9月 11, 2018

【プレスリリース】 化石燃料からの投融資引き揚げ運用資産額が6.24兆米ドルに到達 : 2020年までに10兆ドルを目指す

(下記は9月10日に発表された英文プレスリリース の和文抄訳です)

プレスリリース

2018年9月10日

化石燃料からの投融資引き揚げ運用資産額が6.24兆米ドルに到達 : 2020年までに10兆ドルを目指す

2018年9月10日

世界的な化石燃料からの投融資引き揚げ(ダイベストメント)の規模と影響力の驚異的な増加に関する新しいレポートが本日発表されました(注1)。米国の投資顧問会社Arabella Advisorsがまとめた「世界に広がる化石燃料ダイベストメントと自然エネルギー投資の傾向」と題されたレポートの2018年度版によると、運用資産総額が6.24兆米ドル(約688兆円)となる、約1000機関近いの機関投資家が化石燃料からのダイベストメントにコミットしています(注2)。レポート発表イベントでは、パリ協定の目標を達成するために、2020年までにダイベストメントを表明している機関投資家の運用資産総額を10兆米ドル(約1114兆円)にまで伸ばす狙いも明らかにされました。

レポートは、サンフランシスコの「グローバル気候行動サミット(GCAS – Global Climate Action Summit)」に先立ち、米国のウォレス・グローバル・ファンドが主催するイベントで発表されました。さらにイベントでは、化石燃料関連企業とのエンゲージメントにおける期限を設け、関連企業が2020年まで方針の変更することを拒否した場合、それら企業からのダイベストメントを宣言すべきだという投資家に対する呼びかけもありました。

同日、世界の金融の中心地であるロンドンとニューヨークが、自らの影響力を活かし、東京都や横浜市が参加する気候変動対策に取り組む世界の大都市グループC40のメンバーに対して、化石燃料からの投融資引き揚げ、そして気候変動対策への投資を促す、新たなC40 ダイベスト・インベスト・フォーラム(注3)の発足を発表しています。

ダイベストメントを宣言している機関投資家の運用資産総額は、わずか4年前の520億米ドル(約5.8兆円)から6.24兆米ドル(約688兆円)へと約120倍と大幅に増加しています。2011年に気候変動対策への倫理的な呼びかけとして、学生たちが最初に開始した以来、化石燃料ダイベストメントは、影響力と範囲において非常に大きく成長しました。それに呼応するように、医療から宗教団体がダイベストメントを表明し、さらに博物館に至るまで、化石燃料関連企業からのスポンサーシップを断るようになり、多岐にわたる様々な機関が新たにダイベストメントにコミットしています。また、2018年には、米国と欧州以外でも新たな高まりが見られ、ブラジル、インド、南アフリカでダイベストメントにコミットする動きがありました。350.orgと協力団体は、2019年に南アフリカでグローバル・ダイベストメント・カンファレンスを計画しており、会議の開催を通じて、南半球の発展途上国全体の様々な機関投資家によるダイベストメントへのコミットメントを加速させます。

350.org事務局長 メイ・ブーヴィ

「化石燃料からのダイベストメントは世界的な現象となりました。2018年はこの運動にとって画期的な年でした。というのも、ニューヨーク市、アイルランド全土、さらに何百もの象徴的な機関が新たに投融資引き揚げにコミットしたからです。気候変動の影響による大きな被害が世界的に広がっているのを目の当たりにし、世界中の人々が急速に化石燃料に背を向け始めており、いよいよ政治家もそれに追随する時が来ました。」

