こんにちは!

雪下です

EACLCブログ後編です。

全編は、こちらからご覧いただけます!

前編ではざっと学んだことや感じたことを書きました。

ここでは3点に絞って、EACLC で特に心に残ったことを書きたいと思います。

◎「私も社会の一員」

まずは2日目に石炭火力発電に反対する運動に関わった人のお話を聞いて感じたことを書きたいと思います。

2015年に設立されたAir Clean Taiwanの方が、台湾での火力発電所に反対する市民の運動についてお話してくれました。

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台湾では日本以上に反石炭運動が盛んで、運動の結果、1988年には雲林県の火力発電所が閉鎖され、さらに2006年の海岸沿いに建設予定だった宜蘭県の火力発電所が建設中止になっています。

また、今年2017年に1万人規模のデモが台中市で行われ、学生から社会人と幅広い年代の人が集まっただけでなく、家族で参加していた人もいたそうです。このデモは結果にはつながりませんでしたが、私は二つの火力発電所の閉鎖封鎖と2017年のデモの話を聞いて、日本の状況と比較しながら、自分の社会問題に対する姿勢を振り返りました。

家族でデモに参加したり、学生が参加したりする光景は日本ではあまり見かけません。 発電所や工場などによって自分たちの地域で健康被害が起きると言った社会的に苦しい思いをすることがあまりなく、何か悪い状況を「自分たちでどうにかしなきゃ」という気持ちになることが少ないのだと思います。

私自身このような経験をしたことがなく、恥ずかしいことにこれまで社会問題を意識して生活していませんでした。どこか国や社会の問題を自分の生活から切り離して考えている自分がいて、「自分は社会の一員である」といった感覚を持っていなかったように思います。そのため、何か問題があっても誰かがどうにかするんだろうなととても他人事で、「自分がそれについて何かできることをしよう」、と思うことはありませんでした。

私と似たような感覚を持っている人は少なくないんじゃないかなと思います。

日本に住んでると、どうしても身をもって問題を意識する機会が少なかったり、社会問題と自分の生活が結びついている感覚を持たずに大人になってしまいます。でも、私たちは気づいていないだけで、社会問題と関係があるし、それに対してできることも必ずあります。

このことに多くの人に気づいてもらって、私たちの意識を少しずつでも変えて、「自分は社会の一員だ、小さくても何かできることがある」という感覚が当たり前になったら、一人一人の行動は変わり、何か大きい変化を生み出すことができるんじゃないかな、と思いました。

そして「そのために私ができることはなんだろう」と考えさせられました。

◎「自分もこの問題の一部なんだ」環境問題が自分ごとに

2つ目は火力発電所へのフィールドトリップで感じたことを書きたいと思います。

実際に台中発電所の敷地の中にバスから降りた時、はじめは何も感じませんでした。

「思ったよりも空気は汚れていなくて大丈夫かも、空も青くてきれいだし」、というのが第一印象でした。辺りを見回すと火力発電所は4本の大きな煙突にそれぞれ色がついていて、鳥がのびのびと飛んでいる絵が描かれていました。

建物自体に悪い印象はなく、とてもCO2をガンガン出している 建物には見えませんでした。一緒に行った台湾チームの女の子は、「子供の頃この煙突を遠くから見て何か楽しいことがある場所だと思った」と言っていました。

しかし、この発電所は昼間には煙を出さず、夜に1日分の煙を出すそうです。昼間に黙々と煙を出すのはイメージが悪くなるので、人に見えない夜を選びます。また、このカラフルな、一見可愛らしい見た目にすることで発電所は自分たちが有害に見えないようにしています。

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そばに立っていた植物を触ると指に黒い灰がついて(=Coal Ash )木の枝にも、どの葉っぱにもCoal Ashは付いていました。触った後に手が黒くなり軽く衝撃でした。発電所の周りの影響への顕著な証拠を身をもって実感しました。

この後発電から排水が流れ出るところを見に行って下の写真の光景を見ました。

この時初めて「自分はこの地球環境の一部なんだ、私はこの汚れてしまった水が海に流れ出ることになんらかの形で関わっている」という感覚を持ちました。工場から出る茶色い泡泡した水が海に流れてるのを見て「何かしなきゃ」という気持ちを持ちました。

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この時まで環境問題は自分のどこか遠いところで起きていると思っていた自分がいたけど、実際に自分の前で工場からの水が流れ出ているのを見て、他人事ではなくなりました。

東京にいると、気候変動のような環境問題や原発のような問題と自分の生活の関係を見つけることは難しいと思います。私たちはまだ直接的に被害を受けていないし(あるいは気づいていない?)日常生活の中で考える必要に迫られることがありません。どこか遠いところで起きていることのように感じます。

