります。 一般市民の参加は炭鉱ライセンスの認可に必要な主要条件の1つです。 利害関係者に意見表明の機会を提供することを目的とした包括的かつ文化的に適切な議論を続けることは了解されています。関係者の意見を意思決定プロセスに取り入れることができるのが目的と認識されていますが。 一般市民の参加を意義あるものにするためには関連する適切なプロジェクト情報の事前公開が必須です。それらの公開情報によって、利害関係者が提案されたプロジェクトの危険性、影響、および機会を理解することが出来ます。

過去には地域社会に約束されていた雇用は実現されず、炭鉱では環境管理義務が果たされていないか、政府機関による監視が不十分でした。 スプリングズの地域社会よるとこれらの4つの新炭鉱に関して公開協議の場は一切設けられたことはなかったとのことで、悪影響のサイクルが再開しかねないと懸念されています。

地元の地域社会ではこれらの炭鉱ライセンスに関する情報を得ることができません。DMRが炭鉱に関する情報を公開すると発表していたにも関わらずです。 南アフリカでは膨大な数の炭鉱ライセンスが検討されていますが、問題は私達がそれらの炭鉱に関する情報を得ることができない点です。 現在4つの炭鉱のうち2つにライセンスが認可されているように思われることから、環境に関する影響の評価プロセスに欠陥があるのではないかという疑念が生じます。

現在ウォーターバーグで提案されている鉱床には既に脆弱な状態にある地域社会に多大な損害を強いる可能性が潜んでいます。 スプリングズで過去100年間に起きてきたことがウォーターバーグでも起きようとしています。 最も懸念される危険性は水不足です: 炭鉱の存在により、地域に置けるきれいな水の供給が必要最低限となってしまい、特に農業や生計を水に大きく依存している地域社会に必要な水源については全く考慮されていません。 私達が今提示している質問はこうです。私たちには過去の遺産、生物の多様性ときれいな生息環境、そして生き残るために土地と水を必要としている地域社会を犠牲にする覚悟があるのでしょうか?

私達の言っていることは「石炭の利用をやめ、再生可能エネルギーの使用に目を向けましょう」ということです。

– メシャック・ムバングラ、クワテマの活動家

活動家によると、炭鉱は貧しい地域社会に直接水不足の影響を及ぼし、その炭鉱はスプリングズで計画されている炭鉱に将来投資を行おうとしている南アフリカの銀行によって出資されているとのことです。 気候変動問題に取り組むムーブメント 350Africa.orgは「汚れた銀行達」に化石燃料への投資内容を完全に公開すること、南アフリカおよびアフリカ全土での炭鉱、製油所、および火力発電所に関するプロジェクトへの融資を将来的に停止するよう努めることを訴えるアフリカの化石燃料ゼロキャンペーンを開始しました。

350Africa.orgのフェリアル・アダムは言います。「私達はネッド銀行が炭鉱プロジェクトだけで10億ランド以上もの直接出資を行っていることを知っています。この銀行が私達に決して伝えないのは彼らが化石燃料への投資を行うことでどれだけの損失が出ているのかということです。この情報は私達が全ての銀行に完全公開をお願いしたいと考えているものでもあります。 私達は太陽光や風力によって生み出される地域での発電による化石燃料ゼロの未来を何百万人もの人々に残すことができます。しかし、そのためには今からクリーンな再生可能エネルギーへの投資を始めなくてはなりません。」

過去何年もの間、政府や鉱業企業が行動を起こさなかったために、現在この地域の水質汚染や水不足の危機への対応は一時的な措置に留まり、長期的な解決手段は現在開発中という状況となっています。

「炭鉱の推進家や政府は、採掘プロセスを適切に管理すると言っているにも関わらず、クワテマの住民達はこの生活に変化が起こる日をもう数十年待ち続けていると言うのです。」