インタビュー

1なぜバンク・オブ・アメリカは、100%再生可能エネルギー達成に力を注いでいるのですか?

「私たちの事業において100%再生可能エネルギーを利用するという目標は、持続可能な環境に対する我が社の幅広いアプローチの一環です。 金融サービスセクターには、持続可能で低炭素な経済への変革を加速させる責任があります。 私たちが持つ知識や金銭的資本を提供し、気候変動やその他の環境問題に対してよりよい解決策構築の手助けをするだけでなく、温室効果ガス(以下、GHG)削減の野心的な目標を掲げ、企業活動による環境負荷を軽減させていきます。再生可能エネルギーは、これらの目標達成計画において重要な要素なのです。

「さらに、お客様やクライアント、そして従業員にチャンスを与えるような環境イニシアティブに積極的に取り組んでいます。 私たちの環境戦略とその努力によって、より環境に配慮したグローバル経済を促進するだけでなく、弊社に戦略的優位性と長期的な付加価値をつける一助となっています」

どのようにして、2020年の環境目標を決定したのですか?

「日々の経済活動を通じて、私たちは気候変動に対して思い切った行動に出る責任があると感じており、 力強い経営目標を打ち立てることは、環境に対する企業の責任を示す上で重要だと考えます。 2015年までに、既に掲げていた環境目標の達成を目指し取り組んだことで、目標を上回る事もありましたが、まだまだやるべき事は沢山あります。 環境負荷を軽減するための最善の方法を探し、再生可能エネルギーを100%購入するという目標も含んだ新しい“2020年目標”を開発するために、内外のパートナーと協力しました。 100%再生可能エネルギーのゴールを設定するためには、歴史的なGHG削減計画の詳細な評価、将来のGHG排出量の予測、仲間との活動の評価、そしてゴールを設定するための様々な方法論の検討が必要でした。

“私たちの目標には、立地当たりのGHGを50%に削減、自社から直接排出するGHGをカーボンニュートラルにすること、そして2020年までに100%再生可能エネルギーを利用することが含まれています。 GHGの50%削減目標と直接排出のカーボンニュートラル目標の評価には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の勧告、セクター別脱炭素化アプローチ、そして3%ソリューションアプローチを利用しました。 評価の結果、この科学に基づいた3つの目標設定のアプローチで設定するよりも、この二つの目標はより積極的な目標であるとわかりました」

現時点でどれくらい目標を達成しましたか?

「2005年に、2004年から2009年の5年間でアメリカ国内事業からの排出量を9%削減するという目標を設けましたが、実際には目標値の2倍にあたる18%削減を達成しています。 さらに2011年にはこの排出削減目標を拡大し、2010年から2015年にかけて、35カ国以上のグローバル事業においても、15%削減するという目標を設定しました。 我々は再び37%の削減を達成し、この目標に到達したのです。 私たちのGHG排出源のほとんどが電力であるため、再生可能エネルギーはカーボンニュートラル達成のために、今後もとても重要な役割を果たしていくと考えています」

100%目標に取り組む中で、どのような課題やチャンスを経験していますか? 

「私たちはすでに、いくつかの場所に太陽光パネルを設置しました。 100%再生可能エネルギーの目標達成を目指して、オンサイト発電やグリーン電力証書(RECs)、その他の革新的な解決策など幅広い選択肢を検討し続けています。

現在、バンク・オブ・アメリカが銀行経営を再生可能エネルギーに転換してくために行っていることは何ですか?また、将来はどういったものになるとお考えですか?

「私たちは地域の再生可能エネルギーの調達など、いくつかの再生可能エネルギー購入の仕組みを導入すべく、計画しています。 たとえばテキサスでは、テキサスデータセンターにおけるエネルギー分を、風力で発電したグリーン電力証書を購入しました。 これはアメリカ全土における弊社の電力購入のほぼ半分を占め、2020年に向けたカーボンニュートラル目標に対しては5%の貢献になります。 これから2020年までの間に、テキサスの事例のように、私たちの購買戦略に再生可能エネルギーを組み込んでいくよう、出来る限り挑戦していきます」

なぜ再生可能エネルギーの需要を増大させることが、企業にとって重要なのですか?

「気候変動問題に取り組むには、1社だけではなく”集団”としての努力が必要であると思います。 さらなるグリーンビジネスのチャンスを底上げしつつ、私たちのリソースを最大限活用して気候変動の解決策を探し出す必要があります。 これはバンク・オブ・アメリカにとって、より持続可能で低炭素な世界を追い求めながら、自分たちのビジネスの中で気候変動解決への努力を受け入れていくということを意味します。 クリーンエネルギー投資におけるリーダーとなる取り組みの一環として、弊社は2025年までに低炭素で持続可能なビジネスに1,250億ドルを融資すると約束しました」

2007年から、クリーンエネルギー、エネルギー効率、持続可能な交通につながる持続可能で低炭素な事業に、530億ドルを投資しました。

バンク・オブ・アメリカのグローバル環境取締役、アレックス・リフトマン氏

私たちは、企業の経営に太陽光発電を導入したり、エネルギー効率の高い建物を造るなどの環境的利益のあるプロジェクトへの投資を増加させる、グリーンボンド市場の安定した拡大にも精力的に取り組んでいます」

御社は、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際イニシアチブ“RE100”に参加しています。RE100の良い点はどんなところだとお考えですか?

「私たちの目標を達成するには、技術革新とパートナーシップが必要だと考えています。その一つ、パートナーシップが“RE100”です。 再生可能エネルギー市場を支えるというのは、弊社の目標達成のための一つのステップです。2020年までに100%再生可能エネルギーを購入するという公約を掲げることで、低炭素で持続可能な経済への私たちの取り組みを示しているのです。 また、持続可能性に取り組む世界のリーダー達に加わることで、各々で取り組むよりもさらに大きなインパクトを与えることができます。 気候変動問題は、私たち一人一人、すべての産業、そして世界中すべての場所で直面する課題です。 私たちは、今の世代だけでなく、次の世代のために地球を守るという役割を精一杯果たしているのです」

低炭素経済を推進していくために、他に取り組んでいることはありますか?

「環境的な結果を生むためには、多角的なアプローチが必要です。 私たちは4つのエリアの環境戦略に焦点を当てています。 ビジネス、 パートナーシップ、 経営と従業員です。

「ビジネスの側面では、1,250億ドルの環境ビジネスイニシアティブに取り組み、媒介金融イニシアティブとグリーンボンドを含む多くの気候資金イニシアチブが含まれます。 また、キーとなる環境団体ともパートナーになっています。 私たちはホワイトハウスの米ビジネス気候変動対応行動誓約のイベントにおいて、最初に署名した13の署名者のうちの一つでした。気候変動に取り組み力強いアクションを行っているその他の主要な企業とともに立ち上がったのです。

「気候変動に取り組む以上の、幅広いイニシアチブと自然資源に対する需要を基礎とする経営目標の価値についてお話してきましたが、弊社の従業員も大きく貢献しているという点も、お話ししなくてはいけません。 世界約2万人のメンバーが「私の環境」という従業員プログラムに参加し、2010年から合計で22万5千時間以上のボランティアが行われています。 沿岸の清掃や環境教育、その他の環境に焦点を当てた活動などのボランティアイベントです。

「ビジネスにおいて、単に金融業界での専門性を高めたり、建物の経営方法を再考するだけに限らず、私たちのクライアントやお客様、そして従業員は、絶えず変化する世界に参画しています。そして彼らは、バンク・オブ・アメリカが、すべての面で責任を持ち、持続可能な活動をすることを期待しているのです」

by マリー・レイノルズ