しかし、本当は私たちもその一部で、何らかの形で関係しています。

このことにフィールドトリップで気づき、「この感覚を持ち続けよう、自分自身とこれらの問題を切り離して考えてはいけない」と感じました。

◎ 自分の街に第三者がやってくるということ

3つ目は街づくりワークショップの中で感じたことを書きたいと思います。

3日目に「2020年に自分が実現していたい街」をお題に国ごとのチームに分かれて自分たちが夢見る都市を、エネルギーの発電方法、自然とのバランスなどを考えて、絵にして一枚の紙に書きました。

日本チームは2020年の東京オリンピックにちなんで Divestment オリンピックを街の左端で開催させてみたり、東京のシンボルである東京タワーを緑にしてエコシティを表現してみたり、みんなで工夫しながら話し合って、楽しく街を描いてました。街まちづくりがひと段落して国ごとの発表も終わった後、もう一度街に手を加える時間をもらいました。

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すると、ワークショップの途中でサングラスをかけた ファシリテーターのLiyangi(リアンギ、台湾チーム)がやってきて突然「君たちの街は…んーーここに風力発電おいたらいいんじゃない」と、いきなり私たちの街の公園の動物が遊んでいた場所に黒いペンで施設を書き始めました。私たちはびっくりして「え、なになに、えええ、なんで?」と言う反応でした。

するとリアンギは私たちの街から「他の国と交換するね」と言って突然、彼が街から何をもらうか選び始めました。はじめは「どういうこと??なんで??」と思いました。

途中から「絶対にそこはあげたくない」と思うものが出てきて、「それはダメ、あ、これなら最悪なくなってもいい」と言う判断をするようになりました。「これにして」と言って端っこにあった緑の東京タワーを彼にあげることにしました。彼は紙を破って持って行き、どこかの国の風車の絵をおいて去って行きました。

この時は「なんで?ひどい、街をあんなに楽しく作ってたのに」と感じました。たかが紙に書いた絵だったけど、みんなの思いが詰まっていました。「みんなで描いた絵に上から何か書いて、一部分を持って行って、いらない風車をもらって、、、ひどい、、」と思いました。大切に作ったものを好き勝手にされたことに思った以上にびっくりしたし、ちょっとショックを受けました。

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その後「あのワークショップはなんのためだったんだろう」と思っているとリアンギがみんなの前に立って「今みなさんが感じたことを教えてください」と言いました。

その時、私は「ああ!!突然誰かが自分の土地に来て『ーーしようと思ってます。この土地を使わせてください』と言われることは、こういうことなのか…」とわかりました。理由もわからないまま開発が進められてしまう…自分がすっと住んでた街が発電所などのせいで汚れてしまう。突然異質なものを第三者が持ち込んでくる。

この時にまず思うことは「なんで??どういうこと?」と言う疑問であり、最初に出てくるのは「やめて!」と言う強い拒否ではないんです。状況を理解する前に話がどんどん進んでいって、分かろうとしてるうちに気づいたら交渉は終わっている。とっさに「やめて!」と言うのは思った以上に難しいことだということが初めてわかりました。

このワークショップを通して初めて、突然第三者がきて自分の土地で何かされた側の立場に立つことができました。この感覚を持ったのは今回が初めてで、ただ自分たちで書いて作った街なのにこんな気持ちになるから、実際に地元に発電所が来たり勝手に開発されたりした人たちは、今回の私以上にそうしたことに対して強い思いを抱くんだろうなと感じ、自分にとって非常に心に残ったワークショップでした。

◎ ”Where There Is A Will, There Is A Way” 

前編のブログにも描いたのですが、この5日間で今まで見えてなかったものが見えてきて、問題に対する新しい感覚を持つようになりました。一番

ここでの大きな気づきは

「私は社会の一員で社会問題は関係ないものじゃない、それに対して何かすることができること」

「環境問題がどこか遠くで起こっているものじゃなくなったこと」

「突然誰かがずかずか入ってきてとって行った時に感じた『なんで!!』と言う気持ち」など、

周りに目を向けずに東京で過ごしていたら見えてこなかったであろうことに気づけたことです。

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自分が経験したこの問題に対する感覚のシフトが多くの人に起これば、状況は変わると思います。そのために私ができることは何か、考えながらアクションに移していきたいです。

EACLCの最後に、“After EACLC #3, I will commit to make a new movement of climate change in my university”  と自分の目標を設定しました。

まだ仲間も見つかっていなくて自信は正直ないけれど「意思あるところに道はある」を信じて、一歩ずつ自分にできることをやっていきたいと思います。

長いブログを最後まで読んでいただきありがとうございました!

2017.9.2  雪下 海香

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