ウォルス・グローバル・ファンドのエグゼクティブディレクター エレン・ドーシー

「機関投資家は政府だけでなく、パリ協定にも準拠する必要があります。今日、ダイベストメント運動では、2020年までに世界規模で投資撤退資産額を10兆米ドルに増やし、パリ協定の目標をなんとしても達成させることを誓約しています。また、投資家は、ポートフォリオの少なくとも5%を気候変動問題の解決に向けてコミットし、100%再生可能エネルギーとユニバーサルエネルギーアクセスの実現を加速させる支援をする必要があります。化石燃料関連企業とのエンゲージメントを続けている投資家に対して、私たちはその関係を断つタイムリミットを、2020年に設定するように求めています。それまでに関係企業が気温上昇を2℃未満に抑えるための移行計画を策定できない場合、投資家は対象企業への投融資を引き揚げないと、逆に、気候変動とその影響について投資家自身が責任を負うことになるでしょう。」

 

注:
1)報告書「世界に広がる化石燃料ダイベストメントと自然エネルギー投資の傾向」:https://www.arabellaadvisors.com/wp-content/uploads/2018/09/Global-Divestment-Report-2018.pdf

2)https://gofossilfree.org/divestment/commitments/

3)https://www.c40.org/press_releases/fossil-fuel-divestment-city-partnership-network

新しいレポートによると、2018年は化石燃料ダイベストメントにおいて多くの初となるできごごとが記録されています:

  • 今年の7月、アイルランドは化石燃料からダイベストメントをする、世界で最初の国となりました。同国の89億ユーロ(104億米ドル)であるアイルランド戦略投資基金(Irish Strategic Investment Fund)の化石燃料ダイベストメント法案を推進したアイルランドの独立議員、トーマス・プリングル氏は「アイルランドの下院が化石燃料から正式に投融資引き揚げをする最初の国になるために票を投じたことを嬉しく思います。これは、私たちの国は短期的な利益や既得権益をこえて考え、行動する準備ができていることを示しています」と述べています。
  • また、今年の1月、ニューヨークビル・デ・ブラシオ市長は、5年以内に、ニューヨーク市が管理している5つの年金基金(運用資産総額1890億米ドル(約21兆円))を化石燃料関連企業からダイベストメントさせる計画を発表しました。この発表は、ベルリン、パリ、コペンハーゲン、シドニーがこれまでに取った類似アクションを追随するものです。
  • 医学界もダイベストメントを進めています。米国医師協会、英国のロイヤル・カレッジ・オブ・ジェネラル・プラクティショナー、オーストラリア医学生協会が、この1か月間でダイベストメントへコミットしました。オーストラリア医学生協会のアレックス・ファレル会長は「私たちは化石燃料からの投融資引き揚げを最近発表したことを誇りに思います。気候変動は私たちの健康を脅かす、今世紀世界最大の問題の1つです。オーストラリアの将来の医師として、私たちは健康な未来に投資したいと考えています。なぜなら、医学は、患者さんがすでに病気の場合、ただ病気を治療すればいいというだけではないからです。気候変動問題の解決の一環として、化石燃料からクリーンで安価な再生可能エネルギーへ迅速に移行することが必要です」とのべています 。
  • ダイベストメントは宗教界でも広まりを見せています。ローマ教皇フランシスコのダイベストメントへの支持とともに急上昇し、2016年以来、132の宗教団体が新たにコミットしています。
  • 博物館も動き出しています。例えば、カナダ歴史博物館、アムステルダムのゴッホ美術館、さらにハーグの2つの博物館が、今年化石燃料関連企業からのスポンサーシップは断ることを決めました。これらの博物館は、先行する英国のテートミュージアム、ロンドン科学博物館、アメリカ自然史博物館、フィップス温室植物園などに続きます。
  • 慈善事業団体のコミットが増大しています。また、オーストラリア最大のコミュニティ財団も、まさにコミットしたばかりです。オーストラリアコミュニティ財団のCEO、マリー・サイディー氏は「オーストラリアコミュニティ財団は、この重要なコミットに加わり、私たちの重要な資産を健康で持続可能な世界に投資することを誇りに思います。オーストラリアの最古かつ最大のコミュニティ財団として、他の機関にもダイベスト・インベスト運動に参加するように促したいと思います」とコメントしています。

本件に関するお問合せ:
古野真 350.org Japan代表 TEL:070-2793-3648
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